第四章7話 結末
戦闘が始まり早数分、いや数時間は経ったかもしれない。途中泣き崩れ自分に出来る自分でしなければならない責任を放棄し戦闘から目を背けていたので、状況が分からない。
もう終わったのか、勝ったのか負けたのか。まだ続いているのか、ここに居るのは俺だけで皆俺を見捨て置いて行き旅立ったのか、俺以外の全員が皆殺しに会ったのか、何もかもわからない。
目を開け蹲っていた頭を上げ周りの確認を始める。
まず最初に目に入ってきたのは愛しの彼女、もちろん縋りついていたのだから当たり前なのだが安心する心がる事に気づく。
次に目に入ってきたのは多くの亡骸、名も知らぬ見方敵問わず数多くの亡骸。それを見た瞬間死者に対して失礼ながら吐き気を催す。死者とひとくくりにしたが、死んでいったものは善人悪人関わらず尊ぶべきものだ。転生があるなら今度は良い人にと願いながら。催したものをどうにか押しとどめ手を合わせる。
「この死体の山を見る限りじゃもしかしてもう?」
どの程度目を背けていたのか定かではないは、目の前の死体の山を見る限りじゃもう終わっていているだろう惨状。
残っていたとしても隊長戦だけだろうと思いの発言だったが
「ええもう終わったはちょとまえに。それにそれっほど時間はかからなかったは」
俺が蹲り目を背けている間の事をローリェが説明してくれる。
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「大丈夫?」
「ヒックヒック」
何が彼をここまで追い詰めたのか分からない。それでも分かっていることは確かにある、それは彼が追い詰められ傷つき時間を欲していること。
————なら
「大丈夫よ雄也。落ち着くまでこうしていてあげるから思う存分泣きなさい」
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「ちょと待て俺そんなに泣いてたのか? みっともなく?」
「みっともないか分からないけど泣いて他のは確かよ」
「兄者は戦闘中の我らの気をそらしかねないレベルで泣いていたぞ」
聞きたくない情報を聞かされ、ついで驚愕する
「後月が居るって事は勝ったのは確定か」
「これは失敬、ネタバレをしてしまったな」
確かにネタバレだが、俺たちがのんきに話せてる時点で、勝ったのは確定なのだが……
「続き話しても?」
「あぁ悪いな、割ってしまって」
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「どうせ目覚めたら事の顛末を聞くんでしょ? ちゃんと代わりに見ていてあげるから今はゆっくり休みなさい」
そうなればいつまでも彼に構っているわけにはいかないわね。ちゃんと見ていないと。こうしてる間にも戦闘は着々と進んでいるのだから。
眼前では隊長戦が、森の方では他の方が戦闘を繰り広げている。森の方は無いよりはまし程度だとしても罠をかけてるだけに優勢であると信じたいけど。
「流石に合って間もない人たちの声を聞き分けるのは無理……よね」
悲鳴、掛け声、泣き言色々こだまして聞こえてくる声はあるのだけど、味方の声か敵の声か分からない。ただ分かる声もある
「なんだこれは!?」
それは驚愕。罠に関して仲間である楊枝最高? の人たちには前もって知らせてあるので、驚愕はしない。ただ正確な場所までは知らせて無いのでかかって無い事を祈るだけなのだけれど。
「雄也は落ち着いてるかい?」
後ろから声を掛けられ首を後ろに向ける体は動かせない。体に縋りついてる人物が居るので身動きが取れないのもあるけど、彼を安心させるためにあまり動きたくないと思う気持ちが無い訳でもないのだから
「多分落ち着いたわ。ヴァインズはこの状況どう見る?」
私は戦闘に関しては無知もいいところただ見ただけを伝えるので精いっぱいでも。今後少しでも彼の力になれるなら、今のうちに知識ぐらいは入れておいて損は無い。そんな思うは伝わったのか伝わらなかったのか
「女性が要らぬ知恵を入れる必要はないと思うのだが?」
「彼の支えになれるなら少しでも知恵を力を見に着けたいの」
