第四章1話 悲劇の幕開け
今は買い物も済ませ、足野とこに来たところ、空は青く風は体を撫で少し心地いい、こんないい天気なら、ローリェと二人でピクニックに出も行きたいな。
……現実逃避はこのくらいにしても「こいつは何だ?」頭の中をぐるぐる回る疑問。
馬はまだ見たこともあるし不思議ではない。爬虫類がでかいのならまだ想像もついただろう。だがこれは有る意味想像を超えだが見たこともあるそんな生き物。
想像が出来なかったわけではない、だが想像したくなかった。そう
「なんでける……べろす? が居るんだ?」
目の前に居るのは仮定ケルベロス、いや大きさも一回りほど小さいので、どちらかというと大型犬を少しでかくして頭を三つ生やした形なのだが。
————頭が三つ出てる時点でやばい……それ以前に犬じゃないし。
と、まぁ動揺してもおかしくない状況にもかかわらず
「カワイイ」
と飛び込んでいく人影。静止する間もなく飛び込むが別に問題ないだろう、ヴァインズが使役してる訳だしな。
「くすぐったい」
案の定飛び込んでいった彼女は、ケルベロスにじゃれられてるとこだ。べ、別にローリェを取られるとかローリェにくっ付きすぎだとかそんなこと気にしてないし
「でこいつなに?」
話がそれると言うより彼女のせいで飛んでいきそうだったので、修正流石にケルベロスなんて事はないだろうが、ただの犬を使役だなんて言わないだろうし、ただの犬なら数人も乗った車や荷台何かを引けないだろう。
「彼はバッシュ」
……えーとバッシュ? 何それ?
ここまで似てるとなると、ケルベロスの子供なんて言われても、驚くには驚くが納得はし易い。そんな内心も含めての質問を華麗にスルーされてしまい、返答は名前だけ。
「名前聞いたんじゃ無く何故見た目がケルベロスに似てるとか、種族は何なのかとか聞きたいんだが?」
質問内容を詳しく説明するのは少し面倒だが話が進まないし、分からない物はしょうがない、俺だって説明不足で理解できないことももちろんあるしな。
「種族……良く分からない、何やら一匹で居たとこを複数のモンスターにリンチにあってるとこを助けて泣疲れたからね、見た目が似てるからと言ってバッシュは凶暴じゃない。外見だけで判断しないでほしいものだ」
そうなるとケルベロスって可能性もなくはないって事か、まぁ危害を加えられなければ別に関係ないしな。見た目で判断は良くないもんな。
それとこっちの住人でも、知らない種族や動物ってのが居るもんなんだな……
「てかそれじゃ、お前がテイムしたんじゃなく、拾っただけじゃねぇか?」
種族が分からないのは良いにしてもテイムしてないのに従えてるとかおかしくねぇか?
「別に捕まえるつもりはなかったがなつかれてしまってね、なら車を引いてもらって恩を返すという名目を作ってるだけだよ」
まぁ結果的にテイムしてることになってるから良いのか……
そんなことを思いながらバッシュに手を差し出し
「これからよろしくな」
頭でも撫でようとしたところ「ガブっ」三つともが噛みついてきたがった、さほど痛くないがなぜだろう? 嫌われるようなことしたか?
「てかそろそろ放せ! 痛くなくても噛まれ続ければ徐々に痛くなんだよ!」
離れるよう手を振り回すと
「雄也! 可哀想じゃない、そんなに振り回したら」
眉を寄せ頬を膨らませ詰め寄って来るローリェ、彼女が近づき手を差し出すとすぐに離れてくれた……確かに可哀想だと俺も思うよ思うけど……え? 噛まれてる俺には何もなしなの?
「悪かったなバッシュ」
何やら俺だけが悪いらしい雰囲気に負け、謝らずを得ない状況に。少し腑に落ちないがこれから共に旅をする仲間だ、こっちが大人になってやろう。
「良くできました」
彼女が何やら褒めてくれるが嬉しくない。そんなことを思ってると
「じゃれ合いは終わったかい?」
飼い主であるはずのやつは素知らぬ顔でそう聞いてくる……。今のがじゃれてる? 目がおかしいのか?
