【出し抜かれた者たち①】
アルジェに戻ると、空港では派手な歓迎を受けた。
歓迎は私とアイクでたてた《Operation No Way!》の記録的な大戦果を祝ってのことだったが、駐欧州アメリカ軍最高責任者ジョージ・マーシャル将軍は周りの笑顔とは少し異なる強ばった表情をしているように見えた。
しかもここアルジェに来ているはずのイギリスのアラン・ブルックス将軍の姿は見えなかった。
駐欧州アメリカ軍最高責任者としてアフリカに来ているマーシャル将軍は、アフリカではなくイギリス本土にアメリカ軍を待機させる予定にしていた。
それをチャーチルが北アフリカ戦線で自国がドイツ軍の攻撃により劣勢に立たされていたので、アメリカ軍の最初の米英共同作戦の場所としてこのアフリカを要望した。
マーシャル将軍は自身の作戦構想が同盟国によって勝手に変えられてしまったことが不満で、当初まったくやる気をなくしていて、このアルジェに来たのもイギリスからの強い要望があったからで実はイギリスは今回決戦の舞台となったアンナーバどころかチュニジアまでアメリカ地上軍の進軍を望んでいた。
だがアルジェより東に進めばドイツ軍爆撃の索敵圏内に入り、アンナーバから東に進むとドイツ軍戦闘機の作戦圏内にも入ってしまう。
だから彼はしばらくここアルジェで、戦況を見ることにしていた。
彼はアメリカ陸軍の戦力が、まだ整っていないことを知っていた。
前史では物量に物を言わせて戦いに勝利してきたアメリカだったが、参戦したばかりの頃は質・量ともに戦力はまだ整ってはいなかった。
しかしPPSA(環太平洋安全保障協定)の締結により、日本の空母機動部隊に対抗するために太平洋方面に展開していた海軍の戦力を欧州戦線に回せることになった。
多くの航空母艦をはじめとする軍艦。
島しょ部防衛および奪還に投入される海兵隊。
その海兵隊の上陸を支える、数多くの上陸用舟艇。
航空機、戦車、大砲、それに銃弾や砲弾も。
今回の勝利も海軍のF2BやF4Fなしではなし得なかった。
これは性能面も大きいが、やはり数をそろえられた方が圧倒的に大きい。
彼はそのことを見誤っていたから、アイクに出し抜かれる形になってしまった。
だから、この勝利も素直に喜べないのだろう。
そして彼の立ち位置もまた微妙なところだった。
現在は陸軍大将として駐欧州アメリカ軍最高責任者となっているが、実はこの大将という地位は暫定的に昇格したに過ぎず本来の階級は少将。
この作戦の前に准将となったアイクとは階級で1つしか差がないことになるが、もともと様々な経緯もあって作戦にあまり乗り気ではなかった。
自身の立場と圧倒的な勝利で作戦を終えたアイクとの関係は微妙なものになるはず。
執筆の励みになりますのでブクマ&高評価で応援していただければ、私も調子に乗って頑張ります(^▽^)/




