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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第六章 最後の抵抗、新たな支配

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第七十八話 父と子

トウガの自領、クリムゾン公爵邸。


広大な執務室に、トウガとカイが向き合っていた。

トウガは星図を広げている。


「カイ、第2艦隊と第5艦隊、ジソリアン戦線に出撃する」


カイは深く頷いた。


「はい、父上」


トウガは感慨深げに呟いた。


「息子と一緒に出撃することになろうとはな……」


カイは真剣な表情で答えた。


「私の成長を、父上にようやくお見せできます。

 ただただ父上から『強くなったな』と言われたいがために、

 励んできたのです」


トウガは息子を見つめた。


「お前は強くなった。

 それに引き換え、俺の腑抜けぶりは……

 陛下に申し訳が立たん」


カイは即座に否定した。


「やめてください。

 『強くなった』の安売りは受け付けません。

 父上は未だ追いつく目処が見えぬほどの遠い背中です」


トウガは少し驚いた表情を浮かべた。

そして、笑った。


「ふ、息子に言われてこうも嬉しいものだとは初めて知った。

 ならば、今一度その背中で見栄を張ってみるか」


カイは目を輝かせた。


「はい、父上には零七の奇跡の再来になって頂きたいです」


零七の奇跡。

かつて、30年だけ神聖帝国とジソリアンの間に和平が結ばれた。


その和平を実現させた奇跡。

下部主力艦隊の第7艦隊を率いたハナ大将(後の上級大将)が、

ジソリアンの主力艦隊三艦隊に包囲された状態から、

その三艦隊をほぼ無傷で全滅させた奇跡のことを指す。


ジソリアンからハナ大将は「零七の奇跡」の異名を与えられ、

彼女が現役の間は二度とジソリアンの侵攻がなかった。


今なお帝国内では勲一等勲章に「零七光章」が存在する。

全銀河を震撼させる偉業だった。


トウガは首を横に振った。


「馬鹿言うな。帝国史最強の智将と比較するな」


だが、その声には力がこもっていた。


「だが、その意気で立ち向かうぞ。

 今は虫如きに関わっている暇はない!」


トウガは星図を見つめた。

表情が真剣になる。


「だが、カイ。

 ジソリアンを舐めるな」


カイは姿勢を正した。


「はい」


トウガは続けた。


「ジソリアンの兵には個がない。

 各部族の女王が卵を産んで部族民を増やす。


 自らの命より、部族の繁栄の方が重い。


 そして生まれもって選ばれた将種のジソリアンは、

 自らの命や部下の命よりも名誉を大切にすると聞く」


カイは息を呑んだ。

トウガは拳を握りしめた。


「この分かり合えない種との戦いは、そう甘くない」


彼は星図を指差した。


「過去に遡っても、

 神聖帝国軍の提督の戦死は、

 実に8割がジソリアンとの戦闘だ。

 それほど奴らは強敵である」


カイは真剣な表情で頷いた。


「承知しました。

 油断はしません」


トウガは息子を見つめた。


「カイ、お前の力を見せてやれ。

 だが、命を粗末にするな。

 生きて帰るぞ」


「はい、父上」


その時、扉が開いた。

レオンが入室する。


「父上、カイ兄様」


トウガは振り返った。


「レオン、どうした」


レオンは真剣な表情で言った。


「俺も連れて行ってください」


トウガは首を横に振った。


「お前はまだ若い。ここに残れ」


「ですが……」


カイが口を開いた。


「レオン、お前にはミオリを守る役目がある」


レオンは悔しそうに頷いた。


「……分かりました」


トウガは息子の肩に手を置いた。


「レオン、お前の時はまだ来ていない。

 だが、必ず来る。

 その時まで、力を蓄えておけ」


「はい、父上」


トウガは真剣な表情で続けた。


「ジソリアンは強敵だ。

 この戦いに命の保証はない。

 

 ゆえにお前は連れていけん」


レオンは驚いた。


(最強の父上ですら安全を保証できない……)