「じゃれ合い……ね。あぁ終わったよ、悪いな一人で荷積みさせちまって」
噛みつかれてたのをただ見てたわけではなく、こちらが騒いでる間に彼は1人で荷積みを終わらせておいてくれたらしい。せっかちというかしっかりしてると言うか……どちらにしろ手間がは受けたのでいい
「長い付き合いになるんだよろしく頼むぜ」
もう一度チャレンジしてみるが……「ガブっ」
「いっつぅぅ」
やはり噛まれた。好感度が上がって無いのか、警戒されてるのか分からないが、バッシュとの接触はなるべく避けて好感度を上げるべきだな……犬相手に好感度って……
「雄也もう行くわよ」
「さっさと乗りたまえ、置いて行くぞ」
すでに乗り込んでいる二人に急かされ、そそくさと乗り込む。
バッシュの印象のせいで車の方に意識が向いてなかったが、これはなかなか。以前馬に引かせていたのは、車というより荷台だ。荷台に水を乗せ御者台に二人で乗っていた感じだが。
バッシュが引いてるのは車、もちろん現代世界にあるような車ではなく。馬車(?)の方なのだが……犬が引いてる時点で馬車ではないので車と言っている。その車が想像以上に良い。
大きさは大人六人乗りと言ったデカさ、座席は柔らかく移動の揺れが少しでも吸収されてるのか、振動が少ないのか分からないが余り不快感は無い。扉は二つ、扉の上半分は透明のガラスで出来ていて外が眺めれる。扉の横に窓が一つずつで計四つ、こちらは押すと開くようになっている。換気をすることが出来だが全開しないため落ちる心配もない安全使用
「こんなデカいのをあの犬……バッシュだけで動かすなんてすごいな」
バッシュ頭は多いが、体は小さいなのに、これだけ大きい車を引く上に、人と食料まで乗ってるんだ。流石に少し心配になる。
「彼は見た目ほど華奢じゃないからね無理はしない様言って入るけどこの程度なら、大丈夫だろう」
「バッシュってあんなに可愛いのに力持ちなんて頼れるわね」
ちょっとジェラシー……今何人返事した? 俺の質問に返答が二つ、一つはジェラシーを感じる発言をしたことから、愛しのローリェ。もう一人は主人的発言をしたヴァインズ。ということは……
「御者居ないのか? 大丈夫なのか?」
今さら過ぎる反応、彼がここに居る時点大丈夫なのだろう……でも心配だ。
「バッシュなら大丈夫だ、今までに道に迷ったことなど一度もない」
「心配しなくても大丈夫だと思うよ?」
飼い主が言ってるんだ安心していいだろう、今さら言ってもしょうがない。だがなぜローリェ君はそこまで安心できる? 彼とバッシュを信用しすぎじゃないか?
「暇だなぁ」
暇なのはいいことだ、道中に襲われるなんてイベント面倒で嫌だ。だがこうも暇だと、現代っ子の俺はゲームがしたくなる、アナログではなくデジタルの。と言ってもどちらのゲームも無いのだが……
「平和なのはいいことだわ。前回もその前も道中……いえ町に付いたらモンスター討伐ばっかりだったから、尚更平和な時間を満喫しましょ」
なにやら……いや止そう要らぬことを考えるから良くない方に進んでいく。彼女はただ本心から平和を楽しみたいそう願ってるだけなのだから。
「そうだな何事もなくこのまま安全に次の町まで付いてくれれば」
言い終わる前に案の定、とでもいうべきか。車が止まる
舌をかまずに済んだが体制を崩し向かえの座席にダイブ、座席が柔らかくダメージはさほどない。
「何だ?」そう言って飛び出す。お約束なら扉の向こうはモンスターの群れ……そう思いつつも一番非力な俺が先頭きって出て行くていたらく。
後ろでため息と静止の声が聞こえた気がしたがもう遅い、扉は開け放たれ、少し暖かくなった車内を冷やすように入ってくれるひんやり冷たい空気。その向こうには
「予想と違いモンスターの群れなんて事はなかった」
予想に反し眼前には一人たたずむ少女、見た目十四、五。背は少し低めか150前後、髪は白髪で散髪などしてないのか、地べたまで着くのではと思うくらい長く、服装は布きれ一枚と言った。いかにも 浮浪児さながらの格好だ。そんな中、目には闘士とでもいうべき強く真っ直ぐな光を宿す。
身を綺麗にすれば可愛くどこに出しても恥ずかしくない美少女の完成だろうに持ったいない。
と話はそれたが一人の少女、格好が格好だけに、盗賊などとは考えられない、どちらかというと取る側より取られる側に居そうだ。
「で通行の邪魔してなんのよう?」
こういう時のお約束は、金をせびる、もしクワ
「助けて欲しい」
はい来ましたイベント発生。平和に旅などさせてたまるかというかの如く、災難が振りかかって来る。
「あぁいいけど報酬に何をくれる?」
まずなぜ俺たちに声をかけたかそこから聞きたいのだが、面倒ごとに巻き込まれるのは嫌だし、中の二人が下りてきたら、火の中に突っ込まなくてはならない。やつと二人なら、良いが彼女も連れて行くのは少々……いやかなり嫌だ。なので彼女には申し訳ないが退散してもらう。そのつもりが
