信じて疑わない
死んだ親の借金を整理した、相続放棄手続きを■■にしてもらったにも関わらず、連帯責任者に自分の字でサインした書類を持ったやつが現れたからだ。
内緒で自己破産をした。ばれないように共用のクローゼットの隅に書類を放り込む、しばらく経ってもばれていないのですっかり油断していたら、ある日深刻な顔をした■■に書類を差し出された。
私は仕方なかったこと、心配すると思って言えなかったことをつらつらと述べた。
■■は泣いていたが、これが最善の方法だと信じて疑わない。
薬を飲んでいるせいで、車の運転は禁止されている。
けれど容易く■■は車でしか行けない用事を言いつけてくる、薬を飲んでるからと言っても、よそはみんなしてる事だから当たり前だと強要してくる。
案の定私は頻繁に事故を起こしてしまう、そうなると保険料のことでとてつもなく怒られる、心配されたことは一度もない。
特にきつかったのは、呑み会の送迎だ送るのは当たり前、迎えに来るのも当たり前、深夜になっても呑み会が終わるまで連絡もない。
風邪をひいていても、どんな時でもこれは絶対だ。
だってみんながしている事だからと。
薬で微睡んでいると、どこかの風呂場から声がした、二人以上の声?
意識が沈んでいって溶けていく。
何度か事故を起こしていることを、病院で伝える、先生からは運転していること自体が危険だと言われるが、段々先生からの信用がなくなってきている。
診察の度に説教が増えてきたり、鼻で笑われる回数が増えてきたようだ。
洗い物は私の当番だ、冬場にお湯で洗おうとしたらとても怒られたので、それ以来手袋をしているが、とても手が滑るので食器を何個も割ってしまう、当然また叱られる。
とても体調の悪い日などは、椅子に座ってやればいいよ。
と優しい言葉をかけてくれる。
体調不良が椅子に座って治るものかと思いながらも洗う。
私たちはとても仲の良い夫婦だ、お互いがお互いを思いあっているという構図で、いつも私の傍には■■がいると微笑ましく見られている、決してそう見られたい訳ではなく、言葉があまりにも分からないのだと、当然言えるはずもなく今日も過ごす。
ずっと一緒にいられる人っていうのは、皺くちゃになっても一緒にいる姿を想像できる人だよ。
どこかで聞いたそんな言葉、一ミリも想像できないのは私の想像力が欠如しているせいなんだ、きっと。
よくある事なんだろうけど、私がインフルエンザになっても、決して病院には行けない、まともに休養も取れない。
■■は検査結果が出る期間より早く病院に行こうとする、勿論止めるがとにかくすぐ病院に行って、たっぷり休養をとる。
本気で心配していても、頭の片隅ではしらけている自分がいる。
■■に用事を頼む、どこでもやっている事だ、■■は薬のせいで運転できないと断ってくるが、それはなんでも盛る■■の悪い癖だ。
運転ぐらいなんでもないのに何度も事故に遭う、保険会社からの請求はどんどん上がる、それはただ鈍臭いだけだといらいらする。
■■はよく道に迷う、どこに行っても迷う。
周りには天然だからと言っているし、言われている。
だけどその言葉に悪意がちりばめられているのは否めない。
ある日いつものように喧嘩をした、きっかけは些細なことだった。
止めてくれる人がいなければ、とんでもないことになっただろう、私は■■に馬乗りになり拳を顔面に叩きつけるところだったのだ、見ていた人がその光景を見て驚いて拳を後ろに引き後退りさせていなかったら怪我をしていただろう。
けれどこれは■■がわるいのだ、そこまで怒らせる言動も、その後私を折れたハンガーで殴ろうとしてきたことも、誰もそれを見ていないと言うが、結局は酒が悪いのだ。
薬で微睡んでいると、どこかの風呂場から声がした、二人以上の声?
意識が沈んでいって溶けていく。
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