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18 武器選び

「魔道具ってのは、魔法的作用を道具に付与したものを指す。というのは分かるか?」

「まあ、言葉の上では」

「通常は、それを魔石や魔晶で作用させる訳だけれど、そうじゃ無ければいけない理由は無いんだ。

 オレは刻印魔法を使えるから、そこら辺に転がってる革袋に刻印魔法を施せば、それなりの無間袋は作れる。

 ああ、無間袋大に関しては、元となる袋の強度とか、まあ要は条件が厳しくなるから、簡単には作れないけど、中でも酒樽十個は入るから大丈夫だよな?」

「「いえ、十分です」」


 思わず敬語になる二人であった。


「まあ、同じ様に、部屋の範囲で区切られていれば、床に刻印魔法を施せば転移門も作れるって訳だ。っと、この辺りだな。

 ライザ、剣を折られたよな。代わりはもう用意したのか?」

「いえ、未だですけど」

「じゃあ、ここら辺にあるやつから、好きなの選んでいって良いぞ。

 イルナは杖だったな。それはこっちだ」

「え、ちょ、ちょっと待って。

 選んで良いって・・・」

「ああ、此処にある武器や防具も、オレが付与を施した魔道具だから、そこら辺で買う物よりは使えると思うぞ」

「いや、『思うぞ』じゃなくてっ!」

「ああ、袋と同じ理由だ。

 どうせ一緒に動く事になるんだったら、少しでも良い装備で、生存率は上げておきたいと思うのはおかしく無いだろ」

「そうじゃなくて・・・って、そうなんだけど。ああもう!

 アルは私と決闘するんだよ。それなのに良い装備を与えるってどういうつもりなの?」


 この場合の質問は、意味の取り方が難しくなる。

 それでも勝てるという意味であれば、舐められているという事になるし、そうで無いのであれば、勝たなくても、つまりはライザを自分のものに出来なくても構わないという意思表示とも取れるのだ。

 また、何か仕込んである武器を渡して勝ちを拾うという小細工の可能性も、当然考える事が出来る。

 しかし、自分で質問しておきながら、ライザは自分で答えが分かっていた。

 簡単な話しなのだ。

 アルは最上位の虹銀ランク探索者。

 不意打ちとは言え、自分が一方的にやられた相手を含めた十五人を、一方的に圧倒し、制圧するだけの力を持った者なのだから、特に何かを狙っている訳ではなく、本当に、ただ単純に、ここに使える物があるから使えば良いだろうというだけであると。


「何だ。聞いておいて、自分で答えが分かってるって顔してるぞ?」

「むう」


 見破られている時点で、悔しいけれど、この人には敵わないと思うライザであった。


「それじゃ、サーベルの方もついでに貰おうかな」

「そうか、二本使うんだったな。

 適当に見繕って良いぞ。分からない事があったら聞いてくれ」


 悔しさの加え、ちょっと甘えの気持ちもあり、ライザはそう言い出してみる。

 確かに自分で付与が出来るのであれば、魔道具は確かに、それ程の価値は無いと言えるのかも知れない。

 しかし、実際には付与武器は、簡単な物でももの凄く高価だ。

 それは単に、付与出来る技術を持つ者が少ないと言う事でもあり、また、付与武器がそれだけの価値を持つ為でもあった。

 考えてみれば当然である。

 例えば、よくある鉄製の剣に、強化付与を施してあれば、鉄製の剣としての使い勝手でありながら、脆さという問題点が減るのだ。それが、元々強度的な問題に対処された合金製の剣に施されたとしたら、その価値は格段に上がるのだ。

 けれど、そんな振りには乗らないと、平然と返してくるアルに対して、本当に他意が無いんだと感じ、その上で、自分達がそれなりに大切にされている事を自覚する。

 何しろ、死がより身近な探索者という立場なのだ。その死を遠ざける重要な要素である武具の善し悪しは、とても大きく影響するのだから。


「って、何これ」


 言われた辺りには、複数本の刺突剣が有った。それは未だ良い。けれど、適当にその内の一本を手にとって、鞘から抜いて見ると、明らかに、そこら辺の武器屋に売っているものとは材質が違うのだ。


「ああ、言い忘れていたが、刺突剣はほとんど虹銀製だ。っとそう言えば・・・ライザ、ちょっと待っててくれ。

 ええと、イルナはこの辺りの、そう、その三本の中に、自分に合いそうなのがあるか、試してみてくれ。

 さて、ライザお待たせ」

「ええと、今、虹銀製って聞こえた様な気がするんだけど」

「そう言ったな」

「言ったな、じゃなくて。

 それってもの凄く高いんじゃない?」

「いや、以前依頼でドワーフと関わった時に必要があって、鍛冶道具に付与したら、お礼にくれた物だ。

 オレは刺突剣を使わないしな」

「使わないのに、何で何本も有るの? 売れば一財産じゃない」

「いやほら、付与実験に使ったから、下手に売れないんだよ。流石に考え無しに付与武器売るとマズいだろ」


 言われてみればその通りだ。

 そもそも市場に出難い付与武器が、突然売りに出されれば一騒ぎ起こる事は確実だ。

 アルが売りに出した事を知れば、付与武器を入手したい者達が、その入手ルートを知ろうと押し寄せてくる可能性は高い。

 いくら稀少でも、いや、稀少であるからこそ、売るとなれば色々と考えなければいけない事も多いのだ。


「成る程ね。付与が出来るのは凄いと思ったけれど、それはそれで都合が悪い事もあるんだね」

「それはそうだ。どんなものにも良い面があれば、当然悪い面もあるさ。

 っと、確かここら辺に・・・ああ有った。

 パラシュはそこら辺のから、自分に使いやすいのを選んでくれて良いけど、シャブラはこれなんてどうだ? これは流石に稀少品だぞ」

「この状態で稀少品って聞くと、すごく怖いんだけど」


 ライザが渡された剣を手に取って、鞘から抜いてみたところ、確かに手応えはあるのに刃が見えなかった。


「何これ・・・刃が見えない・・・」

「イシルディンって言う素材で出来ているらしい。

 何でも、エルフ秘伝の方法でしか作れないらしくてな。星の光か月の光の下でしか見えないんだとか。

 刃が見えない分、扱いが難しいけど、シャブラは予備みたいなものだろ? いざって時には有利になるだろ。

 探索者ってのは対人戦が得意じゃないからなあ」

「もう、何て言って良いか分からないんだけど、うん、何か慣れて来た気がするよ。

 でも、こんな凄いの貰っちゃって良いのかな?」

「それがライザを守る事になるんだ、良いんじゃないか? まあ、使い難ければ他のも有るけどな」

「あ、うん、ありがとう。

 暫く試してみる」

「おう。っと、イルナは、合うやつ有ったのか?」

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