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フィッシング詐欺に引っかかったやつの話。  作者: dice-k


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7/21

7日目:「後悔」と「反省」

優児の表情に、生希はすぐに持っていたビールを置いた。


「その顔さ......絶対心配してないよな?」

生希が問いかけると


「え?そんなことないよ。ちゃんと心配してるよ?笑」

そういうと、優児はとぼけるように首を傾げ、もう一口フライに手を付ける。


「嘘つけ! もう顔がニヤついてるし!」

生希がすかさず返す。


優児は少しだけ我慢するそぶりを見せた後にふき出した。


「バレたか!」


「バレるわ!」

もはや、コントのようなテンポの良さだった。


「いや、お前が騙されたってのが面白くてな!」


「なんでだよ!!」


「ほら、お前わりと簡単に調子乗るからさ!酒でも飲んで、変なサイトに口座番号とか入力したのかと思ってさ!」


「お前、エスパーなん!?」


「当たってた?」

優児はニヤニヤしながら生希を眺める。


「ほぼ正解。ってか、全部正解......」

もはや、訂正するところすら見当たらない。


「そんで、今どんな状況なの?」

優児が缶ビールを飲みながら質問をする。


「どんな状況って?」


「フィッシング詐欺とか引っかかったことないからさ、どうなるのかなって!」


「ああ......とりあえず、口座からお金全部引き落とされて、口座は止められた」


「全部??」


「全部......。」


「マジ!?」


「マジ......!」


「それで?」


「それで.....今、手持ちのお金で生活してる感じ......」


「今、いくら残ってんの?」


「えっと......」

そういうと生希は財布の中身を確認する。


「6652円」


「うわ!!!!きっつ!!!!!セルフ黄金伝説じゃん!」


「黄金伝説でもスタート10000円だけどな!」


「たしかに!ついに、ダクト飯デビューしちゃう感じ?」


「春日じゃん!!!!」


「そう!やったら、感想教えてな!」


やはり、ほとんど心配されていない。

どちらかというと、面白がられている。


「それで、お前今月どうやって乗り切るの??」


「半額弁当とか?」


「なんか、学生の時みたいだな!」


「それで、半額弁当が手に入らなかったときは?」


「食べない......」


「子供かよ!」

優児が笑いながらツッコむ。

そういうともう一口ビールを口にして立ち上がる。


「さて.....。そろそろ帰るかな。お前と違って明日仕事だし!」

そういうと、ニヤリとしながら優児はのそっと立ち上がった。

時刻は23時になろうとしている。


「これ、買ってきたやつおいていくから、まあ気晴らしに飲みな!」

そういうと、優児は残りのレジ袋の中身を差し出した。

中には缶ビール1本と缶酎ハイが2本入っていた。


「おぉ......ありがとう」

そういうと、生希はそれを受け取り、優児を玄関まで見送った。


「んじゃ、また明後日会社でな!それまで生きてろよ!」

そういうと、優児はガチャリとドアをしめ部屋を出て行った。


優児を見送り、再び自室に戻るとまだ残っているフライと袋に入っている缶ビールに手を付ける。

まさか、今日アルコールを飲めるとは思っていなかったが、やはり明日からの生活への不安が頭を駆け巡る。

生希はそれをかき消すように、缶ビール→酎ハイへと移っていく。



..........。



朝6時43分。

強烈な腹痛と吐き気で目を覚ます。

頭痛とともに、トイレへと駆け込む。


「おえ......っ」


吐こうとしたが、何も出てこない。

原因ははっきりしている。

間違いなく、揚げ物を食べすぎた。

消化不良なことに間違いない。


トイレからもどると、焼けるような胃の不快感とともに一度ベッドに倒れこむ。


唸り声をあげながら天井を見るが、症状は特にかわらない。

「俺は、バカか......」

「今日、休みでよかったけど......」

そんなことを言いながら、仰向けになり昨日の自分を反省する。


優児が帰った後、思いもよらぬアルコールに手が伸び、ストレスを消すかのように残りのフライとともに口に詰め込んだ。

途中少し油で胃もたれも感じていたが、残すのももったいないと思いすべて食べきった。


その代償がこれである。


予定ならまだ寝ており、9時過ぎにゆっくりと起きて支度して銀行へと向かう予定であった。

全然寝足りない。

というより体がアルコールで疲れているからもうひと眠りしたい。


しかし、おなかの状態は待ってくれない。

「.......ちょっ! 待って待って!!!!」


再び慌ててトイレに駆け込む。

「.......あ”----........」

もはや何のために休みを取ったのかわからない。


トイレに顔を突っ込み静止する。

しばらく何も考えられない状態が続いた......。


少し時間がたつと、今度は油がお尻に来た。

便座に這い登り腰を掛ける。

そのまま天井を見上げると、誰もいないトイレで独り言が漏れる。


「.......ほんとさ、学ばねぇな、おれ......」


トイレの中で苦笑いが漏れる。

生希はゆっくりと立ち上がりトイレを後にする。

時刻は7時を回っていた。


おなかをさすりながらゆっくりと部屋に戻る。

二度寝をするか、支度をするか迷ったが、結局布団なの中に再び潜り込む。


(......優児には言わないでおこ。)


言ったら間違いなく「ネタ」にされる。

そう確信しながら、生希はゆっくりと目を閉じた。

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