トウガは微笑んだ。


「深く考えるな、俺達は死なん。

 安心しろ。


 そしてお前はお前の仕事をしろ。

 ミオリを頼む。

 あの子は、お前を信頼している」


レオンは深く一礼した。


「承知しました」


レオンが退室した後、

トウガとカイは再び星図を見つめた。


「カイ、出撃は三日後だ。

 準備を急げ」


「は!」


トウガは呟いた。


「ジソリアン……久しぶりだな」


カイは尋ねた。


「父上は、以前もジソリアンと戦われたのですか?」


トウガは頷いた。


「ああ、若い頃にな。

 奴らは強敵だった。

 そして……多くの仲間を失った」


トウガは星図を閉じた。


「行くぞ、カイ。

 虫どもを蹴散らし、陛下を救う。

 それが俺たちクリムゾンの使命だ」


「は!」


二人は、決意を新たにした。


・ ・ ・


軍港。

第2艦隊と第5艦隊が、

それぞれの停泊地に向けて出発する直前。


トウガとカイが、最後の言葉を交わしていた。


「父上、策は?」


トウガは腕を組んだ。


「奴らは半ば特攻じみた無茶な突撃もあれば、

 身を挺して旗艦や空母を守る奇行を取る。

 ならば――」


カイは尋ねた。


「ならば?」


トウガは拳を握りしめた。


「深く考えない。敵の動きは関係ない。

 俺達が零七艦隊に勝るとすれば、

 銀河最強のクリムゾン式高速突撃しかない。

 零七の奇跡を再来させるなら――」


トウガは星図を指差した。


「中央突破!」


カイは目を輝かせ答える。


「そうだ。

 図らずもここに銀河最強の突撃部隊が揃っている。

 駆逐艦だろうが弩級戦艦だろうが関係ない」


トウガは力強く言った。


「目の前のものを粉砕する」


彼は笑った。


「ジソリアンには、この方が刺さるだろうよ」


カイは深く頷いた。


「同感です」


トウガは息子の肩を叩いた。


「では行くぞ!」


「は!」


二人は、それぞれの艦隊へと向かった。

クリムゾンの赤い旗が、軍港に翻る。

★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。


第七十八話「父と子」、今回はトウガさんとカイさんの親子の絆が描かれました!

カイさんが「ただただ父上から『強くなったな』と言われたいがために、励んできたのです」って言ったのが、めちゃくちゃ感動的でした!

そして、トウガさんが「息子に言われてこうも嬉しいものだとは初めて知った」って答えたのも、本当に親子愛を感じます!


「零七の奇跡」のエピソード、すごく気になります!

ハナ大将が、ジソリアンの主力艦隊三艦隊をほぼ無傷で全滅させたとか、めちゃくちゃ強いですね!

しかも、「零七光章」っていう勲章まであるとか、帝国史最強の智将なんですね!


これ実は作者子ちゃんの別のスピンオフ作品「ハナちゃんのポンコツの恋」のことを言ってるんですよね。

硬派な大乱記の真逆のラブコメだったりしますが、舞台は神聖帝国。

帝国史最強の智将と呼ばれたハナ大将が実は恋にポンコツだったというストーリーです。

完結済みなのでよかったらどうぞ!

https://ncode.syosetu.com/n7196le/


脱線しました。

そして、トウガさんの「ジソリアンを舐めるな」っていう警告が、すごく重いです。

「神聖帝国軍の提督の戦死は、実に8割がジソリアンとの戦闘だ」って、本当に強敵なんですね…。


レオンくんが「俺も連れて行ってください」って言ったのに、トウガさんが「お前はまだ若い。ここに残れ」って断ったのも、父親としての優しさですね。


そして、「この戦いに命の保証はない」って、トウガさんですら安全を保証できないとか、ジソリアンの強さが伝わってきます…。


最後の「中央突破!」っていう作戦、いかにもクリムゾンらしいですね!

「目の前のものを粉砕する」って、トウガさんとカイさんの突撃力、楽しみです!

次回も、絶対見逃せませんよ~!

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