戦闘
カンカンと町が照らされていた。
さっきまでの静けさはなりをすませ、悲鳴だけがそれを彩っていた。
「遅いよ、ブリット!!」
コワルは苛立っている様子だった。
ブリット以外の三人の少女は既に戦闘態勢をとっていた。
目の前には10メートルはあるだろうか、人型の怪物が立っていた。
正嗣は言葉を失った。
その状況にただたちくすのみ。
頭がどれだけ混乱の渦中にあろうと、現実はその理解が追いつくことを許さない。
「町に被害が出る前に仕留めるよ!!」
ブリットが前に出る。
「遅れてきてエラソーに!!」
三人がそれに続く。
オレンジ髪のオードリーが叫ぶ。
「みなさんっ、構えてください!!」
声に合わせ、 四人は飛翔する。
「スタートから全力くでいくよっ!!」
まるで、星の様だった。
流れ星。
四人の少女が光を放つと、その手には武器が握られていた。
一目で分かる、武器と呼ぶに相応しいその形は、怪物をめがけて一直線に進んだ。
「いくよっ!マスタングッ!!」
ブリットの手にはピンク色に輝くパイルバンカー。
ただ、敵を倒すことを目的に在るその体。
その大きすぎる杭を怪物の頭に打ち込んだ。
しかし、金属音。鈍い音とともにそれは弾かれる。
「貴女は直情過ぎ、もっと繊細じゃないと」
コワルは既に、怪物の喉元に潜り込んでいた。
「斬り伏せて、ダッジ•••••」
二刀は怪物の首筋を捉えたが、火花が散るばかりだった。
「コワルっ、下がってください!」
アキが飛び出す。
「私のセカンドミレニアムで貫きます!」
矢が走った。
閃光となって空を切る矢は、怪物めがけひた走った。
だがしかし、やはり鈍い音。
怪物に痛みはない。
「みなさん、ここは一度退いて下さい」
無防備になった三人を、オードリーのフェアレディが護る。
「くっそー、硬いなぁ、アイツ。なんか弱点とかないの!?」
「そう簡単に弱点がわかったら苦労しない」
「そうだけどさぁ」
彼女達は、自分達よりもはるかに大きい敵を前にしても、そのペースを崩さなかった。
こんな事に慣れてしまっているのか?
正嗣はそう思った。
「それより、ブリット」
「なに?コワル」
「先生とは、どこまでいったの?」
「どこまでって?なんのこと?」
怪物の攻撃。右腕が大きな風と共に地面を揺らす。
「貴女だけ集合に遅れてきた。後は言わなくてもわかるでしょ」
四人は軽く身をかわす。
「ああ、その事ね。どこまでって、それは、、、、、」
「それは?」
右、左、右と、鞭の様に腕をしならせ、怪物は四人を追う。
「教えな〜い」
「なっ!!」
「先生と私の秘密だもん」
「ていうかコワルってさ、クールなキャラの割にはエロいよね」
「っ、何で私がエロいの」
「知ってるよ〜、ベッドの下にいやらしい本を隠してるの」
「は!?何でブリットが知ってるの!?」
「さぁ?なんででしょう。コワルみたいな子ってさ、なんていうんだっけ。なんかあったよね、そういう人のこと呼ぶとき。何だっけ、アキ」
少女達は紙一重で攻撃をかわす。
「むっつり、ですね」
「そうそう!むっつり!!コワルはむっつり!!」
「な、わ、私はむっつりじゃない!!」
「みなさん、戦いに集中してください!」
たまらずオードリーが口をだす。
状況は悪い。傷一つ負わせられないままだった。
「ねぇ、アイツってさ、オスかな、メスかな」
「さぁ、どうでしょうか」
「むっつりはどう思う?」
「っ。たぶん、オス。声が野太いし」
「さすがむっつり!」
「それ以上言ったら殺す」
「あはは、ゴメンて。でも相手がオスだったら弱点は一つでしょ!」
「さて?どういうことですか?」
アキは首を傾げた。
しかし、直ぐさま顔を赤くした。
「そ、その弱点というのは、まさか殿方の、殿方だけの、、、、、」
ブリットは満面の笑みで頷く。
「そういうこと。みんな、私が前に出るから援護して!」
言うと、ブリットは走り出す。
目標は敵の股座。
察したか、怪物に攻撃は勢いを増す。
「道を開けます!!」
アキが矢を放つ。怪物の拳の軌道を僅かに逸らし、ブリットに道をつくる。
「視線はもらう」
飛び出したコワロが敵の注意を惹きつける。
「乗ってください!ブリット!!」
防御壁フェアレディがブリットを押し上げる。
「射程圏内っ!輝けッマスタングッ!!!」
マスタングが哭く。エンジンが唸りを上げ、暴れ馬のごとく天を刺す。
そして怒
怒涛の八連打。
「アインス!」
「ツヴァイ!!」
「ドライ!!!」
「フィーア!!!!」
「フュンフ!!!!!」
「ゼクス!!!!!!」
「ズィーペン!!!!!!!」
「アハト!!!!!!!!」
「輝けっ!リヒトヴェルト!!」
光の杭が怪物の体内を食い破り、その脳天を突き抜け天に駆けた。
「まさに、必殺」