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01 王国の思惑

やっとの再開(第二章開始)となりました。

正直この章は、かなりの難産(つまり出来が気に入っていない)となりましたが、背景の世界観等もあるので仕方が無いかとも思っています。

次の第三章でやっとメインという感じでしょうか。

 ライザとイルナが、アルの家で暮らす様になってから一週間が経っていた。

 その間、予定通りマディナを介してアルとライザの結婚は役所に申請されているし、明日には、マディナも伴ってペラガルロ子爵のところへと向かう事となっていた。

 それ以外は、不足している日用品を購入したり、迷宮に潜ったり、作業室で作業をしたりと、余裕を持った生活をおくっていたのだが、この日の早朝、ギルドより呼び出しを受けた三人は、ギルド長室へと来ていた。


「つまり、ペラガルロ子爵のところへは、行く必要が無くなった、と」

「はい。ご自身でケリを付けたかったかも知れませんが、申し訳ありません」


 マディナが動く為に、数日間ギルドを空ける必要がある為、ギルド本部に出した申請の情報が、どこからか流出した様だ。

 そこに、違う狙いであったアルとライザの結婚申請からの情報が加わり、国の方で動くキッカケとなったものと思われる。

 つまり、流れた情報から“ペラガルロ子爵絡みで何かある”と、国が察知した訳だ。

 問題は、前提として“どこの国にも属さない”事が前提のギルドから、マディナが動くという情報が流出した事にある。


「当然の話しとして、ギルドに探りを入れているであろう事は、本部でも推測してはいましたが、ここまで露骨に示されるとは予想していませんでした」

「それって、やっぱりアルさんが動くから。っていうのがあるのかな?」

「当然それが理由でしょうね。

 虹銀ランク探索者が動くよりは、推測されているであろう探りの実体が表面化しても、その方が安全とでも考えたのでしょうね」


 勿論、ギルドへの横槍が、そこに所属している形の虹銀ランクから反発を受ける可能性は有る。

 しかし、有るというだけなのだ。

 虹銀ランクが動く事を放置するよりは、まだ可能性の方にかけた方が良い。という判断は分からない訳では無い。

 けれど、それはそれで悪手である。


「なあマディナ。国の動きが随分速いんじゃないか?

 動きの切っ掛けは推測出来るけど、それでも裏付けは必要なはずだよな。って事は」

「何らかの状況把握は出来ていた。という事でしょうね。

 状況をまとめる為にも、現状で分かっている事は教えますけど、言うまでも無く三人とも、あまり此処で知った事は話さない様に」


 その前振りの後に語られた事は、アルの疑問をより深めるものであった。

 曰く、ペラガルロ子爵はバード伯爵及び伯爵夫人謀殺の疑惑及び、意図的に魔物の異常種を生み出す実験を行った疑惑がある事。

 バード伯爵謀殺により、領地の実権を策略的に奪う意図があった可能性。

 魔物の異常種を生み出し、軍部への影響力を狙った可能性。

 領地の実権については、要は自身の権力増大と、利権を得る目的である可能性が高く、ここ二年の税金の横領及び、バード伯爵家の財産略取の可能性がある為、調査に入っているとの事。

 魔物の異常種については、軍部との関連性の疑いがあるが、魔物の制御面が不十分であれば、多くの被害が生じていた可能性が高い為に調査に入っているとの事。

 以上により、ペラガルロ子爵は騎士団に捕縛され、王都へと引き立てられた。という報告がギルドに上がって来たらしい。

 勿論、マディナが動くという情報と同様、アルが受けた指名依頼に至った情報が、ギルドから流出した可能性もある。が、そうであればアル達が迷宮に潜った際に、国の手の者が動いていてもおかしくは無い。

 となればやはり、事前にある程度知ってはいて、マディナやアルが動くという事を知って、慌てて動き出した可能性が高いという事となる。


「そもそも、虹銀の居るこのクレリアナで動いていたんだから、今更感が拭えないんだよな」

「下級貴族とは言え、一応は領主代理である子爵と、軍部との絡みもあった為、国としても動き難かったという事は考えられますが」

「その結果、そもそもの領主家が乗っ取られたり、多くの犠牲が生じる可能性があったとなると、国の怠慢でしか無いだろ。

 で、軍部はどこまで調査の手が入るのか、情報は?」

「詳細までは。ただ、東方軍に手が入ったという事は掴めていますね」


 東方軍とは、文字通り王国の東側、カールフェルト領からクレリアナの都を経て、隣国との国境を有するアスコート地方伯領までを管轄する国軍の事である。

 ペラガルロ子爵は東方軍副司令と組んで、人為的に魔物の異常種を生み出し、敵の中で暴れさせるという戦略を狙った疑いがあるという。

 軍事力、攻撃力増加は、軍部としては当然であり、罪に問えるものではないが、魔物の制御は少個体であれば使役師テイマーによって可能とではあっても、軍事利用出来るだけの個体数を操るとなれば、使役師の数的に不可能と言われている。

 勿論、少数を使っての撹乱等は可能ではあるけれど、今回の実験と思われる迷宮内での異常種の扱いを思い返せば、制御は無視していた可能性が高い。

 異常種を生み出す為の魔晶は、矢の先に付けられていた。つまり、使役され制御出来る個体を異常種とするのでは無く、遠距離から異常種をただ生み出すだけと考えられる。

 つまり、異常種そのものを目的とするのでは無く、魔晶を用いる事こそが狙いであった可能性が高い。

 その結果、制御出来ない異常種の発生が、多くの人命を奪う事となる可能性が高い。それこそ非戦闘者を問わずに。


「それだけの事が、東方軍との絡みだけで行われたと、国は本当に考えているのか?」

「さあ。ただ、ギルドからの情報流出はほぼ確定なので、その情報には、ライザさんとイルナさんへの対応に、リオネロ侯が絡んでいる事も分かっている筈です」


 リオネロ=ルネッリ侯爵は、軍務局長であり、軍部や騎士団を束ねる立場にある。


「つまり、安易に手出しが出来なかったか、東方軍の副司令が蜥蜴の尻尾扱いとなった、か」

「おそらくは」

「それはまあ、オレの身内や、ベースにしているところでやらかした割には、随分軽く見てくれたもんだな。

 ギルドとしても、何か対応するんだろうけど、オレ個人としてもこの流れは、ちょっと放っては置けないよな」


 ニヤリと笑みを浮かべるアルに、その場に居た三人は、誰も声をかける事が出来なかった。

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