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俺みたいなダメ人間でもやればできると信じたい  作者: 富田雄也
第五章 のんびりする一行
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第五章2話 新たな町ラクネリア

2週間お待たせしました。いつもより長く?なってるので許してください

「自分の事で精一杯で、忘れてたんがヴァインズももしかして猛暑症なのか?」


 俺とは症状が違うが他にも色々と症状があるようだし、流石に俺より重度って事はないだろう。あいつの力ならここに居るメンバーは後月以外確実にやられてる


「ヴァインズ? あぁあもう一人の若造ならただ単に暑さに負けただけじゃ涼しいところに行けば治るじゃろ」


 魔法使いが体力ないのはお決まりにだが良いとして熱中症かよ


「病気じゃなかってよかったよ。それよりシビィさんは一人で旅を?」


 俺たちに同行してる時点で足が無いのは分かる足があればそいつも同行してるだろうしそうでなければ置いてきたことになる。仲間の方も同じ理由で複数人で旅をしてるとは思えない、なぜなら見知らぬ人物は彼女以外いない。そのうえ見るからに軽装。手荷物は救急箱より少し大きめの鞄だけ。服装は肌焼け予防のためか全身覆う大きなマントの様なものを羽織っている。流石に帽子はかぶっていないがこれも日よけのためか大きい。


「そうじゃ、わしは一人で旅をしておるよ。時に盗賊を治し時に貴族を治し色々な人を助け、旅をしておる」


 賊まで治すのか……見ず知らずの俺を治してくれたんだ、賊だとしても人は人。人だろうと動物だろうと助けを求めていたら助けるのだろうこの人なら不思議はない。ただこの前、賊と一戦やった身としては優しいという言葉で済ますことは出来ない。おまけに、うちには賊に仲間をやられた人物も居るんだ。


「それでラクネリアはどんな理由で?」


 自分の発言による行き場の無いもやもやを追い払うための話題転換。人の生き方に指図で切るほど立派な人間じゃないので流すしかない。


「わしの占いで、東の方に何やらあると出たんでな。それを見てみるついでに温泉にでも行こうと思っての」


 何やらある……ね。何気なく気持ちを切り替えるために聞いた質問に対しての返答としては、漠然としてるだけでなく、少しヘビーな話になりそうな雰囲気を醸し出してる。ただ一つ物申すとすればもう少し具体性を持った占いをして欲しいということくらいだ。もっとも具体性のある占いなど占いにあらず。それは予知だ。


 そんなことより……


「……温泉?」


「あぁそうじゃが?」


 温泉だと!? これは肌色成分多めのサービスシーンか?


「ラクネリアに……あるのか?」


「そう言っておろう」


 これで美女二人の片方美少女だが肌を……拝めると言うのか…………? 熱く火照った肌に滴る雫、その雫が浴衣にしみこむことなく浴衣の中に流れて行く。……そんな光景を見てもいいのか。


————異世界転移様様だな


「ちょっと雄也? 何考えてるの!」

「ぬしよ、もう少し腹芸を身に付けぬとわしらの長として立てておけぬな」


 二人して何を言っているんだ? 俺が何を考えてるん? そんなの決まっておるだろう。ヒロイン二人の健全で……健全だからこそ引き出される美しさ雅さそう言った物をぞ想像していただけではないか!


「どうしたんだ。二人して急にそんなこと言って、俺はただ美少女二人の浴衣姿をただ想像していただけだ」


 ただ単に普段見れない限定衣装を見れるそれだけでこのうえない至福なのに、それに合わせて温泉に浸かって温もった身体から蒸気する湯気や、湿った髪それを煩わし気にまとめてる姿そんなものをオプションとしてつけてもらえるなら至高の喜びにある。恥じらいなどもあればいうことない


