第五章3話 交渉の成果
不定期更新と言いつつ早三カ月も過ぎてしまいました、申し訳ない。
リア都合が忙しいにしろ自分の小説を楽しみに待ってくれてる方がいるにもかかわらずこんなに期間を開けてしまい、内容はお墨付きを渡せませんが楽しんでいただけると嬉しいです。
「皆お待たせ」
店に入る時あんなに高かった太陽も交渉が終わり出てきてみるとすでに日は傾き辺りは薄暗くなり始めている。体感時間ではさほど経ってないと思っていたのだが、それほど集中していたのか思いのほか時間が過ぎていた。
「よいよい。ぬしが交渉に時間をかけることは予想しておった、じゃからそこら辺を観光ついでに少し見回ってきたので別に暇はせんかったぞ?」
「兄者申し訳ない、コロネの言い分も分からんではなかったので……」
「ごめんね雄也、私は待ってようと思ったんだけど。雄也も頑張ってくれてるから案内が出来ればと思って……」
店先でただ待てせていることに多少の罪悪感を抱いていたが、交渉に夢中過ぎてあまりに気にならなかったのが真実だ。
そんな俺にただ黙って店先で待っていられるはずがない彼女の事を叱って良い道理があるのだろうか?
「悪いな後月」
「!? 何を謝る兄者?」
後月が驚きそう問いかけてくるが、何一つ驚くようなことはない。なぜなら
「全部お前に払わせちまった」
そう。町を回るだけなら金など要らない。だが口の周りにはソースが付き、最近の食糧事情は知ってのとおりそんな中、碌な飯を食べてもいないのにコロネが腹減った宿に向かおうと言わないことから、観光だけにとどまらず食べ歩きもしいたことなど容易に想像できる
「兄者は謝ることなどない、我らは運命共同体。我らの持つ財布も同じ一つの財布だ」
そうはいっても交渉がうまくいかない、交渉できたとしても売り上げが少ないと後月の金を頼らなくちゃいけなかったかもしれない。
それを暇つぶしついでに食いつぶすとは……
「はぁ~」
「なんじゃそのため息は?」
「なにって聞かなければ分からないのか?」
「他人の思ってることをぬしは、聴かずとも分かると申すのか?」
それも一理ある。だが今の惨状を見て言いたいことなどそう多くもないはずだ、それでも分からないと言うなら言わなくては分からないのだろう
「お前は金のありがたみを分かっていない。まず俺の交渉が成立しなかった場合、金はどうする? 後月に頼るしか無かった、お前の前居たとこは旅になれている少しくらい困ったとしても伝手もあったかもしれない。でも俺たちは伝手と言えるようなものを持っていない、それどころか金もあり余ってる訳じゃない」
そうここはコロネの前居たところと違って旅に不慣れなものの集まりそんな集まりが何を頼りに旅をする? 決まってる金だ。世の中生きていくには金がないといけない、旅をする身しかも素人の集まりともなれば今日食う金すらも少し質素な物にしなけらばいけない。
その辺りをわかって欲しかったのだが……
「ぬしよ、少しわしを軽く見過ぎておらんか?」
……何を?
「その程度のことわしも分かっておる、その上での行動じゃ」
……? 尚更訳が分からない。俺が言った事情や意味が分かっての行動なら何故無駄遣いなど出来る?
「まず第一にぬしが交渉に失敗するとわしはみておらん」
「!」
なぜこいつはそこまで俺に全幅の信頼を寄せれる? 自分自身ですら自分を信じてやれない……いや俺も同じか。
自分の事は信じれないがこいつらの事なら信じれる、流石にコロネのように全幅の信頼を寄せれるかと言われれば、堅実に行動してしまうのだが
「第二にわしらの様な流れ者は金をある程度落としておる方が行動しやすい、これは経験から来る考えじゃからすぐに理解しろと言われても分からぬであろう」
「なぜ金を落とすと行動しやすくなる?」
ない金を絞ってまで落とす必要があるとは思えないし思いたくもない。もしその落とした金分の儲けがこちらに来ると言うなら話は別だが……
「まだわしの話は終わっておらん……がその質問には対しわしはこう問おう。ぬしは知らぬ者に親切に出来るか?」
「無理だ。少なくとも数度会ってその相手の人となりを見なければ親切など簡単には出来ない」
人に優しくしよう親切にしようと思うのはある一定以上の関係を築いてからだ。当たり前だすれ違った人今日会っただけの訳も分からない人に親切にしろと言われても不可能だ……なら何故こんな分かりきった質問を彼女はする?
