新歓でもう先輩たちは暴れ始める③
そうこうしているうちに時間になり、新歓は始まった。
「時間だけど…まだ部長が来てないんだよね。」
「誰が来てないって?」
4時半ちょうどに入ってきたのは少し背の高い女の人。いかにも創作やってそうな人だ。
「来ていきなりだけど、私、部長の前田です。学部は生物資源です。この部活って活動がまばらだし、揃うこともほぼないし、幽霊だらけだけど、オタクいっぱいだから楽しんでね。」
笑顔でそう言うけど、サラッとすごいこと言ったな。揃うことがほぼないって、ネットに書いてあることと違うやんけ。
なんて思っていると、しれっと先輩たちが2、3人入ってきていて、その人たちはずっと流れているアニメを見ている。この人たち、絶対アニメ見に来てるだろ。
「んで、2人は挨拶は?」
「私たちはしました!だけど、駿人が。」
「あーね。じゃあ駿人よろしく。」
駿人と呼ばれて立ち上がったのは、さっきからずっと2人を叱ったりしていた先輩。すらっとした立ち姿ながら程よくしまった筋肉が分かる。
「海洋先端2年の加瀬駿人でーす。どっちか言うと書き専で、小浜でも暇な時は小説書いてます。小浜行く人いたら仲良くしたいです。よろしくお願いします。」
その挨拶で、さっきの違和感の正体が分かった。
「あの潮の匂いはそれか。」
「ん?今の言ったの誰や?」
ふと口にした言葉を聞き取った加瀬先輩は、その正体を知ろうとこっちに聞いてくる。俺がおずおずと手を挙げると、嬉しそうな顔になった。
「よく気づいたな。今日も海の近く通ってきたし、住んでんのも近いから海風の匂いが染み付いてんけど、やっぱ気になる?」
「いえ、好きな匂いなんで大丈夫です。」
「そうか。なら良かった。海洋?」
「はい、海洋先端です。」
そう言うと、またいっそう嬉しそうな顔になる。たしか小浜の方は文芸部はなかったとか。だから入る人も少なくなるわけで、逆にこうして同じ学科の後輩がいることも珍しいだろう。
「よかったな。テスト問題いっぱい回したるわ。」
「ありがとうございます!」
俺としても同じ学科の先輩がいてよかった。
1年生のほうの自己紹介は、2回目の新歓後にあるご飯のときのようだ。そのときにはどんな無茶振りをされるのやら。
流していたアニメもちょうど終わり、あとから来た先輩たちの自己紹介を聞く。創作系の人はそこそこいて、イラスト系の人の絵を見せてもらったりした。めちゃくちゃ上手かった。