「そこまで堂々と言ってのけたうえに、嘘を感じ取らせないと言うのもすごいものじゃの」


「そうだろ」


 当たり前だ俺は嘘が嫌いだし、嘘をついてもすぐばれる。そんなことを内心で思いつつ胸を張りふんぞり返る俺に


「いやいや褒めてないよ」

「ぬし頭大丈夫か? もう一度診てもらった方が良いのではないか?」


「そこのお二方? 何故そんなこと言うの?」


 辛辣な発言をする女性陣。いやいや嘘をつかないのは褒めるとこで貶すとこじゃないだろ? それに一男子としては美少女二人のサービスシーンにドキドキせず平気で居る方が頭がおかしいそれこそ、医者に見てもらった方が良い。


「第一想像してただけって本人の前で言うのがおかしいのよ」

「嘘をつけないのはいいとしようだが、妄想していたことを本人の前で暴露するのはどうかと思うぞ?」


 なんでもかんでも、オープンにしていればいいかと思ってもいたがそれではダメらしい。女心……それどころか人づきあいってのは大変だな


「次から気をつけるよ」


「どっちを?」「どちらをじゃ?」


「どっちって?」


「今後の発言を気をつけるの? それとも」「妄想せんよう気をつけるのか?」


 何を言いだすのかと思えばそんなことか。答えなど聴かずとも分かると思うんだが……聞くからには分からないんだろう。もしかすると願い込での質問かもしれないが、願いを込める様な事でもない。


「そんなの発言に決まってるだろ?」


「「はぁ」」「……」


 なぜため息なんだ? どのみち見ただけで嘘か真かなど分かるほど分かりやすい俺なんだ、嘘をついたとてすぐばれる、その上で真実を語ったのだ。真実だと分かってるなら嘘をつかなかったことを褒められても、落胆されるようなことではないはずだ。


「その温泉の町にはどのくらいの時間で着くんだ?」


 このまま話していても埒が明かないので目的地の話にをするために話を変えたのだが


「ごまかす気?」「逃げるのか!」


 誤魔化すも逃げるも何も俺はちゃんと質問に答えたし、悪いことなどしてない。別に妄想くらいでガタガタ言われる筋合いはないと思うんだが……



その後数時間で町に付いたのだが。町に着くまでの間話を変えようとしても戻され、結果永遠に妄想に付いてのいちゃもんを聞くハメになった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ここがラクネリアか」


 今度こそ幻視ではなくちゃんと目の前に町がある。以前観た町と違いちゃんと人が通り賑わっていてる。町の入口には門がありアーチの部分に見知らぬ文字で何やら書いてあるがどうせ「水源都市ラクネリアへようこそ」とかだろう。温泉もありさながら観光地と言った感じだ。


「こんなとこで突っ立てても邪魔になるしやる事すましちまうか」


 町の観察と行きたいとこだが、まずしなくちゃいけないのは持ってきた油。これを売っぱらって腹いっぱい飯食ってからでも遅くない。それにここを直ぐ旅立たないといけないような急ぐ旅でも目的の有る旅でもない。宿も探さなきゃならんし明日ゆっくりって手てのが最有力候補ってとこだな


「そうね町を見て回りたいけどそれ以上にゆっくり休みたいわ」

「ゆうやごはんを食べたいぞ町に繰り出すのなど今日せねばならん事ではない今日せねばならぬことをまずしていくぞ」

「兄者について行くでござる」


 先の詰問時に助け舟を出さなかった後月とヴァインズ。ヴァインズの方は車の中で休んでいるので今ここに居る面子が現状の意思決定機関となる。

 そんな訳で皆一様に自分の意見を口に出しているが言ってることはとにかく休みたいだ。となるとさっさと油売ってその金でゆっくり休めるとこを探さなくてはいけない。日が暮れるような時間じゃないが急ぐに越したことはないだろう。


「わしはここまでじゃな、世話になった」


 そう言って皆のそばから一人でに歩き出す人物が一人


「世話になったのはこっちだよ、これと言って礼を出来ずに悪いな。時間があるなら積み荷を売って出来た金で謝礼を」


「ここに連れてきてくれただけで十分じゃ、元からそう言う約束じゃしの。もし町で会ったらこの老体に声を掛けてくれ」


 そう言ってこちらの謝礼をつき返し、今度こそどこかに行ってしまう。


「まぁばあさんもああいったことだし俺たちは俺たちのすべきことをするか」


 正直どの程度の金になるか分からない積み荷その積み荷の売り上げを渡さなくてもよくなっただけ儲けものと思う、内心には気づかないふり。


「確認だが売買ってどこでも相場って同じようなもんか?」


 相場が違うなら高いところで売らなければならないので、疲れ切った体に鞭打ってでも店を回る必要がある。俺の知識面から言うと町ぐるみの相場はたいてい同じ、大きな商会があるとそこのが高値だが……