こんな分かりきった問答をして俺の疑問が解決する訳じゃ無い、なら何か彼女なりの隠された答えの様なものがあるはずだ……それは何だ?
「何か思うところがあるようじゃな?」
「あぁ。こんな分かりきった問答をするために時間の浪費をするとは思えないからな」
俺がこうして悩んでいることを楽しんでるかのような少女、その姿を見るに自分の至らなさがいくらか垣間見え苛立つ。
何が引っかかる? この話の発端となったのは金の使い道に対してだ。なのに今は人に親切にすると話が180度変わった、だがこれは俺が見たことの見解で有って第三者が見たらどうなる? 同じように話の流れが変わったと感じるか? それとも彼女の意図をくみ取れない俺をあざ笑うのか?
「はぁー」
まずは落ち着け。この状況で話をはぐらかしても意味がない、なら俺が汲み取れてないと言う方が可能性が高い、コロネが俺を嵌めて面白がってる可能性は……ないとは言い切れないが考えたらそれこそどつぼに嵌る、なら信じる。
そうなると一見関係の無い話に変わったかのように思えた人に親切出来るかと言う問い。これを表面上だけでとらえるのではなく頭を使わなければいけない、逆にどのような相手になら親切に出来る?
家族、友人、過去に恩の有る相手、信頼できると一目で分かるような相手。
この中で接点の無い相手に対して有効なのは最後の一つだが……一目で信用できる相手なんているのか? 王子や国王等でも信頼できるどうかは話してみないと分からない……
「どうじゃもう降参か?」
まだ何か見落としている、何だ?
「何か嵌ってしまった様じゃの、なら手助けをしてやろうとするか。凝り固まった思想を一度忘れ違った物の見方をしてみるが良い」
それをしても無理だったんだが? ……ということは今は待ってることは答えじゃないから一度離れろという事か? 人の考えを読める訳ではないだろうが俺の考えを予想しての発言……もしそんなことをしてるとしたらこいつ少女じゃ無く、少女の皮をかぶったばばぁなんじゃないか?
と脱線したは……なんとなく分かった気がする。
「その顔はようやく気づいた様じゃな」
まず人に優しくするのはいくつかある、初め言ったように身近な人物や過去に助けてもらったなどの恩がある人物。
次に一目で信頼できるという赤の他人、信頼できる相手から紹介されたなどの他人
そして最後に損をする以上に得をすると分かる相手
この最後の答えは彼女のヒントのおかげで何とかたどり着けた。
「あぁおかげさまで何とか答えにたどり着けた気がするぜ」
この答えが正解かどうかは分からないがこれ以外の場合は俺ではたどり着けない
「賄賂ってわけか」
そう第三の選択、これは相手が損と感じる以上にメリットを提示すること。今回の場合なら、情報提供と称し金を渡すということだ。
もちろん現ナマで渡せば怪しまない奴はいない、怪しまない奴がいたとすればそんな奴の言う事を信用してはいけない。
怪しまれた状態から印象を変えるのは簡単なことではない。だが、商品を大量に買ってくれるおつりは要らないなどの小さな賄賂と受け取れないレベルの金なら皆素直に受け取るだろう。
そう言った小さな賄賂が次の賄賂その次と繋がり、最終的には多少の融通を聞いてもらえたり情報を貰えると言うことにつながるのだろう。
「大体正解を導き出したようじゃの」
なんだか釈然としないが今後の糧となるであろうことへの投資と思えば安いものだし、一ついい経験をした。
「だが勝手に使ったことは謝るすまない」
そんなことを思ってるところに急に謝られん、驚きに顔を染めていると言葉が続く
