28 魔法について
前三話分(25~27)が重複投稿となっていました(><;
重複投稿分は編集しましたが、繰り返さない様に今後は注意したいと思いますm(_ _)m
「え? どういう事?」
「単純だ。
付与しておけば、その場で刻む必要無く効果を得られるだろ。
だから、付与魔法を扱える様になった訳だけれど、その本分は刻印魔法でしか無いんだよ、オレにとっては」
「貴重で価値ある付与魔法が、アルにとってはおまけ扱い・・・」
「ライザ、そういうものなんだって諦めようよ」
「おい、諦めるって何だ?」
そもそもの立ち位置が違うのだから、こうしたズレは仕方が無いだろう。
それを言えば、イルナが薬関係の知識や技術を持っている事で見えるものや、感じる感覚の差や、ライザの純粋な探索者としての能力の高さを、他の二人が羨む事や、理解出来ない事も有るのだから。
「まあ、良いか。
それより結構のんびり話し込んだな。
急ぎ必要な物が無かったから良かったけれど、そうじゃ無ければマズかったな」
「そうだね。って、そう言えばそろそろ夕食時だけど、アルさんって普段食事はどうしてたのかな?」
「大抵は外食?」
「だから、何で疑問系?」
「まあまあライザ、良いじゃない。
でもそうなると、食材とか無いよね。あればわたしが作っても良かったんだけど」
「イルナは料理出来るのか」
「そりゃ、一応女ですから・・・って、ライザは仕方無いよ。貴族様だったんだからさ」
「なっ! 私だってこの二年半で、キャンプ中の野営食くらいは作れる様になったぞ」
「うん、そうだね」
「まあ大丈夫だ。ほら、家は色々普通じゃ無いし」
「・・・何か、心が痛いよ」
ちなみに、標準的な野営食は、乾燥野菜や干し肉を煮込んだスープや、採れた獣を捌いて焼く、といった物になる。
ある意味では、元貴族令嬢であったライザとは程遠い、ワイルドなものであるが、その分料理と言えるかもまた、微妙なところであろう。
「一応食材もそれなりにある事は有るけど、ライザも気にしなくて良いから。慰めじゃなくて、本当に家は色々普通じゃ無い。
例えば・・・」
アルは自分の無間袋から、幾つかの料理を取り出すと、テーブルの上に並べた。
その料理は、ある物は出来たての様に湯気が上がり、ある物は素材の瑞々しさが新鮮さを示していた。
「これはこの前、迷宮に潜る時に一応用意しておいたやつだ」
「え? だって日数が経ってるじゃない」
「説明忘れていたけど、無間袋の中って、時間経過が無いんだよ。
まあ実際のところ、無間袋ってのは北方の師の渓谷とかの、次元の裂け目の限定再現術式を付与している状態だから、何で見た目より物が入るのかとか、何で時間経過が無いのかについては分かっていないんだけどな」
「そうなんだ。って、もしかして迷宮を潜る時にも、こうした料理を持って行けるって事だよね?」
「あまり知られていない使い方だけどな」
「うん。更に無間袋って、持ってる事を知られちゃいけない事が分かったよ。
持ってる恩恵が大きすぎるよ!」
「そうだね。注意しないと」
自分達が貰った物の危険性と、アルが自分の正体を隠している理由を再確認する、ライザとイルナであった。
「とりあえず、だ。イルナが料理出来るならば、無理が無い程度に手料理を楽しみにしておくよ。
食材は、キッチン横の箱に入ってるから、好きに使ってくれて良い。
元々迷宮に入る時に用意した、食材の余りを入れてるだけだから、種類や量はかなり適当だけどな」
「・・・えっと、アルさん。ちょっと嫌な予感がしたんですけど、迷宮用の食材の余りを入れているって事は」
「ん? ああ、要は箱に無間袋と同じ付与をしている、あえて言えば無間箱?」
「やっぱり! うん、そんな気はしてたんだけどね」
「アルの傍にいると、魔道具が普通の道具に感じちゃうんだけど」
「それでいて、魔石とか魔晶を使っている物がほとんど無いっていうのが、ねえ」
魔道具自体は、簡単な物であればそれなりには出回っている。
勿論、アルが付与した魔道具よりは、性能的にも低く、機能としても単一的で、魔物が残す魔石や、魔力が多い地に出来ると言われる魔晶を使って魔力が供給されて、初めて動作する仕様の物が、一般的に目にする魔道具である。
その為、魔石や魔晶に蓄積された魔力が無くなれば、新しく魔石や魔晶を買わなければならず、維持費がそれなりにかかる事となるのだが、アルによる魔道具は、基本的に魔石等は使わないのだ。
「出回っている魔道具への付与は、儀式魔法による魔法陣を刻んでいるからなあ」
魔法陣は、要は属性魔法で術者が展開する魔法の術式を、形として示しただけの為、発動させる為には魔力を必要とするのだ。
それに対して刻印魔法の場合は、その刻印自体が意味を持つ為、大気中の魔素を用いて発動する事が可能となるのだ。
「どこかの商会が売っている、騎士団や軍向けの輜重馬車は、無間袋の儀式魔術再現版だしな。
あれは実際の、一.五倍程度の積載量程度で、銀ランクの魔物の魔石が十個必要らしいぞ」
「それって、意味あるのかな?」
「時間経過の影響を受けない事と、荷物重量で馬車が重くならないっていう利点も有るから、意味はあるだろ」
「でも、刻印魔法で造るより、効率悪いね」
「まあ、仕方が無いんだけどな。
儀式魔法の魔法陣は、その意味を一切知らなくても、全く同じ様に刻みさえすれば、後は魔力供給さえ出来れば発動するけど、刻印はそうも行かないから、誰もが扱えるって訳じゃない。
結果的に、術師は探され、追い回されるから余計に隠れる。そうなれば同じ刻印術者同士の繋がりさえ生まれないから、技術や知識は広がらない。という悪循環があるからな」
加えて、刻印魔法はその刻印自体の意味を理解して、そのイメージをきちんと持った状態で刻印を施さなければ、いくら正確に刻印を施しても発動しないのだが、その意味自体がかなり抽象的な為、人から人へと継ぐ事も難しいのだ。
「だから、刻印魔法や付与魔法を扱える人が増えないんだね」
「まあ、実は方法が無い訳じゃ無い。
要は言葉等で“示す”事が難しいってだけで、イメージそのものを“認識”させれば、教え育てる事は可能なんだ」
「そんな方法が?」
「有るには有る。実際にオレが、その方法で扱える様になったからそれは確かだ。
ただ、その方法を使う為にどうすれば良いか、そして何より、その方法を使った場合、使われた側への影響が分からない」




