【出し抜かれた者たち②】
そしてもうひとりアラン・ブルックス将軍のほうは、イギリス空軍が参加できず、唯一出動が可能だった海軍の戦闘機の投入は見送られたためこの大勝利にイギリスは全く関与できなかったことをとても恨んでいると聞いていた。
なにしろこの当時のイギリス空軍の主力戦闘機スーパーマリン スピットファイアとホーカー ハリケーンがもしこのアルジェにいても作戦への投入はされなかっただろう。
この作戦で特に重要なのは、波状攻撃をかけてくることが予想されるドイツ軍機に対して、どれだけ長い時間制空権を維持し続けられるかがカギとなったから。
作戦に投入されたアメリカ海軍のF2Bバッファロー、グラマンF4Fワイルドキャットの航続距離は共に1,600~2,600kmもあり。
陸軍のP-40トマホークは2,200km、P-36Aホークでも1,700kmの航続距離を誇り、この4機とも運動性能は軽快で、最高速度も最も遅いP-36Aホークでも時速504キロ出せた。
これに対してイギリス空軍のスーパーマリン スピットファイアは速度と運動性能は申し分なかったが、航続距離はわずか650kmに過ぎず、これでは基地防衛用にしか用途がない。
ホーカー ハリケーンのほうも航続距離は750kmに過ぎず、しかもこちらは最高速度も時速520キロと平均的なため、もしこのアルジェに両機がいたとしても性能差でハリケーンを上回るメッサーシュミットBf109やウォッカウルフFw190との戦闘で活躍することは望めなかっただろう。
なにしろ両機ともにその短い航続距離の中で、最も近い飛行場から飛んだとしても往復で300kmも距離を費やしてしまうばかりか、行きはスクランブル発進になるので戦闘時の燃費と変わらないからカタログよりもはるかに航続距離は短くなってしまう。
(※カタログスペックでは、最も燃費のいい巡航速度にプラス全速は多くても20~30分程度なので、スピットファイアの場合だと一番近い飛行場から飛び立ち作戦空域に到着するまでに全速飛行での時間を使い切ってしまうため航続距離はカタログ値の650kmよりもはるかに短くなってしまうばかりか戦闘のために滞在する時間さえも短くなってしまう)
そしてイギリス海軍のほうは実際に空母艦載機がアルジェにあったが、その艦載機であるフルマーFMk.IIは複座戦闘機のため大型で運動性能が悪い上に最高速度も時速438キロしかなく、これではドイツ軍のメッサーシュミットBf109を駆逐するどころか逆に駆逐される側に立つことになり敵の士気を高めることにしかなり得ない。
全体的に見て前史においても、日本とアメリカの航空機は全体的にバランスがよくそして汎用性も高く、多くの戦場で活躍できる性能を持っていたといえるだろう。
もっともアイクが提案した囮作戦《Operation No Way!》にもブルックス将軍は最初から猛反対をしていたらしいが、イギリス軍の戦力が投入されないことが決まり反対を叫ぶ声もトーンダウンせざるを得なくなった。
なにしろアメリカ軍が単独で行う作戦を止めるだけの権限は彼にはなかったから。
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