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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第六章 最後の抵抗、新たな支配

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第八十三話 挟撃の危機

"突き通す角"艦隊と"堅忍不抜の甲殻"艦隊が、

前後から第5艦隊を囲い込んだ。


「全艦足を止めるな!

 常に突撃を繰り返せ!

 止まった途端に挟撃されて撃ち抜かれるぞ!」


カイが叫ぶ。

前方に控える"堅忍不抜の甲殻"艦隊に向け、

速度を上げて突き進んだ。


「弾幕緩めるな!

 動き回れ!

 その間に父上が奇襲して下さる!」


絶叫に近い指示が艦隊内に跳ぶ。


"堅忍不抜の甲殻"艦隊が前面、左右に特殊な装甲を展開した。


クリムゾンの突撃を真正面から受け止めた。


クリムゾンの突撃はその練度から高速航行中にも

敵のシールドの弱い点にレーザー兵器、

装甲が薄い点に実弾兵器を打ち込む。


適確な弱点攻撃によって敵を打ち破る。


"堅忍不抜の甲殻"艦船の特殊装甲に、

第5艦隊のレーザー兵器とミサイルが多段命中し爆発が発生する。

シールドはほとんど張っていないようだった。


この場合、レーザー兵器が装甲を焼ききって大ダメージを与える。


爆発光が収まった後、その装甲には確かに傷がある。

だが――

レーザーもミサイルもどちらも決定的な打撃には繋がっていなかった。


「バイオ・カーバイド外骨格……」


顔を青ざめさせた情報参謀が呟いた。


「提督、あれが神聖帝国艦隊を常に苦しめる、

 ジソリアンの生体装甲です!」


バイオ・カーバイド外骨格とは、炭化ケイ素、金属イオン、有機繊維が

三層構造で結合した、

生体・金属・セラミックのハイブリッド外骨格である。


衝撃吸収層があり、実体弾はめり込むが貫通しにくい。

レーザー兵器で焼ききることはできるが、

有機セラミック層がレーザーを散らすため、威力が大きく削られる。


無敵ではないが、弱点がない。


背後を気にしながら押し切れる相手ではなかった。


"堅忍不抜の甲殻"艦隊の前面生体装甲壁が、

クリムゾン突撃を真正面から受け止めた。


「押し返される……!

 前進速度、低下!!」


その時、カイのモニタにアラームがいくつも表示される。

後方の駆逐艦が三隻被弾、たったの一発でシールドを撃ち抜かれて爆散した。


「今度は何だ!?」


カイが叫ぶ。

後方の様子がホログラフ情報ウィンドウに表示される。


"突き通す角"艦隊の三隻の弩級戦艦上の大型主砲兵器が残光を残している。

弩級戦艦の周りには八隻の戦艦がドッキングし、

エネルギー炉を同期、巨大要塞砲のような出力を持つ、

貫通力の高いレーザー兵器を実現している。


まさにこれこそが"突き通す角"艦隊の角そのものだった。


情報参謀が声を張り上げた。


多艦式位相収束光槍マルチシップ・フェイズランス……。

 気を付けてください。

 

 あれは動く要塞巨砲です!」


カイが吐き捨てるように叫ぶ。


「次から次へとっ!」


素早く宙域図に目を通す。


「くそ。一旦反転!

 距離をとり、動きを止めるな!

 角砲に狙われるぞ!!」


カイが吠えた。

第5艦隊は急旋回し、"堅忍不抜の甲殻"艦隊によって、

押さえつけられていた状態から再びフルスピードでこの宙域を離脱、

"突き通す角"艦隊へ向けて突き進んだ。


その間も角砲のチャージ音が宇宙を震わせた。


「全艦、まずは角を討つ!

 角砲には気を付けろ。当たれば即死と思え!」


角砲が放たれる。


「フリゲート艦 《ニャル・スパロウ》爆散!

