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商工戦士オーダンナー  作者: 宮城 英詞
大阪城の攻防

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見えない敵を撃て!

 いきなりの通信途絶に、「オーダンナー」の指揮所は騒然となった。


 何しろ、ミオと通信ができないばかりか、通信関係のセンサーやコントロールが全てダウンしてしまったのである。


 これで「オーダンナー」のサポート能力はすべて奪われたに等しい。


「ECMか? こいつは全くの予想外やった……!」


「「デッチ」も「テ・ダイ」も、画像どころかコントロールすらできなくなっちゃいました。どうしましょう?」


 歯ぎしりする、ヒロシに狼狽えるチカ。


 それを横目に高橋は、小さく息を吐いて、椅子に腰かけた。


 そして、雑音しか聞こえないインカムを、腹立ち紛れに投げ捨てる。


「……どうもこうもない。こうなったら「オーダンナー」にはスタンドアローン状態で何とかしてもらうしかない。相手のかく乱をパワーで押しきれるかが勝負だな」


 もう見守るしかない。


 一同は残された望遠カメラの映像を、苛立ちを感じつつ眺めていた。





 ちょうどその頃、「オーダンナー」は、散々逃げ回って迷走した挙句、広い駐車場に迷い込んでいた。


 振り返ると、相手は追って来る気配がない。


 どうやら、爆炎の中に紛れている方が有利な事をわかっているようだ。


「……いやらしいやっちゃなぁ」


 ミオがそう呟いた瞬間、再び飛んで来た光が、構えていた盾を焼いた。


 鏡面処理もそんなに持たないらしく、形が歪み始めている。


 あと何発も耐えられない。


 ミオは駐車場の中で動きながら必死に考えた。


 通信の妨害を受けたのか外からの通信が全くない。


 センサーも、「オーダンナー」の装備したもの以外はどうやら使えていないらしい。


 気のせいか、「オーダンナー」のパワーも落ちている気がする。


 ウチが弱気になってるからか?


 ミオは、この不安定なエンジンの弱点を今更ながら感じていた。


 勢いに乗れば無敵のパワーだが、不安になれば動きはどんどん鈍くなっていく。


 特に腕周りが重い。


 多分、霊子力に頼っているせいだろう。


「落ち着け」


 ミオは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


 弱気になったらあかん。


 もっと前向きになるんや。


 ミオは考えた。


 相手はどんな奴か?


 多分、公園の森から出てこようとしないという事は、格闘戦はできない奴。


 動きが遅いか、射撃武器しかない奴だろう。


 そしてビームが飛んでくる間隔……。


 多分連射はできない。


 動いていると当たらないので、命中精度が良くないか、よほど狙わないといけないものなのだろう。


 ……連射?


 そこで、ミオははたと気が付いた。


 あれだけうっとうしかった、砲撃が飛んでこない?


 なんで?


 そこで、ミオは一つの結論を導き出した。


「もしかして、敵も通信できてへんってこと?」


 そこで、ミオは周囲に小型ドローンがいない事にも気が付いた。


 最初のうちに全部撃墜してしまったか、デッチと同じくコントロール出来なくなってしまったか。


「向こうも手駒はそんなにないっちゅうことか……」


 要は二対一、しかも向こうも連携はとれていない。


 そして、敵の性能は……。


「……なんか行ける気がしてきたで」


 ミオは一人ほくそ笑むと、大きく息を吸い込んだ。


 罠かもしれない。


 だが、ここはパワーで食い破る。


 そう、こんなピンチは、スーパーロボットではお約束だ。


 どうするかは、ひたすらアニメを頭に刷り込んだ心と体が何とかしてくれる。


「よし! 逃げれば一つ! 進めば二つや!」


 ミオはそう叫ぶと、「オーダンナー」を方向転換させ、猛スピードでダッシュさせた。


 駐車場から再び森へ飛び込み、さらに旋回して道を探す。


「こっちや!」


 舗装された道の向こう。


 それは内堀へと続く南側の回廊だった。


 その坂を全力で上る「オーダンナー」


 それは、隠れている敵ではなく、天守閣にいるであろうもう一機の敵へ向かうコース。


 もし相手が鈍重なメカなら、振り切ることは可能だろう。


 天守閣にいる敵も隠れているなら、あの巨大な宇宙船を攻撃すればいい。


 ミオは、駆け上がった坂の先で待ち構えていた三機の地上ドローンのレーザー攻撃を盾で受けながら突進し、そのまま体当たりをかけた。


 たちまち押しつぶされる一台のドローン。


 ミオは右手で立っていたドローンをわしづかみにすると、尚も立っていたドローンに投げつける。


「これで王手!」


 どうやら、ドローンはぼちぼち在庫切れか、連携が取れないのだろう。


 ビームが飛んでくる気配はない。


 あとは天守閣の宇宙船に一直線。


 だが、ミオはそこでフェイントをかけた。


「……と、見せかけて! 「だるまさんが転んだ」!」


 そう、このルートは敵を迎撃するための、一本道。


 振り返れば、こちらが待ち伏せする側になる!


 ミオが振り返った、背後の一本道。


 そこには、こちらの動きに慌てたのか、必死に後を追いかけてきた「見えない」メカが、熱源感知モニターにくっきりと写っていた。


 周囲にドローンの残骸の熱源はない。


 慌てて追って来たのか熱を放出しており。他のドローンとは違うクモ型の形がはっきりわかった。


「見つけた!」


 ミオは叫ぶとすかさずその勢いで「オーダンナー」の腕を振りかざす。


 ミオのイメージに反応し、それは輝きながら回転し始めた。


「食らえ! ロケットスクリューパァァーンチ!」


 ミオの叫びと共にオーダンナーの腕が射出される。


 

 クモ型のメカは木の陰に回避しようとしたが間に合わず、街路樹をなぎ倒して飛来したパンチ直撃を受けてそのまま外堀へ吹っ飛んで行く。


「まずは一つ!」


 反動で跳ね返ってきた腕を再び元の位置にキャッチすると、敵メカが水面に落下してできた水しぶきを背景にポーズを決める「オーダンナー」


 ドローンのカメラが無いのが惜しいな、とミオは少し思った。


 そして通信機の向こうから聞こえてくる歓声。


 どうやらあのメカが通信を妨害していたらしい。


 通信はどうやら回復しつつあるようだった。










 



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