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俺みたいなダメ人間でもやればできると信じたい  作者: 富田雄也
第五章 のんびりする一行
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第五章9話 町の探索

 部屋を出るとそこに立つのは三人の人物。

 先程風呂を一緒したヴァインズと、隣の部屋の住人で今後について初めに相談したローリェ。

 今まだ寝て居ると思っていたコロネ三人が扉の前に立っていた。


「ヴァインズはもう上がってたんだな」


 上がってからどの程度経ったのか分からないが、髪も乾き頬も赤く染まってない。

 体から蒸気が出て居ない所を見ると俺が上がってすぐにでも上がったのかもしれない。


「雄也君が上がって間もなく上がったのだよ」


「なるほど、じゃぁ飯行くか」


 少し腹が減ってきたのでさっさと飯を食べに行きたい、待つ人物がいないのだここで突っ立って居て時間を浪費するのも勿体無い。


 それに飯を食いながら話したいこともあった、時間がどの程度かかるか分からない少しでも多く取れるに越したことは無い。


「コロネ、ヴァインズ飯を食うときにちょっと話がある。ローリェと後月にはもう話してあるんだが、今後の事について意見を聞かせて欲しい」


「何だぬし、申してみよ」


「人の話聞いてた? 飯を食いながら話すって言ったの」


 後で話そうと今はなそうと何ら問題はないだが、腹が減ってる俺にそんなことをさせ、あまつさえ立ち止まって出も見ろ俺の腹がもたん。

 それに皆も寝起きとはいえ多少空腹だろう、そんな時に何かを考えるのは良い答えが返ってこない。


 意見としては仮にも流浪の民をしていたコロネがどんな案を出してくれるのか少々気になる。


「分かった」

「僕も少し気になるが、食事を取りながらするのであればさほど遅くはならないだろ、少々我慢するとしよう」


 彼も早く話を聞きたいのか、そんことを言うがどちらにせよそろそろ食堂だ。


「悪いな。飯を席に運んだらゆっくり話すよ」


 各自好きなものを皿に盛りつけ、テーブルに持ってくる。量の差は様々で、後月が相変わらず一番多くその次に俺、ローリェヴァインズコロネという順番。

 コロネが最後なのは女性でまだ子供だからだろう、だがヴァインズがローリェより少ないのは以外だった。


「コロネ、もっと食べないと大きくなれないぞ?」


「別にいいのだぬしさま。身の丈にあった量以上た食べると体を壊すだからこれで良いのじゃ」


 確かに食いすぎはきついが育ちだかりの子供のセリフではない気がする。

 俺が同じくらいの歳の時、腹八分ねなどいざ知らず十二分くらいに食って動けなくなるなんて事良くあったが……


「ヴァインズは案外小食なんだな?」


「燃費が良いからかな? コロネ君じゃないがあまり食べ過ぎると体調を悪くするからね、それより先程言ってた話とは?」


「あぁそれなんだけど今後の目標を決めたくて、何かあると張り合いがでていいと思うんだ」


 空腹のせいか簡潔すぎる説明を行い食事を開始する俺、そんな簡潔すぎる質問に対してもしっかり考えてくれる二人。残りの二人はおれ同様飯を食う。


「わしは別に目的もなくさまようだけでも構わんと思うぞ? 元々わしが居たとこは何かを成すなどどいう目的をもって行動していたわけじゃないからの。ただどうしても目的が欲しいというなら、腰を据える場合店をだす。旅をする場合金目的ではなく、困っているところに物資を補給や、人の足のみ利用の世界一周なんてどうじゃ?」


「僕も同意見。コロネ君同様僕は何かを成すための旅をしていたわけじゃないしね、困ってる人がいれば助けるそれ以外は自分たちが生きて行くために働くその程度で良いなじゃないかな?」


