新歓でもう先輩たちは暴れ始める①
新歓だ。ついに新歓がやってきた。
「どんな先輩たちなんやろな?」
「どーなんやろ?」
桜と学生会館で集合してから、指定された教室に向かう最中、俺たちはそんなことを話す。高校時代に部活に入っていなかった2人だから、先輩というものができるのが久しぶりなのだ。
「久志はどんな感じの人がいい?」
「ん〜、とりあえず喋りやすい人。そんで、活動方針がある程度自由な感じ。」
「私もそんな感じやな。」
まだ見ぬ先輩たちの姿に心を踊らせつつ、廊下を歩いていく。すると、教室から言い合うような声が聞こえてきた。
「私は許さないよ。ここで流すのがこれなのは。」
「あぁ、そうだろうよ。でも絶対にこれがいい。今はこれが熱いんだから。」
中から聞こえてくる男女の声。その声は単純に喧嘩しているようで、お互い考えている。そんな感じだ。
扉の前で入りにくくなって立ち止まっているけど、俺たちの存在には全く気づかず、2人で同じPCの画面を覗いている。
「それなら、朱莉は何を流すんだ?」
「ここは王道のこれでしょ?これが嫌いな人なんて存在しない!」
「はぁ、またベタなところを。もうちょっとコアなとこをついてもいいんじゃないか?」
「最初からフルで行ったら引いちゃう人もいるでしょ?そこを考えてよ!」
言い合ってはいるが、はたから見たらイチャついているようにも見える。俺たちは空気となりその姿を見守っていたが、肩を叩かれた。
「あの2人、またやっているのか…」
先輩らしき男の人は、ため息をつきながら俺たちの横を通り過ぎる。ふわっと潮の香りがした。
「おいお前ら!後輩たちが引いてるぞ!」
声を荒らげてそう叫ぶと、2人は驚いたようにこっちを見て、PCを閉じた。
女子のほうはボーイッシュな感じ。ブラウンのパーカーにデニムで、肩までで揃えた黒髪は、後ろでちまっとまとめられている。
男子の方はいかにも真面目そうな感じ。モノトーンな服で青いチタンのメガネをかけている。髪はセンターで分けていて、ワックスで固められている。
「あのなぁ、いつも通りイチャつくんは勝手やけど、普通にお前らの空気、初めて見る人はびっくりするからな。気ぃつけろ!」
「「すみません…」」
そしてあとから来た人は、デニムのシャツに黒のパンツ。七三分けにした黒髪はワックスで固められていて、サングラスもしている分、ガラは悪く見えるが、そんな人大阪にもよくいたなぁと素直に受け入れられる程度。関西弁だから余計にそうなのかもしれない。
いきなり濃い先輩たちと会ってしまったなと思いつつ、これから来るであろう同期のことも考えていた。




