【Operation No Way!の終了】
ドイツ空軍による攻撃はその後3日間続いた。
彼らは特に爆撃機の損耗が激しく、最後にはメッサーシュミットBf110に爆装させてまで攻撃を仕掛けてきたが、いずれも成功することはなく、我々はドイツ軍に壊滅的打撃をあたえた。
初日こそ出撃を控えさせていた陸軍のP-40戦闘機も、2日目からは投入してフル回転でドイツ軍機の迎撃をおこなった。
結局この《Operation No Way!》は僅か4日間の戦いで、ドイツおよびイタリア軍航空機を実に600機以上も撃墜しUボート5隻を沈める圧倒的な勝利で幕を閉じた。
もっともドイツ軍だって負けたと思っているわけではないのかもしれない。
我々はドイツ軍の攻撃が終わった夜には必ず木でできた囮部隊の位置を変え、燃え残った殻には布を覆って花束を掲げた。
これは私の発案で、我々のために燃えてなくなった物に対する感謝と慰霊。
日本でいう八百万の神への供養の気持ちを捧げた。
空からしか見ないドイツ軍はこれを墓標と勘違いして、攻撃を受ける度に位置の変わる囮部隊をほぼ殲滅するまで攻撃を続けた。
この部隊がもし本物であれば、彼らは500両からなる戦車師団をこの世から葬ったことになり、これは北アフリカ戦線で戦うロンメル将軍の後方安全を確保させた重要な勝利となったことは間違いない。
優秀な兵器を集め、優秀な兵士を集め、優秀な指揮官が作戦を練ったとしても、完璧な戦争の勝利などはあり得ない。
圧倒的な兵力差があったとしても必ず死傷者はでてしまうし、勝者の反対側には必ず敗者というものが存在する。
アメリカ軍はこの戦いで52機の戦闘機が撃墜され236機が損傷して使用不能になった。死傷者はパイロット79人に地上作業員14人、そして民間人8人の、合計101人でそのうち36人が亡くなった。
一方ドイツ軍の死傷者は2,000人以上と思われる。
戦争がなければ、失われなかった命。
戦争がなければ、怪我に悩まされ事もなく進んだ人生。
戦争がなければ、夫の死に嘆かなくてすんだ家族。
戦争には勝者と敗者という構図がつきまとうが、戦争はゲームではない。
勝者になって素直に喜べる者たちは、戦争によって失う家族や仲間がない者たちだけ。
戦場に出る家族や仲間を持つ者たちは、戦争が続く限り戦場にいる家族の状況に苛まれる。
戦争に勝者も敗者もいない。
戦争において最も重要なことは、その責任を追及することだと私は思う。
それは単に負けた者たちの中から戦争責任者と戦争犯罪者を見つけ出して裁くというご都合主義的なものではなく、なぜ戦争に至ったのかを勝者や敗者関係なく第三者の目線できちんと調査して裁くこと。
戦争の原因とは、インディアンの土地を奪い取るためにインディアンを殺したという酷いものはそうそうない。
少なくとも現在の民主主義体制においては、有り得ない。
戦争に至った理由を敗者だけが原因を被るのはおかしい。
戦争に至った理由を両者ともに真剣に考えさせて、分析し、反省させなければまた新たな戦争は行われ続けるだろう。
この日の夕方前、アルジェの司令本部からこのコンスタンティン飛行場に七面鳥をはじめご馳走が届けられた。
けれども今は誰もパーティーを楽しむような気分になれない。
被害が少なかったとはいえ全員無事だった戦闘機隊は少ない。
各飛行隊には、開いたテーブルが幾つかある。
我々はそのテーブルの開いた意味を無視するわけにはいかないし、決して忘れてはいけない。
こうして作戦名《Operation No Way!》は、ポジティブな意味の『信じられない!』成果を上げて終了した。
アルジェの司令本部から届けられたご馳走を、共に戦い死んだ戦友に捧げてお祈りをして夕食にいただいた。
完全勝利に羽目を外して踊り狂うものはいない。
皆が静かに食べた。
他の飛行場の部隊も同じとは思わない。
基地や部隊の雰囲気というものは、たいていの場合それを指揮する司令官の性格にならう。
アイクはきっと慈悲深い、いい奴なのだ。
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メッサシュミットBf110E双発戦闘機。
最高速度は時速560キロと申し分なかったが、双発戦闘機ゆえに運動性能が劣り単発戦闘機との空中戦は苦手だった。
だた250キロ爆弾×2、500キロ爆弾×2、50キロ爆弾×4+900リットル増槽など、目的に合わせた各種装備ができるメリットもあったので運用方法を間違わなければ、それ相応の結果を残すことができた優秀な機体だったといえる。
写真は胴体下部に30㎜機関砲を2門備えたG型で、その他にも主翼下部に増槽など様々な装備を取り付けられていることに注目していただきたい。