「基本的に差は無いと思うわ、出たとしても僅差よ」


 彼女の発言を信じなら手近な店にあたることにする。町に入ったとこからでも見えるため立地の良いのであろう近場の店に顔を出す。立地が良いって事は、人の目に付く。その事が利益につながる、だから土地代も高いしその分繁盛する……


「いらっしゃい」


 と思ったら案外すいている、別に潰れる寸前と言うわけではない。

 客と勘違いするスカーフを頭に巻き顎髭を生やしたちょっと厳つめのおっさんがその厳つさとは裏腹に明るく出迎えてくれる。


「悪い俺は客じゃないんだ、買って欲しいものがあるんだが」


 まずは詫びを入れ交渉を持ち掛ける。店主は訝しげに見つめてくるが話を聞く態勢をとり顎をしゃくり先を促す。


————流石は商いをしているということか。話はとりあえず聞くと言う一連の動作に迷いがなく流れるようだ。身に染みついてると言ったとこか


「俺たちは行商人もどきだ、それで前の町で買ったものをここで売りたい」


「買ってくれって来る人間は大体行商人だろうよ。だが町に定期的に来る人間じゃない、見ねぇ顔出しうちと取引してる人たちと違う」


 商人としては観察眼が大事なんだろうが、警戒心を隠さずに推理されると否が応でも緊張してしまう。そのせいで手は変な汗でぐっちょり濡れて気持ち悪く、背中の方は服が肌に張り付き汗の不快感は無いが、その分密着した服の不快感が気になる。


————こんなのをローリェはいつも……


「こっちの買って欲しいものはこれだ」


 要らないことを考えていては足元をすくわれる。変な間が出来たか心配になりながら、前の町で買ってきた油の樽を見せる


「これは!? まさかお前らアラギルから来たのか?」


「?」


 もちろん名前など知らないし忘れていたがエンジャ達にも町の名前を聞いていない


「わるい、町の名前まで知らねぇ。ただ傭兵ギルドで有名ってのは聴いた」


 こちらの知ってる数少ない……と言うより唯一知ってる町の情報を出し、アラギルであるのかを確かめてもらう


「アラギルは油だけじゃ無く傭兵ギルドでも有名だ。傭兵ギルドが有名なのはいくつかあるがその町で油を買ったならアラギルで間違いないだろう」


 油を見た瞬間に雰囲気が変わったとは思っていたが町の名前を出し、その町であると確証を持てた時の目の色は気のせいではなく誰が見ても分かるほど商人として目の色を変えた。こちらを交渉相手と判断したということなのだろう、目の色が変わると少し怖く先ほどと別の意味で嫌な汗をかく


「でこの油の価値を知っててうちに売りに来た……のか?」


「そんな訳ないだろ。で何だ? そんなにアラギルの油は良いのか?」


 腹芸が出来ないのは仲間からお墨付きそんななかわざわざできもしない腹芸などするより、事実のみ伝えてると言うのが分かるよう全面に押し出す方が人間相手の場合良い方に進む。だが同じ人間でもこのような行いで、情に訴えかけることが出来ない人間も勿論存在する。情の無いやつ、人に構ってるほど余裕の無いやつ。逆手にとって騙そうとするやつ。そして商人。


————商人は仕事上情を表に出さない人の方が多い。


「そうか……知らずに」


 だが商人とて人間、全ての商人が情を捨ててるかと言われたらこれは否だ。捨てれず騙されるバカもいれば、捨てないおかげで人脈をつなぐものも居る。後者は店を構えてるものに多い。なにせ評判が悪くなれば店によりつく客はもちろん卸してくれる売り手である商人も近づかなくなる。


