第五章5話 食事
後月と二人で食事をしに来たラウンジ。長机に作られた食事が乗ってトングを使ってさらに移すバイキングや食べ放題の様な感じかと思っていたのだが
「なんだか……さびれてるのか?」
まぁ向こうの認識のままこちらに居るのはあまりよろしくない、それでも固定概念や、生まれ育った環境で身に着いた常識はそう簡単には消えない。
「外見が豪華で中身がさびれてるなんて事はないと思うのだが?」
後月の言うとうり外見を美しく保っても結局中が汚いと元も子もない。それにおっちゃんからの紹介だ流石にさびれ汚いような宿を紹介はしないだろう、仮にも女性がいると言ってるのにそんなことをしたのなら悪評を立ててやらねばならない。となると
「ここではこれが普通なのか……」
俺の認識がおかしいだけなのかもしれないが、ひとまずこっちの世界は向こうと違うという事にして納得しないといけない。
と大げさに言ってはいるが別にがたつく木の机に今にも壊れそうなイスがおいてありスタッフと呼べる人間が髪はぼさぼさ、手垢がびっしりこべりついており、腕には毛がびっしり……なんて事はなく。
スタッフはしっかりと制服を着ており、髪の長いものはひとくくりにしていて、服から出ている部分首から上と手ぐらいなものでその服も別に汚くもなんともない。
一流とは言えなくとも二流くらいのホテルに居る様な人ばかり。
1フロア使っての立食を想像していたが、大きさは食事を置き、休憩するためのイスや植物などの少しかさばるものがある上で人が2~30人は軽くは入れる程度の大きさ食事の量も、冷めないように何かしてあるのかもしれないがいつ誰が来ても良いように、数十人分は余裕である。
なくなる前にスタッフが厨房に行って、追加で持ってくるのであろう給仕をするようなそぶりはうかがえない。
「想像と少し違ってたが飯にするか」
想像してたのが披露宴や、どこぞの城の宴と思われるような場違い甚だしい想像だったので、世界云々以前に彼の認識がおかしいだけだったりもする。
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「さー何から食べるかなぁ」
葉っぱと肉を火であぶったような簡素な料理に、黒い液体に使った肉と魚、串に刺された肉、葉っぱをちぎって乗せただけのサラダに、殻のついた卵らしき物体。
他にも色々あるが向こうに知識として知ってる物や、食べたことの有るもの等を想像させるが、何か少し違和感がある。
もちろん葉っぱは野菜なのであろうし、肉も食べれないことは無い物を使ってるはずだ、魚も同様。
だがなぜか食事が進まない、見た目がグロイや異臭を放つではなく、何か拒否反応の様なものを示す身体。それでも食べないと体がもたないのも事実
腹を決め食べようとしたその時。
「くぅー旨い!」
「おいしい!」
片方は隣から聞こえたのでおそらく後月だろう、だがもう片方は少し離れた位置から聞こえた女性の声。聞き覚えがある訳ではもちろんなく、かと言って聞き流せるほどのの雑多な声でもなかった。
「て……お前もう食べたのか?」
何かおかしいと思ったのは俺だけなのか? それともよほどこいつは腹が減って考えることを辞めたのか?
人の葛藤や考えなどいざ知らず隣でむしゃむしゃ食べては聞くだけで周りの人の食欲をそそるような声を上げ、見ている者の食欲を掻き立て、作った者が見れば喜ぶ食べっぷり。
「あにじゃもくふぇ」
「分かったから、ちゃんと飲み込んでから喋れ」
一人考えてたのがバカみたいだ。彼の食べっぷりを見て食事の時くらいのんびりしようと思い、食事に手を付け始めると。
「雄也たちも来ていたのね~」
「おうぬしも来ておったか誘えばよかろうに、部屋も相部屋でないと言っても隣の部屋なのだから」
コロネの言うとおりなのだが、なんだか女子の部屋に行くのは躊躇いがあるじゃん?
