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俺みたいなダメ人間でもやればできると信じたい  作者: 富田雄也
第五章 のんびりする一行
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第五章12話 旅支度

「皆に話したいことがあるんだ」


 既視感がある。今朝がた似たような流れを……


「ぬし今日はずいぶんと忙しいの、今朝も話をしたところじゃないか」

「ユウヤ、なに?」


 俺と同じ感想を抱いた幼女は呆れる様な態度をとってはいるが、態度だけで本心では聞く姿勢に入って居てくれてるのが分かり、彼女の方は素朴な疑問をただ投げかけただけの自然体。

 自然体な彼女は一長一短で緊張感が和らげる反面和みすぎてしまうデメリットもある。が彼女は今のままの方が話し易い。


 残りの二人も同じで先ほどの勢いの有る登場からの話の流れで少し重めの雰囲気を醸し出しているが、真剣に話を聞いてくれるらしい。


 彼女の様に自然に話を聞く態勢とを整えてくれている人が一人でもいると話し易い。

 元々彼らに話すのに緊張はそれほどしないが、全くしない訳でもないので一長一短と言ったが、正直助かってる面の方が大きい。


「今朝話したのとは少し違うんだが、さっきシヴィにあった」


「シヴィってこの町に来るまで途中からだけれど一緒来た?」

「あのご老人が」

「兄者とヴァインズ殿を助けてくださった方ですな」

「であのばぁさんがどうしたんじゃ?」


 皆かの人物が何故この場で登場するのか全く見当もつかないようだが、各々の感想を呟き先を促すようにこちらを見て居る。


「あのばぁさんが言ってただろ、占いと薬師をしているって。その占いの方で今回あったんだが、俺が何やら悪い運命を背負ってるらしい」


 誰がどう来てもオカルトな話なので聞く耳をもたれないと。一蹴にふされてお終いだと思って居たが、皆そんな態度を取らず話を聞く態勢をとかない。

 何より一番驚いたのはコロネが、茶化しに入ってこないということだ。


「その悪い運命ってのは災いを呼び込む体質のよなものらしい。それで俺は」


「ユウヤ!」


 話の途中で中断させられる、少し大きめな声はエントランスに響き渡ったかもしれないがほかの客はおらず受付は素知らぬ顔で仕事を行っている。

声を張り上げた主はローリェ。彼女が人の話を中断し、声を張り上げることなど一度もなかったので、少し面を食らっている。


 一度もなかっただけで面を食らった訳でなく、彼女が声を荒げる形で人の話を中断するような子だとも思って居なかったのだ。


「ユウヤ何か悪い事考えて居ない?」


 少し体を震わせて居るように見える彼女。震える手を必死に抑え込もうと左手で右腕をつかんでいる。

 そんな彼女の様子と先ほどの発言で、誤解をしていることに気づく。


 誤解と言うより俺が逃げようとしていた道なのだが。その選択肢は今俺の中では無くなっている。あの老婆のおかげで道が閉ざされ過酷で辛い茨の道を進む羽目になったのだが、今では少しありがたく感じる。


 彼女の様子を見るにあのまま逃げて楽な道に進んで居たら、多分後悔してもしきれなかったと思う。


「大丈夫だローリェ、俺はそんなことはしない」


 もう誰に迷惑をかけようとも、お前たち四人が怪我をしそのつど後悔することがあったとしても、俺は自分の選択を最終的には胸を張れる道を歩んだと思えると信じている。

 仮に老婆に誘導された道でも逃げずに立ち向かえば何とかなるそう思えてしまったのだから。


「ユウヤ?」


 俺の言ってる意味を理解できたのか次第に震えは収まり少しだが瞳に涙が溜まっている様に見える。


「暑い暑いそろそろ。話をすすめてくれぬか?」


 手を内輪代わりにし顔の辺りに風を送るしぐさで茶化しに入ってくるコロネ。


「そうだな」


 だが茶化されて居ることに反応するとまた時間がかかってしまうため、流して話を進める。


「今の話で大体分かったかもしれないが、俺はお前たち皆を危険に導く存在だ。だが俺は皆と旅をしたい。だから一緒に来てくれないか?」


 無理にとは言わない。拒否してくれてもいいなどの卑屈な言葉はなぜか出なかった、皆を信頼してるから? 違う。老婆に彼等の力が必要だと言われたから? 違う。

 俺が彼等の事を気遣ってるふりをして断れないよう仕向けないため? 違う。


 何かをして貰ったときごめんじゃ無くありがとうと言って欲しいと良く聞くが、それと同じで人に何にかを頼む時は卑屈な、ネガティブな。悪いことを考え壁を作り一歩引いて頼むのではなく、傷つくことを恐れず歩み寄り心からの気持ちを伝える。