 それを差し引いても騙す人も中に入るが。


「お前さんが嘘をついてるようには見れないし、今の俺の態度を見てどうせ気づいてるんだろ?」


 自分が価値を知らずとも価値を知ってる者を見ればどの程度価値があるのかを推し量るのなど造作もない。よほど鍛えた理性が無ければ高価なものを目にした人と言う動物は目がくらみ自制を忘れ、まず目が変わるそして態度雰囲気と数瞬前までと明らかに変わる。鍛えた理性があろうと表に出さなくても態度に違和感を感じることもあるが


「あぁ、元々価値は知らなかったがあんたの反応を見て大体の価値は分かる」


 買値の3倍良ければ5倍と言ったとこだろう正直初めは油高いなぁくらいにしか思ってなかったが、こういった理由があったのなら納得もいく。


「正確に当てるのは無理だろうが、一様聞くが。いくらだと思うんだ?」


「あんたの事を疑ってる訳じゃ無いがこっちの足元を見られても困る、同時に言うってのはどうだ?」


 一番ベストなのは紙とペンを借りて書くことだが、こちらの文字が読めないので数字も無理だろう。因みに他のメンツには外で待ってもらってる。のでそっちに頼むのも不可能だ。孤立無援とは今の俺の状態をいうのだろう


「心配性だな」


「あんたのおかげで、本当の価値ってのを少しで気づかせてもらったそれだけでも十分儲けもんだ。だが……商人としてはひよっこでもだからと言ってなめられるのは性分じゃないんでね」


 言ってはいるが正直一部しか本音が混じっていない。本音を言うと、儲け駆け引きなんてどうでもいい買値より少しでも多く貰えればそれで良いのだ。だがそんな訳にもいかない、皆の財産を預かってるんだそれに人数も二人と一匹増えたしその分も稼がねばならない。


「じゃぁせーので言うぞ」


「あぁ」


「せーの」


「16000」「9000」


「「!?」」


 言った金額に差がありバラバラだがその後の反応はどちらも同じ。目を見開き驚愕一色に顔を染めている。


「坊主本当に価値を知らねぇんだな!」「おっさん金額間違ってねぇか?」


 俺は十分すぎるほど吹っかけたつもりだ、だがおっさんの方は吹っかけたと思ってた金額を上回り鼻で笑うような金額を提示してきた。


「一樽8000とかばかじゃねぇのか!?」


 それじゃ5倍弱の金額になる。それに樽一つでその金額は破格すぎる油を買いここに売りに来るそれを繰り返すだけで十分なほどの金を稼げる。


「はぁ? 何言ってんだ一樽16000に決まってんだろ?」


 目を見開きすぎて目玉が抜け落ちるかと思うほどの驚愕を突きつけられる。なにせ10倍近くの値段まで跳ね上がったんだから。


————こんなに価値があるなら、エンジャに報酬はつけじゃ無く油でもらうんだった。


 後悔先に立たず。いくら後悔しようと今さら進んだ……現在進行形で進んでる時は戻らない。


「おっさんぼけたのか? 一樽16000だと? 相場を知らない俺を脅かすためだけの冗談なら辞めときな吐いた唾は呑めないからな」


 驚愕に見開いた目、あまりの高額に引きつる頬、ニヤけの止まらない口元。そんな締まりのない顔でくぎを刺すように言うが正直効果は欠片もない。だが


「当たり前だろ? これは交渉の席お前さんを脅かすためだけにそんな得にならねぇ冗談なんか言うかよ」


 そうやらドッキリではなく、本当に10倍にまで膨れ上がったらしい油。


「なら30000でいい」


 一樽16000なら二樽あるので32000になるのだが価値を知らぬ身で有りながらここまで膨れ上がったのはこのおっさんの優しさゆえだ。ならチップ代わりに少し引いた金額を提示するのが人情と言うものだろう。欲にまみれ吊り上げるのも一つの手だ、だがこういった好意を好意で返すのは後々の人間関係構築に助かる、という打算を半分ほど含んでいる発言に