それにどうせ飯に来るだろうことお互い想像に難くない、なら待ち合わせをしていたと言っても過言じゃない。まぁ過言なのだが……
「で何か食べたのか?」
おそらく今来たであろう彼女等に聞く、こちらの方が先に来ていたのでこの質問は俺たちが受けるべき問いだがなんとなく聞いてみた。
「ううん、今来たとこだからまだ食べてない。雄也は?」
ここで後月を聞かないのは見て居れば分かるようにもう食ってるからである、その横でただ呆けたように立ってるように見えたのであろう俺にだけ問うのはおかしいことじゃない。
「少し考え事をしてたら横から旨そうに食う声が聞こえて今から手を付けるところ」
そう言えば先ほどの声は誰だったのだろう? 後月と同じく飯に飢えていたのか良く分からないがさっきの良く通る? それともただ声が大きかっただけなのかは分からないが、少し気になるな。
「ぬしよ気になることとはなんじゃ? 旅をしていた身として少しは知恵があると思っておる。わしで答えれるなら聴いてやるぞ?」
「あぁ。別に大したことじゃないんだ、気にしないでくれ」
「そうか、ならいいんじゃが」
横から掛けられた心配の声に、すげなく返してしまった。実際大したことを思ってた訳じゃ無いし、全部説明しようとすると話が長くなりそうだしめんどくさいのでしたくない。
だが心なしか、表情を曇らせたように見えたのだが……気のせいだろう。
「じゃぁ飯にするか」
「そうねここで喋っていても仕方ないものね」
「わしはあまり腹が減ってる訳じゃ無いが……あそこまで美味しそうに食べられるとすいてない腹でも、食べたくなって来るもんじゃの」
その声につられ今も、口に大量の食事を詰め込み旨そうに満面の笑みで食事をする彼を見る一同。
そうして彼に続く形で残る面々も食事を開始する、彼の食事の量に比べれば明らか少ないのだがそれでも平時の彼等なら食べ過ぎな量を平らげている、それはひとえにお腹がすいていたからなのか、それともおいしそうに食べる彼につられて楽しく美味しく食べれたからなのか。
本当に宿の食事が美味しかったのかは、分からない。
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「でこの後どうする? 俺たちは風呂に入った後に部屋に帰って少し早いが寝るつもりなんだが……」
「そうね~私たちもお風呂に入りに行こうかって話をしてはいたの、その後部屋に帰って寝るか、雄也たちと今後について話をするかどうかって感じだったんだけど……」
「わしはどっちでも構わんぞ? 別に今日明日にしなければならない話がある訳でもないし、明日の夜にゆっくりでもいいぞ?」
「それがしも別にどちらでも構わんので決定は兄者に任せる」
何やら俺が決定を下す形が出来てしまったが、俺もどっちでもいいんだよなぁ……さっさと休みたいって言う俺の我儘だが
「俺の我儘で悪いが、明日でもいいか? 今日は早く寝たいんだ」
「うん私は構わないわよ?」
「わしもかまわん」
「せっしゃも同じく」
俺の我儘交じりだが別にコロネが言ってたように焦る話でもないのは事実、だから皆賛同してくれた。その事にほっとする反面、もう少し反対意見を言ってほしいとこれまた我儘な感情を抱くのだが……
あれ? さっきも思ったが何か忘れてないか? 何かこう……
「兄者先に行くでござるよ?」
「雄也何してるの? 早く行きましょ」
「ぬしよ、ぬしが風呂の後はさっさと眠りたいと言って置いて、なに呆けているんじゃ? さっさと行くぞ」
一緒に入る訳でもない女性陣からも言葉を掛けられ、何だがもやもやが残るものの速足で皆の居る場所まで駆け寄る。
走ると他の客の迷惑になるので走りはしない。なら離れているところから声を掛けるのは迷惑になるんじゃないかって? そんなのそこまではなれてないから大声になる訳じゃあるまいし、気にしなくていいだろう
「で温泉ってどこだっけ?」
普通に考えて隣接する離れ的な場所に温泉があるか、一階にあるはずだなにせ上に水を置くって事は雨漏れではないが、水漏れの原因にもなる。
「すぐそこじゃないかな?」
風呂場を求めて歩き出す一行。この後の展開は……
楽しんでいただけたでしょうか? 年末年始お忙しいかと思いますが頑張ってください。
自分の小説が栄養みたく頑張る源になってくれればうれしいです。
逆に疲れさせてたらごめんなさい。ではまた来月にでも