 それが誰かに何かを頼む時の態度なのではないのか、とようやく思い知らされた。


「ユウヤ!」

「ぬしさまに身も心も捧げたからのぉ断れんわい」

「まだ君の義は雲っていない。それどころか輝いているとさえ感じる、なら僕が断る理由はない」

「兄者みずくさいでござる、一緒に来てくれるか? など問わずともお供するでござるよ」


 なぜか涙する後月。先程は瞳に携えていただけの涙がダムから決壊し涙を流すローリェ。

 平然と今までと変わらず共にいてくれると言ったヴァインズ。建前上嫌々を装っているコロネ。


 皆バラバラな態度、感情、言葉で対応してくれるが一つだけ同じ感情がある。友と共に行く。


「ありがとう」


 ごめんと言いそうになったが、先程考えて居たおかげで謝罪ではなく感謝を伝えることが出来た。

 これで一つの山は越えた。

 山と大げさに言ったが実際山でも何でもないただの平坦な道だった。答えの分かっていた出来レース。


「皆ありがとう」


 噛みしめるように、胸に止めて置くようにつぶやく声に反応はない。

 だが俺の心にも皆の心にも溶けていった。


「しょぼくれるのはお終いじゃ」


 明るく元気なコロネの声音のおかげで先ほどまでの湿っぽい雰囲気を消し去ることが出来た。

 皆が一緒について来てくれると言ったのに、頼んだ本人がうじうじ考えて居たら世話がない。

 彼等の思いを無駄にしないためにも、今後の方針を念入りに周到に決めなければならない。


 と言っても、目指す目的地以外は情報となりえるものがないので、計画を立てるもなにもないのだが。


「俺から出せる情報としては、シヴィに貰った西に向かえという情報のみだ」


 西に向かい龍を仲間にしろと言う無茶ブリも甚だしいヒントだが、それしか仲間と共に旅をし皆で楽しく過ごすことは出来ないのだ。

 そう考えると0か100かの賭けでも乗るしかない。


 それに0ということはない気がする。


「西と言えば龍かい?」


 目標の地を言っただけで目的を見破るのはさすがというべきか。

 流石と言っても少し切れすぎるのが鼻に着くが


「西に龍が居るの?」


 俺や後月が知らないのは当たり前としても、こちらでの一般常識があるはずのローリェまでもが知らないとなると少数しか知らない情報なのだろうか?


「龍なら山じゃろ、なら防寒着が必要になるやも知れんな」


 龍が山に居るってイメージはこちらでも通用するらしい。

 それより龍がどこにいるのか分かっている人物とそうでない人物の違いは、旅の有無だが、旅をしているとそれほど多くの情報が手に入るのだろうか?


 旅の歴が違う彼らが彼女の知らない情報を持っていてもそれほどおかしくないか。


「なら必要な資材をどれだけ集めれるか心もとないが、取りあえず防寒用と食料。あと銭湯用具なんかも欲しいところだが……」


「戦闘になるようなことがあればおそらく僕らは一瞬で消し炭にされるだろうね」


 このメンツに関しては一番強いと思って居るヴァインズからそう言われるとひるんでしまう。

 確かに人と龍。ゲームでこそ戦えば勝てるがそれでも大量の回復薬だの、高レベの熟練者だのが複数人相手になってやっとだ。

 その上あれは意思を持たない人形を動かしている。俺たちは意思もあれば痛覚や感覚ももちろんある、痛みを感じると少し躊躇したりひるんだりする。

 その隙があるのとないのでは雲泥の差だ。


「なら資材は暖房関連だけにするか」


 今後の生活のことも考えて、少しは次の村に何かを持って行き商売したいが。

 龍が住んでるとされている場所に村なんかないだろうし、会ったとしてもそこで売れるとは思えない。


 となるとこれまでの旅とは打って変わてモンスター退治したドロップ品を売って食らう感じになるのか。


 まさに異世界ものって気がするが、基本戦うの俺じゃ無いんだよなぁ……


「今日は早く寝るとしようか、明日朝買い物を済ませて旅立つ。それでいいか?」


 今からものを揃えるのは時間が時間なので、面倒だし手間だ。

 それに


「それならご飯に行くでござるよ」


 先程まで静かだった彼が元気な声を上げてるところから分かるように彼は腹の虫が鳴りやまないほど腹が減っていたようだ。


 俺も少し緊張から解放されたせいか腹が減ってきている。彼に便乗して夕食をむさぼるとする。


 あるかないかの微妙な緊張感から解き放たれた反動か、忘れていた空腹を皆が思いだしたようで、誰も反論することなくそのまま夕食を食堂で取ることに。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 夕食をおえ、一息つく時間として風呂に入る事にした。


