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商工戦士オーダンナー  作者: 宮城 英詞
オーダンナーよ永遠に

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戦士、再び

『ちょ、ちょっと何を始める気なん?』


 1秒遅れで伝わってくる、状況にミオは戸惑っているようだった。


 指令室の面々も同じである。


 だが、ヒロシはぶれなかった。


「ええから言う通りにせい! 長田君も、カメラアングルを調整するんや!オーダンナーと、ミオを映せ!」


 そう言われて、慌ててパソコンにかじりつく長田。


 その様子を確認すると、なおも戸惑う、ミオに話しかけた。


「ええか、ミオ。主人公がピンチに陥るんはお約束や、ここまで来たらあとは挽回するだけや。ミオは「オーダンナー」を信じ、ワシらはミオにすべてを託す。今からそっちにパワーを送る! ええから「クラバーン」全放出や!」


 そして、ヒロシはミオの返事を待つ。


 一秒後、ミオが


「……わかった」


 と返事をし、残りのクラバーンがばら撒かれたのを確認すると、ヒロシは大きく頷いた。


「これで何か変わるんですか?」


 チカがたずねると、ヒロシは


「これから変えるんや!」


 と、改めてウェブマイクを握った。


 そして咳ばらいをすると、渾身の力を込めて語りかける。


「実況を見てるみんな!このままじゃ地球が危ない!「オーダンナー」を応援するんや!」


「え?直球!?」


 本当に言った通りそのまま応援するように呼び掛けるヒロシ、だが彼は必死に繰り返す。


「手元にペンライトがある人は、振ってオーダンナーを応援しよう!」


「いや、それなんかの映画!」


「みんなの元気を分けてくれ! ちょっとずつでええんや!」


「それもどこかで聞いたやつ!」


 もうふざけているのかと思うほど必死に呼びかけに、思わず止めようとするチカ。


 だが、後ろから飛んで来たベルタの声が、それにストップをかけた。


「霊子力急上昇中!通常の五倍以上のゲインデス!」


「うそっ?」


 思わず振り返る一同。


 霊子力をモニターしていたゲージはすべてが上昇していく。


 そしてカメラに写された、オーダンナーは再び光を放ち始めていた。


 それに、ミオも気づき始めたようである。


『……なんなんこれ?本当にパワーがみなぎって来る?不安な気持ちが、どんどん消えて行く』


 その状況に、安野も信じられない、と言った顔で立ち上がっていた。


「……まさか、地球全体の精神パワーを具現化しようとしているのか……これは「祈り」?」


 そう、それはまさしく祈りの具現化だった。


 地球を助けてほしいと願う人々の願いが今集まりつつある。


 安野の言葉に、アポロは大きく頷いた。


「……我々はもしかすると「神」を生み出そうとしているのかもしれマセン」


「オーダンナー」は人々の祈りを具現化し始めている。


 それはすなわち、奇跡を起こす神を誕生させる過程だ。


 チカは、そのアポロ言葉を決して大げさなものとは思わなかった。


 そして、それに、ヒロシはガッツポーズでにやりと笑う。


「よし行ける!誰でもええ!各国語で全世界に呼びかけや!長田君、霊子力ゲージを映して応援を呼びかけろ!そしてここで一発!オープニングテーマを流すんや!」


「あるんですか? そんなモン!」


「なんでもええわい! 地球の危機や! 誰かが勝手に作ったもんでもええからテロップ付きで流せ! みんなで一緒に歌うんや!」


 言ってることは無茶苦茶だが、確かに盛り上がる事間違いない。


 慌ててパソコンに入っていたBGMが流され、それは司令部のみならず、全世界を高揚させた。


 そして、チカの見ている前で、霊子力ゲージは計測不能のレベルまで上昇していく。


 それにヒロシは仁王立ちで頷き、ミオに改めて語り掛けた。


「ミオ、これがみんなの想いや!その想いに答えて。これからみんなに奇跡を起こすんや! 今こそ「オーダンナー五体合体」や!」


 ミオは父の言葉にカメラの向こうで頷いた。


『……ありがとう、父ちゃん。ありがとうみんな! これならウチ、大逆転できるわ!』


 そしてミオはあらためて操縦桿を握り直し叫ぶ


「みんなに、この体を貸すで! オーダンナー五体合体!」


 次の瞬間、推進器が破壊されたはずのミオの乗るオーダンナーの胴体はアーム引きちぎって、光る彗星のように宇宙を飛んだ。






「一体何が起こっているのだ!」


 同時刻、「ハサン号」のブリッジでは突然起きた珍現象に、ガイが叫び声をあげていた。


 突然のエネルギーの発生、そしてクレーンアームを引きちぎって彗星のように光りながら飛ぶロボットのパーツ。


「もはや、推進能力などないはずなのに……」


 リャクもその光景に呆然とする。


 そして今度はデマが、センサーを見て悲鳴を上げた。


「さらに、遠くから彗星が!……いや?本船に突き刺さっていたオーダンナーのパーツも!」


 それは、いくつもの彗星が並んで飛んで行く奇妙な光景だった。


 あるものは宇宙の彼方から、あるものは「ハサン号」に突き刺さっていた部分が、それぞれ流星になって飛んで行く。


 それは、明らかにこれから何かをやろうとしている、様子だった。


 当然それを黙って見ているわけにはいかない。


「ええい! 何をしている! 撃ち落とすぞ! 船体と砲塔を向けろ!」