 確かに彼らは旅をしていたが、何か明確な目的をもって旅をしていたわけじゃない。

 コロネの方は家族を養うためにも、頑張るというやりがいのようなものがあったのかもしれないが、ヴァインズの方はただの人助け。

 それが目的になりうるかもしれないが、自分たちで決めた目的ではないようだ。


「ふぅむ。なくてもいいが反対はしないそんな感じでいいか?」


 彼ら二人とも自分の意見を言ってるだけで反対をしているようには取れない。


「うむ。反対をする理由がないからの」


「反対はしないね」


「なら旅をする目的か、どこかに留まる目的建てるならどっちの方が良い?」


 今朝話した二人は留まる方を選んだ。選んだと言っても後月は俺に任せると言ってたのでカウントは俺次第なのだが。

 ローリェに対してもこの二人の意見を聞いて変わると言う可能性があるのでなんとも言えない。


「わしはどちらでも構わん」

「僕は風習的に旅をしなくちゃいけない、どこかに留まると秩序を乱す可能性があるしね」


 そうかこの面子で一緒に居るとなると、旅をするということになる。


「私はいいよ?」


 意見を伺おうとチラッと視線を送ると頷き、そう言ってくれる。


「結局大層な事言っても、今は生きて行くための術すらままならない状態……ならコロネ言うとうり、特に目的もなくぶらつくでもいいのかもしれないな」


 出来れば同じ旅をするのでも、特産品を違う町に安値で売りに行くそんなことをすることが出来れば最高だ。

 だが運ぶ手段と、そこにこぎつけるまでの技術が俺たちには欠けている。

 当面の目標は、自分たちの生計を安定させるという何の目標にもならないものになってしまった。


「悪いな俺の思いつきで振り回してしまって」


 反省と羞恥が要り混ざる感情の中で、


「いずれは考えなくちゃいけなかったことかもしれないし、皆の事を考えてくれてるからこその話し合いだったんでしょ? なら気にしないで」

「兄者悪くないでござるよ、意識して旅をするのと流されるままに旅をするのとでは意味合いが変わってくるでござる」

「かまわないとも、先の事を考えるいい機会になったじゃないか自分を責めなくてもいい」

「ぬしさまがたまに良いことを言うと思ったくらいじゃ、恥じることは無いぞ」


 顔を赤くした俺に優しい言葉をかけてくれる面々、その優しい言葉を聞き少し赤みの残る頬で顔を上げる。

 皆にっこりほほ笑んでこちらを向いてくれている、皆と居れれば目標なんて些細なもの無くてもやっていけどうだ。


「じゃぁさっさと飯食って街に繰り出すとしよう」


 そう言い先ほどの照れを追い払うように、持って来ていた食事にがっつく。

 苦笑する者待ってましたと同じくがっつくもの、ため息を零すものと皆様々な反応だが食事を開始する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「くったくった、もう動けねぇ」


「兄者今から町を回るのでござろう早く行くでござるよ」


 後月に急かされ、いっぱいに膨れ下手すればはち切れそうな腹を抱えとぼとぼ歩く。

 先ほどの照れ隠しで食いすぎてしまった。腹が重くて仕方ない。


「雄也だからそんなに食べて大丈夫か聞いたじゃない」

「放って置け自業自得じゃ」

「品のない食べ方をするからだ」


 向こうでつぶやき合う声が風に乗って聞こえる。

 明瞭に聞こえない部分は脳内補正をかけたので彼等の言った言葉かどうかは一部怪しい。とはいえ短くとも濃い仲になった彼らの会話内容を想像するのはそう難しくない。


「今俺の悪口言ってたろ?」


 少し離れて居た彼等のもとにたどり着くと開口一番そんなことを言いだす俺に少し呆れる。

 待たせてしまったのだから詫びを入れれば良いものを、ついそんな軽口を叩いてしまった。


「悪口と言うより当たり前のことをただ言っていただけに過ぎない」

「ごめんねそう言うつもりかじゃ無かったのただ心配で……」

「当たり前じゃ、いわれとぉ無かったら今後自分の行動には責任を持つんじゃな」


 申し訳なさそうな顔をする彼女の、偉そうな顔で突っかかってくる彼女、なにくわぬ顔で淡々としゃべる彼。

 三者三様の態度を見、軽口を叩かず謝って置けばよかったと少々後悔をしている。


「悪かったな遅くなって、じゃぁ行くか」


 痒くもない頬を照れ隠しで搔きそのまま流れに身を任せ街に繰り出す。

 外に出て改めて町を見ると少し変わっていた。


 町の上は雲がないのに湯気のせいで晴天でも光がきっちりさしてこない。

 床も同じく少し湿っている。ブロックを敷き詰めた道路は湿気を帯びるとコケを生やし転びやすくなるのでは? と不安に思い周りを見てみたが湿気てはいるがコケなどが繁殖していなかった。