言っていて恥ずかしくなるけど、嘘偽りない本心なので恥ずかしがる必要なんかない。自己肯定をし済ませ再度言いう
「でどう見るの?」
「はぁ。先に言って置くけど僕も人同士の戦いに精通してる訳じゃ無い。そんな僕の意見を言わせてもらうなら、人数戦力的には優勢を誇っていても、相手は人相手のプロこちらは……情報不足だから分からないけど雄也の同郷が団長で居るなら戦闘経験では負けてると思える、なら一つの油断が命とりになりかねない」
人でも、獣でも戦闘に絶対はないこれは何も知らない私でも知ってる戦闘の大原則。侮るべからず。奢るべからず、油断すべからず、何があるか分からないのが戦い。この四つは人間と言う種族がが知ってる常識。
モンスターと渡り合えるのは一部の人間だけ。それでも天災の誰にでも降り注ぐ災害。それに対して立ち向かう気構えとして役に立つのは最後の一つだけだけれども、投げ出し死ぬより挑んで生きる可能性にしがみつくための方便ということも知っている。
それを言うということははぐらかすのではなく、隊長次第と言いたいのだと直感がそう言う。
「そろそろ終わるかな?」
ヴァインズのつぶやきで現実に引き戻され。思考を巡らせ会話をしてる間に、森の方から先ほどまで聞こえていた声は聞こえなくなり。眼前の戦闘を残すのみと言うのを雄弁に語っている。
「おぬしは強かった。最後に名前を聞いておきたい」
「人に名を聞くなら、まず自分から名乗るもんだって知らねぇのか?」
「それもそうだな、それがしは長名後月と言うおぬしは?」
「俺はガメッツイだ」
「ガメッツイ、盗賊として良い名前でござるな」
そんな会話が聞こえてくるかと思っていたら再戦。一太刀目は剣と剣が交錯し、疲労の差か後月さんが押して上を取ると二太刀目は上段からの斬り下ろしこの時、ガメッツイは剣でで受け止めるが受け止めた剣は先ほどまで繰り広げられた戦闘の激しさを語るかのように砕け散る。
勢いを殺さず斬り下ろされた剣は左肩から右脇腹まで一直線に駆け抜け数瞬後血飛沫を上げる、正面に立っていた後月さんは血に染まり血飛沫のせいで見えずらい表情はどこか、寂しげにも見えた。
「終わったでござるよ」
「お疲れ様」
「どこかで体を洗ってきた方がいいんじゃないか?」
「……そうでござるな少し森を捜索してくるでござるよ」
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「戦闘はこんな感じかな?」
俺の眠ってい居た間に全て終わり、重役出勤も良いとこだな。
「すまんな……皆にばっかり重荷を背負わせて逃げてばかりいる俺で」
自嘲しつつ言うと
「それは違うでござるよ」
今話に出てたように水場を求めさまよいから戻ってきたらしい後月がどこから聞いていたのか分からないがそう言いだす。
「何が違うんだ?」
「苦しむということは逃げ出したのではなく、背負ってる証拠。逃げるなら苦しみすら感じない、それを感じてるということは逃げてはいない。それにここに居る面々は兄者が強くないことくらい分かってると思うでござるよ? あって数時間のそれがしでもなんとなく分かる者があるのだから数日共にした者たちなら尚更」
慰めのつもりか本心なのか分からないがそう言う。俺は分かりやすい人間らしいが、俺は人の事が分からない、皆が皆分かりやすい構造はしていない。それどころか分かりにくい構造をしているのが人間だが……
「そう言ったことはヒロインに言われたいんだがな」
後月のおかげで軽口を叩ける程度には気力も回復したらしく、そんな軽口を後月とローリェに向けて言うが
「それは失敬空気を読まずに」
「私も言おうとしたけど後月さんが……」
ローリェの方は聞きとりにくかったが、取りあえずは今回はこちらの勝ちらしい。守りたかったものはみな守れ力強い仲間も加わったし、後はサブミッションだが……
「コロネは?」
サブミッションの確認をするために依頼主である彼女を探すが
「コロネちゃんなら」
そう言って野営地の方に視線を向ける彼女。早速探しに行ったらしく、行動力は随一の彼女らしい行動だが、一つ質問をしておかなければならない事もある。