 ガイは、操舵をしているリャクに指示を下し、自身もレーザー砲の照準を合わせようと操作した。


 だが、下した指示から返って来たのは、リャクが絶望的な声だった。


「エンジン出力低下!……舵が利きません」


「馬鹿な!」


 驚いて手元の出力系コンソールを見るガイ。


 それは、明らかに出力の停止を引き起こし、レーザーの発射はおろかバリア展開もできないほどの出力が低下していく状況を現していた。


 そして、兵器類はすべて操作できない。


 センサー類は無事に動いているため、三人は飛翔するロボットのパーツが集まり、どんどん集合していく様を、ただ眺めている事しかできない。


「システムが乗っ取られているのか!」


 そうとしか考えられない状況に愕然となるガイ。


 そして、この状況にデマがはっとなった。


「……まさか、これは!」


「知っているのか! デマ!」


 藁にもすがる思いで、問いただすガイ。


 それにデマは恐る恐る口を開いた。


「我々が、地球のスーパーロボットを研究して、必ず出てくる謎現象「合体中は手出しができない」では……!」


「……まさか! こちらの制御系にも影響を及ぼすほどの「意志の力」だとでも?!」


 そんな事あるはずがないが、実際そうなっている。


 そして狼狽える三人の目の前で、オーダンナーは五体合体を完成させた。


 三人にはオーダンナーが悠然と立っているように見えた。


 そして三人にパイロットらしき人物の声が届く。


「帰るところが無いからと、狼藉、無礼が目に余る! 地球みんなの願いと夢が、お前を倒せと、裁きを下す!」


「なんだこれは!直接脳に届いているのか?」


 それは、通信ではない、目の前で語り掛けるような声。


 一体なぜこんな現象が起きているのかさっぱり分からない。


 そして狼狽える、三人の目には、掲げた腕から無限に伸びる光の帯を放つオーダンナーの姿が映った。


「必殺! オーダンナー惑星一文字斬り!」


 そして、振り上げた腕と光の帯を振り下ろす「オーダンナー」。


 それに、リャクは、死に物狂いで、操縦桿にかじりついた。


「動け!なぜ動かん!」


 だが、反応が無い。


 必殺技が回避できない。


 まさにその現象が起きているのだ。


「……これが、スーパーロボットの力か!」


 ガイがそう叫んだ瞬間。「ハサン号」は後ろの小惑星と共に真っ二つに切り裂かれた。





 それは、夢のような光景だった。


 無限に伸びた光の帯が、小惑星を両断する。


 その姿は「クラバーン」のカメラどころか、地球からも観測できる光景だった。


 その様子を、チカは呆然と眺める。


 アポロも、ベルタも驚いている。


「これが、霊子力の無限力……」


 ヒロシも、そう言いながらその光景を、呆然と眺めていた。


 そしてそんな中、安野は一人叫んだ。


「いや、やりすぎだ! まだ終わってない!」


 一同はそれに、思わず振り返った。


「え?どういうことですか」


 思わず聞き返すチカ。


 それに、安野は頭を掻きむしりながら、答えた。


「……隕石を分解しても、軌道は変わらないと言っただろう? あれで下手に分解が始まったら下手すると軌道変更の計算がさらに複雑になる!」


「……あ」


 チカはそれにはっとなった。


 言われてみれば、今回のミッションの主な目的は、小惑星落下の阻止だった。


 それに、ヒロシも気づいたらしく、慌てて長田に指示を下す。

「あかん! BGM止めるな! まだ終わっとらん! 離脱者を出すな!」


 今ここで、終わって気になっていたら、小惑星が落ちてくる。


 視聴者にもこれで終わった気になられては、まずいのである。


 安野は、ミオに通信を繋いだ。


「ミオ君、時間が無い。小惑星はもうどうしようもない距離に近づいている、敵の船を破壊した今、これを防げるのは「オーダンナー」だけだ。もう一度奇跡を見せてくれ!」


 それに、ミオは大きく頷いた


「任せて! たかが石ころの一つや二つ! 「オーダンナー」押し返してやる!」


「いや、加速でいい!今から即席のデータを送る、小惑星が分解しないうちにやってくれ!」


 どうも、科学者としてこの辺の違いが許せないらしい。


 ミオは安野の指摘に、舌を出して見せると、ミオはふたたび彗星となって飛んだ。


 そして小惑星の後方に回り、精神を集中させる。


「細かい計算はやっている暇はないが、ここからなら、小惑星を後方から「押せる」そして、前後が玉突き状態になり、両方が加速するはずだ!」


 安野の言葉に大きく頷くミオ。


 通信の時間差が少なくなっており、明らかに時間が無くなっている。


 ミオは再び、霊子力をイメージに変換した。


 操縦桿を握りしめ声を上げる。


「みんなの力を借りて! 今! 必殺の! オーダンナー! クラァァッシュ!」


 そしてオーダンナーは金色の光を放ち、小惑星にドロップキックを放った。


 小惑星の一点から宇宙空間に閃光が走り


 動く巨大な小惑星、衝撃で「クラバーン」の映像が次々と途絶える。


 オーダンナーに蹴られた、後方の岩塊が前方の岩塊を押し、双方が粉々に砕け散った。


 そして加速がかかった岩塊は地球の重力を振り切り、徐々に地球から離れて行った。


 小惑星は、宇宙の彼方へと飛び去って行った。


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