「ここの風呂も見納めか……」


「兄者何を不吉なこと、また来ればよかろう」

「雄也何か弱気になって居るようだがまた来る気かいはある」


 二人に慰められつつ入浴する。

 別にそう言った意味で言ったのではないが、後ろ暗い感情が入っておらず自分の意思どおりの感情をこめての発言なら二人とも慰めなどしなかっただろう、そう考えると彼等の言った慰めは見当はずれではないのかもしれない。


「また来るか同じメンツで」


 もしかしなくても増えている逆に同じメンツならダメな気もするが、今日ここに居る5人そろってまた来たい。

 増えてる分にはもちろん歓迎だが減って居ることのないようにそう言った思いを込めてのつぶやきだったが。


「そうだな」

「大丈夫でござるよ」


 今度は二人に伝わったようだ。


 そうして長くはないが短くもない最後の風呂を満喫すると初日の惨劇の再来にならない様早々に撤退する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 撤退したら三度目になる遭遇。外に出ると二人は待っていた。

 二人の髪は湿っており、乾かさずに出てきたのかと疑問を抱かせる。いつもは軽くなびく綺麗な髪も水気をおび複数の束に固まることで、重さを感じさせいつものような美しさはない。

 だが美しさで言えば今の方がある。


 いつもは走ればワンテンポ遅れて付いてきて、風が吹けばなびく。見て居て爽快な美しさを持っていたが、今は髪が濡れているせいでじっとり重くくらい印象を与えるが、それ以上に清楚なお淑やかな雰囲気を醸し出す。

 浴衣とマッチしてすごくいい。


 蒸気した頬もほんのりかいた汗も、今しかない一時の美しさという特別感が、その魅力を引きたてる良いスパイスになっている。


「ぬしさま。身も心も捧げると言ったが、大衆の面前でじっと見られると恥ずかしいぞ」

「ゆ、ユウヤ……」


 どれほどの時間が経ったのか分からないが、見て見たかった二人の光景を見れて思ってた以上に長い間見つめていたのかもじもじしながら照れる二人。

 湯上りで血行が良くなり頬が赤くなるのと少し違う頬の赤らめ方をしている彼女等二人をみて、流石にヤバいと感じる。周囲を見渡し人だかりが出来て居ないことが不幸中の幸いだ。


 ローリェのみならいつものことだと、そこまで深刻にならないがコロネもとなると意味が違ってくる。彼女の場合茶化す意味合いも込めて一言二言投げかけてくるはずだ。

 だがそれが無かった、もしくはあったが気づかなかったとなる。


 前者の場合それほど深刻ではないが後者の場合深刻以前に危険だ。


「す、済まない」


 詫びを入れ早々に部屋に戻ろうとする。

 男二人が一部始終を見て居たにも関わらず何も口出ししてこないことが気持ち悪く、物騒だが取りあえずこの場を離れることをせんけつに行動する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 部屋に帰って今後の事を念入りにと思って居たが、そのまま解散することになり各々部屋に別れる。

 支度するものは大抵決まったし、行く目的地も決まっている。

 他に何を話すのかと聞かれたら分からなかった、だから少し気持ちを落ち着けるという意味が大きかったのかもしれないということに気づく。


 しなくてはいけない、巻き込む覚悟も、周りの了解も得たそれでも不安が拭えきれて居なかったのかと思うと、自分の心の弱さに落胆する気もちと冷徹になれていない、割り切れていない部分が有ることに安堵する、


「お前らはもう寝るのか?」


 部屋に別れて他愛もない話をするのかと思って居た。

 いや期待していたのだ。

 だが二人は早々に寝る準備にとりかかる、明日は店が開くと同時に必要なものを揃えて旅の支度を済ませ日の高いうちに少しでも歩を進める予定だから少しでも早く寝るのは理にかなっている。


