6 祖母・アーシアは語る
短めです。
王妃たれと、両親はいつも口にした。私は、王妃になるための、道具。
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公爵家の娘として生まれたのだから、王妃になるべきと、そう、生まれたその時から言われてきた。
だから、王妃として選ばれなかったときは、意味がわからなかった。私よりも身分の低いものだったから余計に。
両親はその怒りを私にぶつけた。お前の努力が足りなかったのだと。
だから、学園で彼女に会ったとき、その背中を押した。階段の上だった。
私はすぐに家に連れ戻され、伯爵家のものと婚約させられた。この私が低位のものとなんて。彼に学園で会ったことがあると言われたが、わからなかった。
私はそのまま伯爵家の領地に移り、しばらく王都には行かなかった。すぐに2人の子を授かったから。
女の子ではなかった。女の子だったら、王子妃教育をしなくてはいけないもの。だから、少し安心した。
長男が結婚したけど、同等の伯爵家のものだった。侯爵家かそれ以上でなければ認めたくなかったが、夫が押し通してしまった。次男の妻は子爵家のものだった。
私の孫が生まれた。ようやく女の子だ。私と同じ黒髪に紫の瞳。
私の可愛い、可愛い子。さあ、王子妃教育をしなくては。
他にも女の子が生まれたけど、髪や瞳の色が、私じゃない。こんな子、いらないわ。
私は私と同じ色の娘、アリシアを教育した。伯爵家程度の女なんかに教育をまかせはしない。我が公爵家の力で、王子妃にさせるのよ。
そしてようやく我が公爵家から、王子妃が誕生した。お父様もお母様も、本当にお喜びになった。私もようやく目的を果たせた。
だけど、まだ油断はできない。
父の伝手で、王子の様子を伺わせていたら、嫌な知らせが入った。
「どうやら王子は、王子妃候補者だったキセラ侯爵家の娘を側室に考えているようです」
なんてこと。私はまた、選ばれない。
天は私に味方をした。土砂崩れで王城は混乱している。
その隙に、王子とあの女がよく食べていたという菓子を用意させ、そこに毒を盛る。それぞれ2人に届け、女が無理心中を図ったかのように見せかけた。
これで私は王子妃になれる、なれるのだ。
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夢を見た。
庭で子供達が走っている、大声で笑いながら。ガゼボでお茶を飲みながら、笑い合う夫婦。ああ、あの黒髪の少女は。
「昔一度だけ、ガゼボでお茶をしながら、子供達と遊んだことがあります。母が外出中だったので」
「そんなことがあったかな」
「ええ、母はあまり外出しませんでしたからね。でも真っ最中に母が帰ってきてしまって」
「怒られたのか?」
「いえ、母が呆然と立ち尽くしていたので、初めはひどい光景に呆れ果てていたのかと思いました。でも、母は、笑っていたんです」
「あいつが笑う?」
「ええ、初めて見ました。そして、涙を流していたんです」
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どこかで声がする。
懐かしい思い出を語っている。
私は王妃になれたのに、何か間違えたのだろうか。
王妃よりも、大切なものがあった気がする。
私の手より小さな手を握ったような。そして優しげな笑みで私を抱きしめてくれた人が。
お父様、お母様、私は役に立ちましたか?