「このブロックも、何か魔法でも使われてるのか?」


 ブロックというより町全体に魔法が張り巡らされているのではと思う。これだけ湿気を帯びているのに暑くない。

 今湿気と言ったが、それは上を見たら太陽を遮断する熱い蒸気の膜があるから行っているだけで、湿度が高いと体感では分からない。


「それはただの意思だと思うよ?」

「ブロックには魔法など使われておらん」


「てことは、町に魔法とか?」


 もう一つの可能性を聞いてみると苦笑されてしまった。


「何を言っているこれだけの町に魔法を張り巡らせるほどの力を持ったものはそう居らん。それに町に魔法をかけるには時間も金も、必要じゃ。そして何より町に魔法をかける場合町が作られる前に刻印の様な物を作らぬと基本不可能じゃ」


 バカで悪かったなとこの幼女に怒鳴りつけたく思った。がそんな些細なことより、気になる事があったので、質問が先に口をついて出る。


「ならこれは何だ? 湿度は感じないが上を見れば、蒸気の膜がある。膜があるということはここも湿度が高いはずだ。何故この辺りは暑くない。地面も壁面も水滴一つついていない」


「私は一人そんなに一気に質問を投げかけられてもすぐには答えれん、落ち着けぬしさまよ」


 確かに一気に質問をし過ぎた。だがそれだけ不思議に包まれている


「じゃが主の先の質問その答えは簡単だ主も風呂に入ったのだ、クリーンウォーターくらいは知っておろう?」


「あぁ」


 何を話しているのか分からず取りあえず頷き返答してみる


「あれの湯気がこの天に留まっておる蒸気の膜じゃ、あれは元は不浄なものの正常化そのような効果がある、その効果を宿した水が蒸発しても同じ効果を得る」


 ちょっとまて?


「その効果を得た物が町の上に留まり、町全体を薄い霧とでもいうものを張り巡らせている。その結果普通なら湿度のせいで辺り一面コケやカビが繁殖するはずなのを抑えておる。それどころかブロックや壁面がきれいなのは効能のおかげじゃ。町を覆う薄い霧これのおかげで汚れもしない魔法を宿したような石ころの出来上がり。町に魔法をかけて居るのではと疑問を抱かせてしまうというわけだ」


 納得はできるそれなら確かに洗濯物などを干しても害はない、湿気を感じないのも同じような理由なのかもしれない。


「俺の知らないことは多いな」


 これから知っていけばいい、そんな気持ちで待ちに繰り出す。

 取りあえず今は町の雰囲気を見てみたい。肌で感じて知っていけばいい、誰かに言葉で聞き知った気になるより見て感じる方が知れる。

 そう言えば小説も家に籠って知ったかで書いててから、読み手としては薄かったのかな……。

 もう書くことはないだろうがもし書く機会があれば、この度を面白おかしく書くのもいいかもしれないな。


「どうしたぬしさま、さっさと行くぞ」

「ユウヤ行くよー」


 先を歩く三人に声を掛けられ急ぎ足で追いつく。

 はぐれるほど人の行き来はないが、町自体はそこそこ大きい旅館を出た道ですらつき辺りが見えない。

 それどころか連なる建物の間を縫うように人一人通れるかという程度の路地があまたなにある。その向こうにも同じような道が連なっているのかと思えば想像もつかないくらい大きい可能性がある。


「この町って思っていた以上に広いんだな」


 口をついて出た幼稚な感想、その言葉は雑多の音に消され誰の耳に入ることもなく消え入るそう思っていた、実際誰かに向けてつぶやいたのではなくこぼれ出た程度の、音量しか無かった。だが