「!?」


 先程の俺とまではいわずとも、一度目の驚愕より色濃く驚いている。何故か分からない、ただ分からなくとも推測することは出来る。


 その結果出た答えは金額を吊り上げる交渉をせづそれどころか下げたからだろう。だが先ほどの打算が無いとは言い切れず人情を忘れたような人間になることも出来ないのでそれほど驚くことかどうかは疑問の余地がある、それどころか俺がそんな血も涙もなく恩を感じない人間だと思われてることに少しイラッとくるが


「なんだおっさん自分で言った金額だろ? まさか値下げ交渉したりしねぇよな?」


 30000という金額がこちらでのどの程度の金額なのか分からないが、五人と一匹を養うには十分すぎる金額だろう。なので多少の値下げ交渉は乗っても大幅になると別のとこに行く決断をせねばならない。どうせなら親切にしてくれたこのおっさんに少しでも利益が上がるようにしたいんだが


「お前さんは……それでいいのか?」


「?」


「値を吊り上げようとか思わねぇのか?」


 何をいきなり? 俺の提示した金額より多いのだ、別にこれ以上欲張ることなどない。何故それが分からない? いや人間として生き方ならそっちのが正当なんだろう。だが俺はそんな腐ったような、他者を信じない生き方などしたくない。それに今は何が何でも出来ない理由もあることだしな。


「もちろんだ、なぜ価値を教えてくれたあんたから金をとるようなことしなくちゃならん? 本当の価値を知らなければ騙されていただろう。それをしなかったあんたに少しでも利益がいくよう計らうことがあったとしても損になるよう画策したりする意味も、価値も見出せんのだが?」


「そうか……なら俺が本当の価値をお前に黙ってるなど思ってもないだろうな」


 だから何を言いだしてるんだ? 買値の10倍で売れる価値って事だろ? そのどこに疑う余地など有る、こちらはこれでも十分儲けるのになぜそんな粗探しみたいなことしなきゃならん。面倒だしそんな生き方してると人間腐るししんどいだけだ。


「当たり前だおっさんを疑って俺に何の得があるってんだ? 人を疑うよりまず信じろこれは俺の好きなアニメのキャラのセリフだ。」


 お人よしキャラは一見バカに見える。だがその実全て知っているうえでお人よしを演じてるキャラってのは気づかないだけで案外いるもんだ。そう言った人の良いとこを見つけてそこを信じるそんな立派な人間に俺はなりたい。


「坊主二樽で40000で買わせてくれ」


「!? 何言ってる30000でいいって言っただろ?」


 人の話を聞かないのか見た目より歳がいっていてボケ始めてるのか定かではないが。先程の提示額よりさらに上乗せしてきたんだ、頭がどうかしたと感じて何がおかしい?


「いや、一樽20000でも十分な利益が出るからいいんだ。ホントの価値は商人の交渉次第だが最低でも25000は下らんだろうからな」


 このおっさん俺が何も知らないことをいいことに、3割ほど値切った金額を提示してきたって事か……だとしたらなんで今さらホントの価値など言う? 黙っていれば丸儲けになったのに


「なんでだ?」


 つい口をついて出たことば。険のこもった言葉が出たかもしれない、寂しげな言葉だったかもしれない。自分でも口から零れたがためにどんな気持ちを込めていたのか分からない言葉は、口から離れ間もなく霧散する。霧散した言葉を追っかけるように


「騙そうとした訳じゃ無い、商人として長年店を守ってきた。そのせいか値上げ交渉用に初めから少なめの金額を提示するようになっちまった。何も知らないお前さんを見た時、これは儲けもんだそう思ったんだ、どうせ値上げに来る。なら極端に少なくすればどれだけ吊り上げようと許容できると」


 そこで口をつぐむおっさん、話が終わったわけではなく次の言葉を探してる、どういえばいいか迷っているそんな間だ。急かすことも焦れることも、怒る事も蔑むこともせず次の言葉を沈黙と言う一番残酷な選択かもしれないがその残酷な手を取って待つ。だが思考を巡らせるほどの時は過ぎずに


