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第二次世界大戦を乗り越えろ!  作者: 湖灯


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【結婚式と新婚旅行②】

 結婚式の仲人を草鹿さんに頼みに行くと、彼は自分よりもっと君を、いや君のことと君と同じように日本のことを思っている人がいるだろうと言ってくれ、私は薫さんを連れて迷わず皇居に赴いて鈴木貫太郎侍従長に仲人を頼みに行くと鈴木さんは快く引き受けてくれた。

 結婚式はとどこおりなく行われ、その間に出席者の奥さまたちが披露宴の支度をしてくれ、その中には東条英機の婦人かつ子さんもいて永野さんの京子夫人や井上さんの娘さんで丸田家に嫁いだ靚子せいこさんや大本営の徳川さんと共に、仲よく手伝ってくれている姿を感慨深く見ていた。


 私たちの結婚式は急だったので、全国を飛び回っている柳生さんが来てくれるのは無理かと心配していたが、ちゃんと盛装して出席してくれた。

 あの夜、薫さんは未来には帰らないと言ってくれたが、そのことはずっと柳生さんに相談していたらしい。

 そして柳生さんから「人生は1度しかない。悔いのない道を選びなさい」と言われたことで薫さんは決心したそうだ。


 披露宴も無事に終わり、来てくれた人ひとりひとりに挨拶をしていると、あのかつ子夫人も東条と一緒に来た。

 私が陸軍参謀本部総長夫人に手伝わせてしまい申し訳なかったことを謝るとかつ子夫人は明るく笑い「これからは、その総長にも日本の平和をチャンと手伝わせますから、どうぞよろしくお願いいたします」と深々と頭を下げられた。

 私たちは慌てて頭を上げて下さるように促し、かつ子夫人もそれに従ってくれたが、その際に隣にいる東条が苦い顔をしたまま頭を下げていなかったのを見ると「アナタも、ちゃんと決めたのですから、けじめはつけなさい」と東条に優しく言うと、東条は素直に夫人の言葉に素直に従い真面目な顔をして言った。

「これからは平和な日本のために、私にもぜひ協力させてください」と。

 東条家でどのような話し合いがもたれたのか知り得る術もないが、陸軍のトップである東条総長にまで深々と頭を下げられて私たちは本当に慌ててしまったが、周囲からは大きな歓声と拍手が沸き上がった。


 式が終わったあと、草鹿さんに言われた通り結婚式を挙げてよかったことを本人に伝えてお礼を言うと、彼はよかった、よかったと言い嬉し涙を流してくれた。


 私たちは服を着替え、そのまま大本営がチャーターしてくれたバスに皆と一緒に乗り込んで羽田空港に向かった。

 そして飛行機に乗る前に渡辺局長や百武副局長などが居る中で、伊藤中尉が代表して皆から集めた金で買ったライカのカメラを結婚記念品として渡してくれた。

「アメリカの新聞の一面を飾るほどの美人を嫁に貰ったんだから、梅干し婆さんになる前にたくさん写真を撮っておけよ!」と草鹿さんが言って皆を笑わせた。


 皆に見送られながら今やアメリカ空路の定期便となった17時5分発のLC-11に搭乗し、一路アメリカのサンフランシスコへと向かった。

 LC-11のサンフランシスコ直行便は座席数48席に増えたが、ハワイ便は92席と倍近くもある。

 座席数がこれほど違うのは機の大きさが異なるのではなく、燃費の問題。

 当然少ない人数を同じ量の燃料で運ぶのだから、直行便の料金は驚くほど高いのだが、それでも便数が少ないこともあり毎日満席らしい。


 19時に機内食のサービスが行われた。

 機内食は機内で火を使用することは危険を伴うので日本人には幕の内弁当、外国人の客には洋風幕の内弁当が配られた。

 LC-11の登場で海外への長距離航路への参入が始まったのだが、日本の航空会社にはそのようなノウハウが全くなく、そこで柳生さんと薫さんがさまざまなシステムを考えたものの中にこの機内食があった。

 出発直前に契約した弁当屋から出来立ての弁当を乗せ、それを空調機で保温するBOXの中に入れておくことで温かい料理が提供できる。

 朝食用のおにぎりや、昼食用のホットドッグもこの空調機で保温する。

 またデザートや漬物など、加熱しないものは空調機の冷房BOXに入れておくことで、食品が痛むことを抑え、常温保存のサンドイッチや巻きずしは乾燥しにくい密閉式の容器に入れて保存される。

 未来では電磁調理器とか電子レンジといった、火を使わないで加熱調理できるものがあるらしいが、そのようなものがないこの時代に来てもちゃんと二人が対処できてしまうのはすごいと思った。


 直行便での飛行時間は約16時間と長いものの、座席の前後は大きく開いているので私たちは椅子を大きく倒してゆっくり休むことができた。

 もちろん背もたれを倒す前に、仲よくキスをして寝た。


 東京とサンフランシスコとの時差は16時間あり、その時間はちょうどこの旅客機での移動時間と同じだった。

 そのことで私たちは9月14日17時に東京羽田を出発して、同じ14日の17時にサンフランシスコに到着するという不思議な体験をした。

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