 《ミュレイ・スティング》大破!!」


避けきれなかった二隻が撃ち抜かれる。

シールドと船体を貫通し、二隻が同時に沈む。


艦橋が揺れる。

だがカイは叫ぶ。


「動け! 止まるな!!」


ドッキングして動けなくなった固定巨砲はすぐに仕留められると思っていた。

だが、それほど甘くはない。


動けない弩級戦艦を守るように前面に"突き通す角"艦隊の巡洋艦が前に出る。


前面シールドに全出力を回した防御特化の巡洋艦が光線を吸収し、

カーベックス鋼の追加装甲で前面を固めた重装重巡洋艦が実体弾を受け止める。

この二種の艦が壁となって立ちふさがり、

弩級戦艦の角砲を守り抜く布陣だった。


"堅忍不抜の甲殻"艦隊ほどではないが、そう簡単に撃ち抜ける状況ではなかった。


「くそっ!反転! 角砲の射線に入るぞ!!」


カイの声が鋭く響く。

第5艦隊は急旋回し、"突き通す角"艦隊の射程から逃れる。


反転した先には"堅忍不抜の甲殻"艦隊が再び壁となって迫る。

均質に硬い生体外骨格が、クリムゾンの弱点狙いの戦術を完全に封じる。


「突撃、効きません!

 装甲に傷はつきますが……決定打にならない!!」


「分かっている! 反転!!」


再び"突き通す角"艦隊の前面防御陣形が迫る。

装甲重巡が突撃を受け止め、

シールド巡洋艦が光線を吸収する。


「角砲、再チャージ開始!!」


「逃げるぞ!!」


だが逃げる方向には、

"堅忍不抜の甲殻"艦隊がすでに回り込んでいた。


「包囲が狭まっています!!」


中型艦が次々に中破していく。


「"堅忍不抜の甲殻"艦隊、再接近!

 距離、零点三!!」


「反転! 反転だ!!」


だが、クリムゾンの小型艦はほとんど残っていなかった。


「《ニャル・フレイム》爆散!

 《アーク・ミュレイ》中破!!

 《ニャル・ヴァルゴ》推進剤漏れ!!」


艦橋の空気が重くなる。


「……これ以上は……」


誰かが呟いた。


カイは叫ぶ。


「黙れ!!

 動き続けろ!!

 止まったら死ぬ!!」


しかし、その声にも焦りが滲んでいた。


"堅忍不抜の甲殻"艦隊が壁となり、

"突き通す角"艦隊が槍を構え、

逃げ場が完全に消える。


「角砲、チャージ完了!!

 敵弩級戦艦群、主砲展開!!」


「旗艦 《トゥルローニャッド》、角砲にロックオンされました!!

 ロック数……増加中!!」


コンピュータが赤い警告を連打する。


アラームの嵐。


艦橋が赤く染まる。

もし、これを無理に回避した場合、

"堅忍不抜の甲殻"艦隊の真っただ中に突っ込むことになる。


「シールド出力、限界!!

 これ以上は……!」


カイは立ち尽くした。


(……父上……

 俺は……ここまでなのか……)


旗艦の艦橋に、奇妙な静寂が落ちた。

警告音だけが鳴り続けている。

誰も声を出さない。

カイだけが、小さく、誰にも聞こえない声で呟いた。


角砲の光が収束する。

宇宙が白く染まる。

挿絵(By みてみん)

★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。

第八十三話「挟撃の危機」、今回はカイさんの絶体絶命の危機が描かれました!

「堅忍不抜の甲殻」艦隊の「バイオ・カーバイド外骨格」、めちゃくちゃ厄介ですね!

クリムゾンの突撃が効かないとか、完全に弱点がない装甲です…。

そして、「突き通す角」艦隊の「多艦式位相収束光槍マルチシップ・フェイズランス」も、めちゃくちゃヤバイです!

動く要塞巨砲って、シールドと船体を一発で貫通するとか、恐ろしすぎます…。

カイさんが必死に艦隊を動かし続けて、「止まるな!!」って叫び続けてるのが、本当に緊張感があります!

でも、小型艦が次々に撃沈されて、逃げ場が完全に消えていくのが、めちゃくちゃ辛いです…。

そして、最後の「旗艦トゥルローニャッド、角砲にロックオンされました!!」って、完全に絶体絶命ですよね!

カイさんが「父上……俺は……ここまでなのか……」って呟いてるのが、本当に切ないです…。

でも、ここでトウガさんが登場するんですよね!?

「角砲の光が収束する。宇宙が白く染まる。」って、次回、絶対にトウガさんが助けに来ますよね!?

次回も、絶対見逃せませんよ~!

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