 そうしない俺は遠足前の小学生少し違う意味で気持ちがはやり眠れない状態。


「兄者も早く寝るでござるよ」

「君もさっさと寝たまえ、明日は早い寝坊などできないよ」


 そうは言われても布団に入ったって寝れる気がしないのだ。

 二人の横で一人起きててい騒がしいのも申し訳ないと思い、部屋を出ることにする。


「夜風に当たって来る」


「早めに寝るでござるよ」

「夜更かしはほどほどにね」


 二人とも引き止めないがありがたく思いながら、部屋を後にする。


 部屋を出るとそこには一人の少女がもじもじしながら立っている。


「ローリェなにしてるんだ?」


 彼女が何故俺たちの部屋の前に立っているのか分からない。

 もじもじしてるくらいならノックして入ってくればいいのにそんなことを思って居ると。


「ユウヤ」


「なんだ?」


「い、今から外に行かない?」


「? あぁ別に構わないが?」


 元から外の風に当たりに行くつもりだったので、一人人が増えようと問題ない。それどころか女性と一緒だなんて歓迎こそすれ断るなどもってのほかだ。


 だが尚更分からない何故彼女はそんなことを言いだすのだろう?

 後月達同様さっさと寝てると思って居た。


「やっぱり夜になると雰囲気が変わるな」


 魔法でともしているのかそれとも提灯みたく中に火が入って居るのか分からないが、電気で光って居ない明かりを見ながらそんな感想をつぶやく。

 外に出ると日中とは違う輝きがある。


 昼と夕方で空いている店も違っていたが、夜になるとまた違った良さが味わえるとはこの町はいつまで居ても飽きそうにない。


「昼間は屋台が目立っていたけど、今は店が賑わって居るわね」


 そう飲食店もあったが、それ以上に屋台の食べ歩き用に店がひときわ輝いていた。

 屋台から匂うおいしそうな匂いは今思いだしても、お腹がなりそうだ。

 露店に関しても、詐欺らしかったがそれでも綺麗なものを売って居た。

 夕方は怪しい占い師がうじゃうじゃと。


 今日見た二つの通りですらこれなのだ。他にも多くあると言われる道を言って居ればどんなものだったのか……


「どこか寄ってみるか?」


「ううん、こうしてるだけで大丈夫」


 店が賑わっている、入ってみたら新しい発見もあるだろう。だが彼女がこう言っているのだ、遠くから明かりを見るだけで済ませよう。


 だがやはりなぜ外に出てきたのか分からない。

 コロネが寝てしまったがために、他にお供を連れて町を散策ならまだ会かったのだがただ外に出て風に当たるだけ。

 これではまるで……


「俺みたいじゃないか」


 小さくつぶやいた声は彼女の耳には届いていない様で、振り向かれることは無い。


 彼女も俺同様先の事を心配して眠れないのか? 同情し、場の雰囲気に流され承諾したものの後あと考えると、俺の事を見放した方が安全だということに気づきそれで公開のあまり?


「ユウヤどうした?」


「いやなに、ローリェが後悔してるならと思って」


 ……え? 今俺声に出してたか? つい思っていたことを口に出してしまったが。そんなことを思い彼女の顔を伺うと


 綺麗な愛らしい瞳は涙を携え、端正な面差しをゆがめ、白い肌はうっすら赤みがかかっている。


「どうしてそういうこと言うの?」


 涙ぐみながら言う彼女はどこか寂しそうで、どこか恥ずかしそうで、怒りも含んでいるように感じる。


「ど、どうしてって」


 何故そんな態度を取られているのか分からないが、取りあえず今自分は起こしてしまった状況だけの把握はできる。

 理由は分からないが、取りあえず多分怒らせた。その上悲しみも含んでいる。


 どうすれば彼女の態度をいつもの彼女に戻せるのか分からないが、今思って居ることを言うしかないのか……

 そう考えて居る間に。


「私もユウヤと一緒に旅をするそう言ったじゃない。皆に流されたり同情したりで決めた訳じゃないわ。ユウヤとの付き合いは一番私が長い、あなたの良いところも悪いところも見んな知って居るつもり、その上で私はユウヤ、あなたを見捨てられない、見捨ててはいけないそう自分で考えて出した結論なの」


 まくしたてるように言う彼女は携えて居た涙を頬に伝え顎に流れ落ち床をうっすら濡らしている。

 もう涙を隠そうともしていない彼女に、何も言えずに黙っていると続きを語りだす。


「確かに私の力は皆に比べたら劣るわ。コロネちゃんみたくか、……体をささげたわけでもない。だから足手まといの私を連れて居っても仕方ないのも分かる。でも」


「ローリェそれは違う」


 少し涙が止まりその一瞬で頬を赤く染める彼女祖の続きを聞いているとどうしてか無性に割って入ってでも気持ちを伝えなくてはと思った


「俺はローリェの事そんな風には思って居ない、実際ローリェ君にしか使えない隠密の術は道中の危険を減らすためには重要で必要な力だと思って居る。君に苦労を掛けることはあっても足手まといだと思うことなんてない」


 先程の赤らみとは異なる赤みで頬を染める彼女に続きを語る。


「だからこそ、君には申し訳なく思ったんだ。それ以上に君には危険に付き合って欲しくないそう思ったんだ」


 またしても赤らみが強くなる。先ほどまでの涙や怒りはどこかに飛び去り今は違う感情にのみ胸のうちを支配されている模様の彼女。


「俺は君が好きだ」


 ……俺は何を言っているんだ?


