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13 新たな武器

「まあ二人なら、身内だしそれは構わないんだけどな」


 隠し部屋に仕舞ってある物は、要は誤っての流出を極力避けるという意味での隔離だ。

 逆に言えば、その意味が分かっていて、きちんと扱える相手であれば、それを用いるのに拒否感を感じる様なアルでは無い。

 用いる事自体に拒否感を感じる様な性格をしていれば、そもそも作る事を自重したり、作っても処分する等の処置を行うのだから。

 それ以前に、エーファに一言『ここの物は使用禁止』と言っておけば、それに反した行動を取る事は、家付き精霊としては出来ないのだから。


 そもそも、隠し部屋の物はどういった物であるかと言えば、それは天浮島でしか見つかっていない素材や、今では天浮島でしか採れなくなっている素材を使っているというだけで無く、素材の使い方や作り方が表に出ていなかったり、高度な付与を施した、所謂自重していない品々なのだ。

 そして、アルが虹銀ランク探索者として動く時に身に付けていた装備もそうだが、今、ライザとイルナが身に付けている装備も、初期装備と呼んでいる物になる。

 これは、要はアルが、自分がどこまでの物を作れるのか試す意味合いで作ってみた、いわば一切の自重をしていない代物を指す。

 また、虹色に光を放つ装備品については、アルが作ったのではなく、シルキーとしての能力でエーファが作り、それにアルが自重せずに付与した物の為、アイテムランクとしても虹銀ランク、過去にこの世界に現れた勇者装備と比べても遜色の無い、所謂神器と同等の代物となっているのだ。


「簡単に言えば、初期装備とオレが呼んでいる物、つまり今二人が着てるのもそうだし、オレが着てるのもそうだけど、これらを装備してると、古代竜エンシェント・ドラゴンのドラゴンブレスを食らっても、その牙にかかっても、多分ちょっと押された位のダメージと言うか、感触しか受けない筈」

「「は?」」

「あと、当然その武器も、流石に一撃でとは言わないけれど、全力で扱えば古代竜を倒せる筈」

「「え、ちょ!」」


 ライザが今、手にしているのは、真珠色という感じで、貝細工の様に光を放つ複数の線で模様が描かれている鞘に入れられた細身の剣二振り。

 一般的な刺突剣では無く、片刃の長剣に見えるが、その刀身はシミター程であり、緩やかな湾曲もある為、切る事もある程度は可能なのであろう事を感じさせる。

 一見すると片刃であるが、剣先部分だけは両刃となっている為に、刺突にも有用である事が分かる。

 刀身に厚みはあまり無く、しかも細い部類の為、その見た目からは、あまり強度が無さそうにも見えるのだが・・・。


「刀身の芯にアダマントを使っているから、そうそう壊れる事は無いかな。

 表面は精神受容金属ミスリルで仕上げてあるから、ある程度の魔力を溜めておけるし、刃の部分は魔力伝達金属ティル・シルバーで加工してある。

 付与は無属性の重力魔法で重量軽減、同じく無属性の解放魔法で切断と復元の効果を付与してある」

「ちょ、ちょっと待って、アル。

 つまりえっと、どういう事かな?」


 多くの剣は、重量が有れば有る程、剣自体の重みや、振り回した時の遠心力が乗って、攻撃力へと転化される。

 しかし、アルが施した付与により、切断の効果が魔法的に行われる為、この剣に関して言えば重みは重要では無いどころか、むしろ取り回しの障害でしか無いのだ。

 その為に、常時発動魔法パッシブスキルとして重量軽減効果が付与され、予備及び双剣使いも可能となっており、長剣でありながら、二振りで一組という特殊な物に仕上がっている。


 切断効果は、『石を砕くと砂になる』と言う概念から、細かな物が集まり物質が構成されているというのは、漠然とした考えではあるけれど、この世界では常識となりつつあった。

 ただしそれは、あくまでも学者や研究者等の、一部の限られた人達にとっては、であるが。

 アルはそこに目を付け、開放の魔法を刃先の極限られた場所に発動させる様に付与を施したのだ。

 発動は、魔法の発動と同様に意思を通す事による能動的発動魔法アクティブスキルとなっている為、通常時は単なる剣でしか無いが、発動させれば刃先の範囲で構成の結合が開放され、結果として“切れる”現象が成立するのだ。


 復元効果は、切断効果と同じで物質の構成に目を付けたもので、切断とは逆に外部対象では無く、剣そのものを内部対象として発動し、効果が出る様になっている。

 効果は刻印を施した状態への復元であり、鞘に収めると発動する条件的発動魔法コンディションスキルとなっている為、鞘に収めている間、刻印を施した時の状態へと戻る様になっているのだ。

 欠けたり割れたりして破損が生じた場合、周囲から不足した分の構成物質を自動的に補充して行われる事から、完全にメンテナンスフリーを実現している事になる。


「とは言え、その性能はあくまでも理論上ではあるけどな。

 軽量化も、重さが無くなってる訳でもないし、切断も一応、中位竜種の鱗は切れたが、上位竜とかは試してないしな。

 復元も、流石に折れたり、大きな欠損があれば、それなりに時間を必要とする。

 効果は出てるのに、不十分なんだよな」


 『十分過ぎるだろう』と思う一同であったが、アルとしては魔法が正常に発動しているのに、完全な効果が発揮されていない辺りが不満の様だ。


 イルナが持っているのは、途中から十本に別れ、それが螺旋を描く様に巻き付いて、先端でまた一つに纏まっている、やはり真珠色をした杖だ。

 十本に別れた辺りに、十の各属性魔宝が填められている。


「イルナが持っている杖は、ライザの持っている剣とは逆で、魔力伝達金属の芯に精神受容金属を巻いて、その上からアダマントで硬化補強を施してあるから、同様にある程度の魔力を溜めておけるし、魔法伝達も高い」


 その杖には、剣と同様に無属性の重力魔法で重量軽減、同じく無属性の解放魔法で復元の効果を付与してあるのだが、剣と異なるのは切断ではなく、重力魔法が指向性発動する様に付与されている点であろう。

 簡単に言えば、アダマントによって打撃武器としても使えるが、重量軽減効果によって打撃効果が落ちる為、打撃を与えると同時に発動し、打撃方向へと重量が加わる様になっているのだ。

 これが開放魔法や魔力による衝撃では無く重力魔法によって付与された理由は、相手からの衝撃や、使用者に返って来る反動を押さえる効果がある為である。

 勿論杖としての機能も、魔法伝達力が高いだけで無く、途中に仕込まれた魔石により、十の各属性魔法が補助されるのと同時に、使用者が持っていない属性魔法でも、魔石に仕込まれた魔法に限るとは言え、発動が可能となっているのだ。

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