「この町は休養地として有名だからね。それにまだ温泉が近くにあって、それを掘り当てて施設を作ってる最中って聞いたことがあるわよ」


「こんな砂漠の真ん中に大きな都市を作って意味があるのかと思っていたが、これなら拡大していくのも納得できる」


 とこれ以上にまだ拡大中という情報が入ってくる。

 いくつの路地を越え、大道りがいくつあるのかすべてを見て回ったわけではないが、路地自体も長いことを考えると数本の大道りだけでもそこそこ大きくなりそうだ。


「向こうに行ってみる?」


 路地を除きこんでるおれに問いを投げてくる少女。


「いいや、取りあえずこの道を見てみよ」


 路地だけではなく軒並み並んでいる店も興味をそそられる店はいくつもある。

 飲食店もいくつか見られ、外からでも香ってくる匂いは先程満腹になった腹を空かせる魔力を秘めそれに負けじと並ぶ屋台。

 串に焼きされている肉は炭火で焼いており、焦げ目もしっかりつき自家製のタレを上からかけているので、炭に落ち、熱された炭に当たり蒸発、またその蒸発し香りとなったものが食欲をかきたてる。


「ユウヤさっき食べたばっかりでしょ?」

「兄者先程動けなくなるまで食っていたでござろう、さぁ行くでござるよ」


 屋台に釘付けになっていると、右手を後月左手をローリェに引かれ引きずられる。

 あぁ俺の串肉。そんな感想を抱きつつ遠ざかる香りに肉。

 隣で歩いてる男はクスクス笑う。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「もう大丈夫かな。ごめんねユウヤ」

「兄者食べ歩きもいいとは思うが先程食事を済ましたばかりではないか」

「ぬひはまわ、くいいじゅがはっておふの」


 聞き取りにくい罵声? をかけてくる声の主の方を見てみると、見たことの有る光景が広がっている。少し違うのは俺の見た光景より明らかに量が違い、今もまだ持っているということだ。


「コロネ、お前何食ってんだ?」


 俺は我慢して……と言うより引きずられ食べれなかったというのに、眼前の少女は先程の串肉以外にも、小さなカップに入ったサラダに、トレーに入った麺類。

 棒に巻かれた練肉と様々なものを持っている、全てが中身のあるものではなくすでにからのものもいくつか見受けられる。


「なひって」


 口に入っていたものを飲み下し、続きを語る。


「その辺の屋台を歩いてたらくれたから食ってるんだ」


 ……まさか、これが昨日食べ歩いた彼女の成果なのか。という敗北感に打ち勝てず床に手をつきうなだれていると。


「これは昨日の成果じゃないぞ?」


 そんな声が上から振って来る。


「なに? じゃぁ何だって言うんだ?」


 俺の敗北ではなくただの早とちりだったらしい、それにしても大量の物をただでもらってくるなんて何をしたんだ?


「歩いてたらくれたと言ったであろう?」


 まぁさかただ単に幼女だからくれたというのか?

 今はみすぼらしい服装をしておらず浮浪児と思い温情でということは考えにくい、そうなると訳は分からないが本当にもらったのであろう。


「お、俺にも」


「やらんぞ」


 クッソぉ、俺に一口くれたって言いじゃないか。


「ユウヤいくら何でも年下の子から物を取るのはどうかと思うわよ」

「はぁ少し見ないうちに醜くなったものだな」


 侮蔑と悲しそうな声音が耳に届く、だが俺はたべたかったのを君たちが連れてきたのだろう。と思う気持ちを抑え込み、立ち上がる。

 このまま突っ伏していると余計みじめに感じる。


「仕方ないなら他を回ろう」


 そう言いこの通りと別の道を行くべく大きめの路地を探し次の通りに旅だつ。

 この道は食品関連が多すぎだ。次の道ではきっと……



事実このとうりは飲食が盛んでどこまで行っても結局食べ物があるのみ早々に見切りをつけ移ったのは正解だったりする。


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