「わしは人を見る目を持ってると自分を過信してるし、実際今回はうまく行ったようだ。だが今後同じような場面に会って交渉がうまく行かなかったときや、万が一今回の交渉が決裂した場合わしは皆に恩がある身でありながら、皆を苦しめることになった」
と言いだす少女の顔は苦しみにゆがみ、本当に心から反省している。
「気にするな、良い知識を手に入れれたことだし投資と思えば少し痛いが別に構わん。今回に関しちゃ交渉もうまくいったしな」
自分の成果をアピールする訳ではないが照れくさく、少し誇らしげに受け取った金額を見せる。
「……兄者?」
「雄也……」
「ぬしなんじゃこれは?」
皆一様にきょとんとしている。まさかあのおっちゃんが俺を謀って使えない金を渡したとは思いたくない、あんな親切なおっちゃんが……
うん? そんなことするはずがない。もししようものなら今こうして店先で仲間に見せた時の反応でも分かるし、夜逃げするとなると時間も金もかかる。
ましてや先の取引で売れた油を持って行くとなると少々の足では足りない。
「……」
おっちゃんを信用してるし、今考えた通り俺を謀った程度で稼ぎが上がるよな代物とも思えないし、ましてやメリットが少なすぎる、と言う自己肯定をしつつ沈黙で待っていると。
「騙し……そこまで頭が回らぬだろうし相手は商人簡単には騙せぬだろうな……」
「雄也……何したの?」
「兄者犯罪に手を染めてなどいないであろうな?」
と皆言ってることはバラバラなものの共通認識として金額がおかしい、俺が何かをした。そう思ってるみたいだ
「俺は何もしてないし、これはあの油の価値に俺の交渉とが相まってなった成果なんだけど」
信用してくれるしてくれない関係なく事実をありのまま伝えると……
「はぁー」
「!」
「……」
と三者三様の反応
「そこ何でため息なんだ?」
「ぬしが交渉を失敗させないであろうと思っていたのは先も言ったように本心じゃ。じゃがこれほどの成功をするとも思っていなかったのもまた事実。これをどう受け止めていいか少しの時間を要するのじゃ」
さっきの何もしていないのに信頼されているのは、気恥ずかしさがあったが。今回はちゃんとした成果をぶら下げているのに逆に信用されていない感が、悲しくもあり釈然としない。
俺とは違って彼女の中では信用と信頼は似て非なる物なのだろう。
「後の二人も何か文句があるのか?」
少し八つ当たり気味にそう聞くが
「ううん、そんなことはないわ。驚いただけ」
「……あぁすまない兄者、少し状況把握に時間を要したが何もおかしいことなどない。交渉が上手くいかなくても仕方ないだが兄者はそれを成し遂げたうえに、これだけの成果を持って帰ってきたただそれだけの話だったな」
後月の文末に「ハッハッハッハ」とつければなんとなくしっくりきそうなのだが。そんなことはどうでも良い。
「今日はゆっくり休みたい、おっちゃんに良い宿教えてもらったんだ。早く行って休もうぜ、明日適当に散策しよう」
「……ごめんね」
「何を謝る? 別に構わないとさっきも言ったじゃないか。それに町を全て回ったわけでもないだろうし、何なら温泉巡りとかもいいんじゃないか?」
まだこの町に来て数時間しか経っていないのだ、まだまだ出来ることやしたいことは山積みにある、こんな時くらいのんびりしてもいいじゃないか。
どうでしたか? 最近リアルで劇的な変なとまでは言いませんが少し忙しく自身の気持ちや価値観も少し変わってきたので内容もそれに伴い変化してるかもしれませんがご容赦ください。
次は今月中には更新します。信頼を取り戻すのに苦労しそうですが自業自得なのですが……。良ければまたお読みください
では次話お会いできることを楽しみにしてます。