「体で払う」
「雄也どうしたの?」
最悪だタイミングが、悪すぎる。何をどう転んでも、どう弁解しても評価が落ちるのは確定。
今日って空が青くて、風が無いだけに少し暑いんだなぁ。空を見上げ茫然自失を決め込み現実逃避という名の素晴らしい逃げ道に縋りつく……事も許されず
「ちょっと雄也! どういうこと?」
「さぁ。払えるものは体しかない、体で良ければいくらでも差し出そう」
ヒートアップする二人
「ちょっと待ってくれローリェ。お前は少し黙ってろじゃないと話すら聞いてやらんぞ!」
こういったときは元凶をどうにか黙らすことが大変だ。黙れと言ったところでこちらの状況を見るにいらぬことをしゃべりだすやも知れぬ、なら脅しでもなんでも 使ってとにかく黙らす。
その間に爆弾解除、骨が折れる
「まず君の誤解だローリェ、彼女の体など欠片も欲しいと思っていない。彼女を追っ払うための口実に何を払えると聞けば、そう返答が来ただけだ」
「私が払えるものは体しかない!」
「黙れと言ったのが聞こえなかったのか? この頭は人の言う事を理解できないのか? この耳は飾りか? この口が喋ったのか?」
と頭をぐりぐり、耳を引っ張り、ほっぺをつねる。
「いふぁいじゃないふぇふふぁ」
頬を赤らめ、痛さの残る舌足らずな口調で講義をしてくるが放置。その間にも
「雄也、話をしましょ?」
後ろですごく美しい微笑みを携えこちらを見てくる美しいローリェさん。なにやら背中に冷たい汗が流れるが、ここで逃げる訳にはいかない。
「そうだな、まず初めからだな」
誤解を告げても意味がないと判断し、事のあらましを告げる。その間、件の彼女は頬が痛いのか、今度こそ空気を呼んだのか定かだ出はないが口を挟まなかった。ヴァインズは降りては来ていないが聞こえてはいただろう。
「とまぁそんな訳なんだ、誤解は解けた……か?」
「え……ええ。私の早とちりだったのは分かったは……でも。なぜ助けてあげないの? 助けてあげましょうよ? まずは話を聞くだけでも」
最悪の展開は避けれたが、評価が落ちたことには変わりない。彼女は優しい、困っている人が居れば助けてあげるのを何も疑問の思わない、逆に助けないことの方に疑問を抱くような女性だ。
だがだからこそ、危うい……危うすぎる。日の中に出も飛び込んでいきそうな彼女を守らなくてはいけない、そう思ってるからこそ怪しいことを遠ざけたかった。なぜなら
「まず、彼女が本当のことを言ってる証拠がない、助けて欲しいと言って襲われる可能性がある。次にローリェの事を雄也が心配しているからこそ、本当に助けを求めていようと君を危険に巻き込みたくないそう思ったのだろう。僕でも、君が優しい性格なのをこの短い付き合いでも分かったんだ、雄也の方がよほど分かっていることだろう」
そう発言をしたのは、車の中に居た人物。彼も彼女側に立つとそう思っていたところからの援護射撃。俺が言おうとしていたことを大体当てられてしまった形ではあるが、嬉しくも思う。が同時に疑問も抱く
「なぜお前が、俺の肩を持つ? 義の部族なら助けて当然なんじゃないのか?」
そう義の部族というなら助けを求めるものに手を差し伸べて然るべきそう思っていたが。
「少し考え違いをしてるようだね、義の部族と言っても誰彼構わず助ける訳じゃ無い、人となりを見て助けるに値するか、見極めてから行動するものなんだよ」
確かにそうなのかもしれないが、そう言われると、認められてるのが今まで以上に感じ取れて恥ずかしい。そんなことを考えてると横から
「私は助けて後悔する方が良い」
と思考を遮られる
「私はこの子……助けを求めてる人が居るのに見捨てたり、見て見ぬふりして通り過ぎるより、信じて騙された方が良い」
彼女ならそう言う事は分かっていた、先ほどヴァインズも言っていたが彼女は優しい。だからこそ騙すより騙されろそう言った信念を持っている。
それが分かってるからこそ。この短い付き合いでも分かるからこそ、危険に近づけたくなかった。もう知ってしまったから遅いのだが……
「悪かった、完敗だ、彼女を助けよう」
「いいのかい?」
「しょうがないだろ?」
彼も優しい。俺に気を使いわざわざ自分も泥をかぶるような真似をしてくれた。こんな優しい仲間に囲まれて、自分の汚さが良く分かる。だが今後同じことがあろうと、同じように振る舞うだろう。
どれほど汚く醜く浅ましく、なじられようとこの優しい仲間を守ることが出来る可能性があるのなら。だが今回は負けを認めよう。
「で……こっちの話はついた、そっちの話を聞こうか」
週一目標掲げて、結果週一できず……
期待してた方には申し訳ないことしました。すいません。
次もいつ更新するか分からないですが日曜を目標に頑張ります