「すまなかった」


 彼は謝った。少しの間だったが悩んで考えて苦しんだ結果謝罪を選んだのだろう。だがこういったときにどう接すればいいのか分からない。今までは流れに身を任せていたのだから、こういった真剣な場面には縁がなかった。そのつけがこうしてやって来る。


「気にすることはない。おっさんも経営があるし生活には金がかかる、時にいちゃもんをつける輩も良いるだろう。なら難なくやり過ごすために身に付けたスキルだ。それは誇るべきスキルだ、だから謝るな」


 なんとも薄っぺらな言葉だ。生きているうえで金が必要なのは、おっさんだけでなく俺たちも同じなのに。だがこの薄っぺらな言葉は俺の本心。人生経験や対人スキル社会で生きて行くために必要なスキルを身に付けるための期間をそうスルーしてきたつけがこの言葉。


「だが坊主」


「いいんだ。もういいんだ俺たちもおっさんも損をしない、その結果に変わりはないだからもうこの話は終わり」


 煮え切らず、喉に何か詰まってる異物感を感じるがためのそんなバツの悪そうな顔で申し訳なさそうにうつむくおっさん


「金額はおっさんの言う通り40000貰うその上で情報提供を願う、安くてそれでいてよさげな宿を紹介してくれ女の子二人も居るんだあまりぼろい宿だと困る。かといって高いのも困りものだが。情報収集にも時間と金がかかるだからこれでさっきの事はちゃらだ。それでも気が済まないなら貸しだ」


 最後の一言を聞くまで顔を上げずにうつむいたままだったが、貸しの言葉を聞いたとたんに顔を上げつきものが落ちたかのように安らかな顔になっていた。


 この町に今後どれだけ来るか分からない。貸しを返してもらう機会などないかもしれない。それはおっさんも百も承知だ。それでも約束事などは人の罪の意識を軽くする効果が多少はある。

 口約束など忘れた言ってない聴いてないと討論の元だがこちらに返してもらう気が無い場合これ以上便利な言葉もない。

 こちらとしても情報を手に入れることが出来てお得だ


「坊主たちは何人だ?」


「五人と足代わりの犬が居る。ちなみに女二人に男三人だ」


 今の質問に驚くことなどない。俺みたいな弱っちいやつ1と女の子2で旅をしてるなど考えただけでもぞっとする。力不足もそうだが、そんなハーレム展開俺にはキャパオーバーだ。


「そうか相部屋とかは気にするか?」


「……当たり前だろ? 相部屋とか何考えてんだ!」


 俺が拒む理由など欠片もないが、彼女たちが言い顔しないだろうし。あの二人と一緒の部屋など寝れる気がしない。もちろん他に男二人ついてることは忘れてないのだが。


「なら犬の尻尾館が良いかな、値段は少し張るが二部屋取ったとしてもそれでも余りある待遇の良さ。共用だが温泉も完備。部屋で浴びたいときはバスルームもある。温泉は混浴じゃないがな」


 最後のとこだけニヤニヤしながら言ってるが、彼女ら二人と混浴など風呂から上がれずに渡っちゃいけない川をクロールで泳ぎきっちまいそうだから別に悔しくなどない。


「下卑た事考えてるような顔しやがって、別に混浴じゃ無くても良いし。のぞきなんかしないぞ?」


 今後も旅をする仲間と不仲になるのは歓迎すべきことではない。その程度の常識は持ってるつもりだ。それがなくとも渡っちゃいけない川を音速で渡ってしまう自信がある。


「まあのぞきに関しちゃ疑ってなどいないよ」


 と軽口を叩ける程度には親睦を深め店を出る。犬の尻尾館と言う場所はここからさほど離れていないらしく、さっさと休みたがっていた体にはこの上ない喜びだ。



優しい店主に合い、軍資金をたんまりと稼ぎ町に来てからの状況は上々。この後どんな苦難が彼を待ち受けているのか……

どうでしたか?お気に召したでしょうか?前話の投稿が夏真っ盛りの二週間前最近猛暑が続き

身体に来そうですが、もう二週間ほどすれば涼しくなる……そう信じて頑張ってます。

皆さまもお体にはお気を付けくださいではまた次話でお会いしましょう

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