「護衛は?」
残党が居た場合依頼主である彼女が殺されるなんてことがあればミッションどころではない。との心配をよそに
「ヴァインズが付いていったは、自分は戦闘していないから自分が付いていくから皆は休んでろって」
かの人物を見かけないと思ったら護衛についていったのか、フレンドリーファイアの心配が無ければ流石に近接でも後れを取らないだろう
「なら安心だな」
なにもしてない身で有る自分の肩身の狭さが強調される形になったが、出来ない事を無理して必要はないそれに今回の作戦は俺が建てたんだし……
「仲間生きてるといいな」
「そうね」
「……?」
何やら説明を受けずに協力を申し出たらしい人物が居ることが今発覚する。
「後月お前訳も何も聞かずに助けに駆け付けたのか?」
「おぉ当たり前だろ兄者? 俺を誰だと思ってる。楊枝最高の団長だぞ? ロリの他のみを聞かずしてなんとする」
胸を張ってそんなことを言いだす彼には呆れ半分憧憬半分と言った眼差しで見つめる。俺には出来ない思い切りの良さだ。
「後月、お前こっちに来てどのくらいなんだ?」
前から思っていたことを聞く俺と同時期に来たなら子の人望はあり過ぎだ、元々人に好かれやすい性分なら可能性はあるが……日本に住んでいてこの戦闘力はあり過ぎだ、前者は無理やり納得しても後者は納得できない。
「また機会があればな。ほらあの嬢ちゃんも戻ってきたことだしな」
はぐらかすようにそう言う彼はどこか暗く、これ以上踏み込むことをためらわせる。いくら兄弟だと言ってもまだあって数時間、何でも聞けるわけではないということらしい。
が逆に言えば機会があれば言ってもいいと取れるのでそれまで待つとするか
「コロネ、どうだった? ヴァインズもご苦労さん」
「あぁ大したことじゃないさ」
「それが……」
表情が暗いサブミッションは失敗か……そう判断しかけた時
「だれだれ? このお兄ちゃんたち」
「おおこの方たちがわしらを救ってくれた方たちか」
「あら他にもいい男入るじゃない?」
「おい何言ってんだ、俺がいるだろ!」
とぞろぞろ後ろからコロネの仲間らしい人たちが顔を出す
「良かったじゃないかコロネ仲間が生きていて」
「ぬしたちのおかげで、全滅はせずに済んだらしい」
そう言う彼女の顔には仲間の生に喜ぶだけではなく、死んだものたちが居たことを感じ取らせるだけの感情が滲み出ている。
「そうか、悪かったな間に合わなくて」
その表情を見ているのが辛く出た言葉に驚くのは彼女ではなく。後ろに居る彼女の仲間たち。
「何故おぬしが謝る?」「あんちゃんは悪くない確かに死んだ仲間がいつのは事実だが、あんちゃんが居なかったら俺たちもここに居たかどうかわからねぇ」「お兄ちゃんたちは僕たちを助けてくれたのに、あやまることはないんだよ?」「あらかわいい」「謝らねぇでくれ」
と子供からもさとされる始末。
「でも」
俺たちがもっと早く、もっと強ければ
「仕方ないことじゃよ、どれほど急いでも間に合わなかった。それに助かった命もあるんじゃ、何もかも背負わなくてもいい。おぬしは自分で出来る最高の結果を掴み取ったとわしが保証しよう」
そう言われてもやはり
「おぬしは優しい、優しすぎる。自分の身に余るものは投げ捨てればよいのじゃ、誰に何を言われようと結果は変わらぬし、ちゃんと結果を残した。それでいいんじゃよ」
あぁそうだな、前回俺はそれで自責の念に苛まれ閉じ込められた。その経験をしてもなおまた同じことをしようとするなど我ながらバカだな。
————だがそんなバカなとこ俺は嫌いじゃない
「じいさん、だが謝らせてくれ。あんたたちの仲間を救えなくて済まない」
助けられた側からすれば必要のない謝罪だが、こうして自分の中で折り合いをつけなければいかないと学んだ、自己満足のための謝罪に付き合わせて悪いが、感謝してくれるならこれくらいの我儘はとおさせてくれ。
「こちらこそ我が身をそして我仲間を救ってくれてありがとう」
これにて依頼主の少女からの依頼は完遂とはいかないが遂行された。
あともう一つかな?




