新歓でもう先輩たちは暴れ始める②
「ってことですまなかった。」
「ごめんなさい。」
申し訳なさそうに頭を下げる2人。その後ろでは先輩が1人でテキパキとよういを始めている。
「2人は入部希望ってことでいいんだな?」
「「はい!」」
「来てくれてありがとう。俺は森本雄介。経済学部経済学科の2年だ。よろしく。」
「私は木崎朱莉。雄介と学科も学年も同じね。よろしく〜!」
そんな感じで自己紹介されて、俺たちは「よろしくお願いします」としか言いようがない。なんだろう。めちゃくちゃマイペースな人たちだ。
「自己紹介はあとからやる気やから、こっちの用意手伝ってくれ。ったく、机の準備してから流すアニメ決めろよ。」
「悪ぃ。確かにそうだな。2人はテキトーに座っててくれ。」
「「はい。」」
桜と並んで座り、ホッと一息つく。なんだろう。最初からもうすごい人たちだ。面白い人たちってのは確かなのだろうが、それにしても自由が過ぎる。
「私たちの他に入部希望っておるんかな?」
「どーなんやろ。聞いてへんし。おるんやったら来るんちゃう?」
そんなことを話しながら、2人して机に項垂れて待つ。
開始時間1分前。教室のドアが開いた。
「えっと、文芸部の新歓で合ってますか?」
「合ってるよー。そこら辺に座ってて。」
入ってきたのは少し小柄な1人の男子。1年生だろうか?
「1年?」
「うん。」
「ほな一緒やな。よろしく。」
そう声をかけると、俺たちのちょうど後ろに座る。俺たちは振り返る形になって、話し始めた。
「学部は?」
「海洋海洋。」
「おぉ。俺海洋先端。よろしくな。」
「そーなんや。小浜行く仲間いてよかった。」
どうやら俺と同じ、2年から小浜にいく組らしい。俺も仲間がいてくれてほっとした。
「2人は知り合いなん?」
「知り合いってかなぁ」
「付き合ってる。」
「あね。ってことは、海洋?」
「んーん。私は経済経済。」
桜は少し残念そうにそう言う。まだ同じ学科の仲間が来ていないからな。
「「経済経済!?」」
すぐに反応したのは、1つ上のカップル(?)。作業そっちのけで俺たちの机の方に来る。ちなみにもう1人の先輩は部室に物を取りに行くらしく、今はいない。
「は、はい。」
「テスト問題いっぱい回してあげるから!」
「朱莉のやつよりも俺のやつの方が綺麗だぞ。こいつ頭悪いから。」
「あ?」
「あ?やんのか?」
普通に話しかけたと思いきや、痴話喧嘩が始まる。そのとき、もう1人の先輩が帰ってきて、
「「いでっ!」」
中指を少し飛び出させた拳で頭を小突かれたのだった。