 彼女が頭から煙を出すかのごとく顔を赤らめるのを見ると同時に自分の発言に驚きと同様に、羞恥で赤面する。


 確かに彼女の事を日頃からカワイイ、優しい、天使だなど思って居た。

 だがなぜ急に告白めいたことをしているんだ?


「あ。その」


 口ごもり戸惑っていると。


「何だ、良かった私は自分じゃ無理だって言われるのかと思ってハラハラしていたの。ここに残れってお前は足手まといだって、言われるんじゃないかって」


 それで彼女は部屋の前で落ち着きなくもじもじしていたのか。

 そんな事ないというのに。


 彼女の告白に先は程の自分の発言の羞恥心を吹き飛ばす勢いの笑いが込み上げてくる。


「ン、ンフフ」


 こらえきれず漏れで笑いに彼女も同じくバカらしくなったのか、笑い声を上げる。

 涙は消え去っていたが笑っているせいで先ほどとの違う意味合いの涙を瞳に携えて居る。

 笑う彼女の明るさに彼女は子の方が似合っている、これでこそ彼女だ。


 そんな気持ちを抱き。


「ローリェ、俺は君が好きだ」


 今度は口をついて出たのではなく本心から思ったことを口にした。


「俺はこっちにきて正直夢かとも思って居た、そんな中初めはヒロインだと浮ついた気持ちで見る色目だったのだ。だが優しさに振れ、感情に振れ、思いに振れ一緒に過ごしていくうちに始め抱いていた感情と違う感情を抱いていた」


 先ほどまでの笑いをどこかに消し去り真剣に聞く彼女。


「始め抱いた感情と違うと言ったが、表面上は変わらない。実際最近まで気づかなかったでも今ならはっきりと違うと言える。俺は君が好きだ」


「ユウヤ」


「危険にさらしたくないそんなことを言えば君は怒るだろう、でもそれが俺の偽らざる本音だ」


 顔色を曇らせる彼女を無視して続きを話す。


「だが君を傷つけることを考えると自分の本音など捨て去るべきだそう考えて居る。俺は情けないが君を守れない、だから自分の力で守れない分仲間に守ってもらう」


 自分で言ってて情けなくなる発言に苦笑気味な俺とは反対に真剣に聞く彼女。


「だから君を守るためにも俺が安心して暮らすためにも仲間集めは必至、一緒に来てくれるか? 君の力が必要なんだ」


 これで話は終わりだ。答えは決まっている、俺の告白に対しての結果は知らないし今答えが出るとは思わな


「わたしも好きよユウヤ」


 ……え?


「言われなくても一緒に行くわよ」


 笑う彼女は花や太陽のような綺麗で光り輝く美しさを振りまく。

 だかそれ以上にさっきなんて言った?


「今……なんて?」


「一緒に行くって」


「その前」


「私も好き」


「誰を?」


「ユウヤあなたを」


 質問をしていくごとに彼女の花の様に輝く笑顔が赤面と変わって行った。


「……そっか」


 これから皆を巻き込んだ壮大な冒険に出ようって時に不謹慎ながら自分の気持ちを告白し、その結果相手も同じ気持ち。


 こんな幸福が旅立つ前にあっては旅の幸先が悪くなる、がそんなことより緩む頬を頑張って止めることに必死でそれ以上の事を考えられない。


「「……」」


 二人して恥ずかしくなり何も言わず部屋に足を向ける。



ローリェが部屋に向かったのはユウヤの心情を心配してという気の利くヒロインにしようとしていた所、なぜか自分が置いていかれるのでは? という不安を抱く話になり、告白という流れに……

思い描いていたのと違いすぎる~!

仕方ない書いてしまったものは……今後の展開に差し支えないとは思うけどイチャイチャシーンは多分ありません、申し訳ないです。

一応今後は壮大(?)な物語になる予定ですので、イチャイチャなんてできないのでそこまで気が回らない二人と言うことにしておいてください。

決して俺が自分の想定外の暴走で書けない内容を書いてしまったとかではありませんから。

ええ違いますから

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