第三章3話 掴んだ光明
重い腰を上げ町に繰り出すために宿を出る
「まぶしいな」
そう言って手を目の高さまで持ちあげ、日の光を遮るそうしてようやく気づく。まだ日が昇りきっていないことに
「あれだけ色々して時間も経過してるはずなのにまだ日が低い」
この時点で外に出て確認する必要のあったものは確認できてる気もするが、確実性を高めるためには少し歩き八百屋まで行けばいい、それだけのことだし歩くだけで思考を纏めるための材料が手に入るのだ。なら別に時間のロスなど考える必要もないだろう。
そんなことを考えてるうちに八百屋に着くと目にした物は……
「やっぱり直ってる」
壊したはずの野菜たちが、元の状態に戻ってる。もちろん言葉のままで、壊れた野菜が籠に乗ってるのでなく、ちゃんと売り物として機能する状態で並んでる。道にぶちまけ中身まで見えてたかぼちゃはヒビも割れたと思わせる痕跡すらなく元道理、ニンジンも馬に持って帰ってやると喜んで食うだろう。キャベツに関しては俺が食べたいと思えるほどだ。
「やはり仮説は正しかったか……」
ここまで野菜が戻ってるのであればループしてると考える方が早いそれに、前回八百屋の前を通ったとき違和感があったその正体が、野菜が直ってることだとすれば納得も行くが
「あれだけ見落とすな注意深く観察しろとか言って置いてこれかよ」
自嘲気味に言う彼、そう彼はあれほど見落とすなと言って置きながらしっかり手がかりとなる、野菜の復旧や、日の高さなどを見落としてる。こんな些細なことにきずけと言う方が酷かもしれないが、見落とさない様注意していた人間に言うのに関しては、酷ではないだろう。
気づいてれば前回の時点でループしてるかもに疑いを持ち考えていただろう。
「過ぎたことは後悔してもしょうがない、今後の糧に出来るよう努めるとして」
後悔しても時間は戻らない、それどころかどんどん過ぎて行く、なら悔やむのではなく糧にするよう努力するべきだ。後悔することが起きれば大体は悔やんで終わりか、開き直ってまた同じことをしてしまうものだ。結果どちらを選んでも自分の糧にはならないという不毛さ。それをわかっていながら自分を守るためにその不毛な行いをする人間。
「その人間にはもちろん俺も入るのだが」
こちらに来て少し成長したのか、それとも忘れてしまった彼女のおかげか分からないが。自分の糧にしようと努めることが出来るくらいには成長している
「ループの確認も取れたし、宿に戻って思考の続きと行くか」
そう決断し、軽食屋や服屋などまだ物色の終わって無い店を探しに居も行かずに宿に、とんぼ返りを決め込む。
「俺って自分で言うのも何だが、うだうだ考えるタイプだと思ってたんだが案外あっさりしてないか?」
実際此度のケルベロス戦、決戦を控えても心は決まらず、戦場に出ても同じく考え、彼女が離れようやく決心がつくという長さを経たのに、今回はあっさりしている。正確には考えはしてるがネガティブ思考が緩和されたのか、すべき行動を見つければ即動くといった具合だ。
「彼女を忘れたのに彼女が支えてくれてる……か?」
彼女の力でポジティブに考えれてるのか、記憶がなくなってくことで、その辺りの感情まで剥がれ落ちたのか分からないが。今現在行動出来てることはいいことだ。
「宿か」
今は頭が回って無いのかまたしても、ヒントの欠片になり得るものを言ったが気づいてない。
「やっぱここは落ち着く」
そう言い定位置とまでは行かないが先刻腰を下ろしていた場所に、再度腰を落ち着かせる。
「ループは確定として脱出方法を考えないとな」
まず先刻導き出した推測としては、記憶が消え切れば抜け出せるそう打ち立てた。なら逆になぜなくなれば抜け出せるかを考えよう。
「まず考えられる可能性それは」
記憶を消したいことが起きた。ここは記憶が消える場所、記憶が消え切れば抜け出せなくなるかもしれないが、それは無い気がする。気の迷いかもしれないが、この直感を信じてもいいと今は思える。これを選んだ結果後悔しようと、今選べて答えが導き出せそうな物それに縋っていくしかない。
「今までは考えて無かったが、時間経過でバットエンドって選択肢もあるよな? ループの回数制限とか……」
そう考えると、時間経過でバットエンドやライフの数など情報が無いから両方無駄に出来ないが、考えないと抜け出せない。今さら時間をロスしたことを後悔したいが後悔先に立たずだ。
「時間の方は考えないことにしようか」
後悔は先に立たないが、このまま後悔し続けると立たないどころか行く手を塞ぎ袋小路に閉じ込められてしまうから。さっきの続きだ、記憶を消したいことが起きた、それを考えると最初に思い浮かぶのは……
「彼女の死」
現状を見てもらえばわかると思うが、彼女は俺にとって大切な存在だったのは疑う余地もない。なら彼女の死をきっかけにこの世界に迷い込んだと考えるの筋なのだが。
「それなら今彼女を忘れて苦しんでるのはおかしくないか?」
その疑問はある、彼女の存在を忘れたいのであれば今苦しんでいるのは本末転倒だ。苦しみたくないから忘れたい。苦しみ続けるのが目的なら忘れたいとは思わないだろう、それにもし原因が彼女の死なら、抜け出せる答えが見つからない。
「彼女がこの世界の原因だとして脱出方法が分からない、もし彼女の死が原因なら死を受け入れることで脱出できるのかもしれないが」
今意識して思っては見たものの、やはり受け入れるなど不可能だ。彼女は生きているそう信じないと生きていけない。ここまで思うからこそこの世界を抜け出せないのかもしれないが
「もし彼女の死が原因なら俺は受け入れず壊れて戻るかこのままここに居座ってやる」
彼女が居ない世界など何の意味がある? そんな世界にちゃんとした状態で帰ったとして俺は生きていけるか? 答えは否だ、もし生きていけるとしても。俺はそこまでしていきたいと思わない、たとえ彼女がそれを望んだとしても
「俺は彼女と一緒に生きて行く」
そう誓っただから彼女だけ先に逝かせ俺だけ残るなら、一緒に死ぬか壊れた方がましだ
「ならこの線は無しだ」
たとえ見当違いだとしても構わない。が、もし当たっていた時のために他の案も考えておくべきだ。いや当たっていた時のためではなく、俺の中では他の案以外は無いからこれを考えるのがここから抜け出すための、唯一の手だ。
「そう俺にはこの道しかない。もし見当違いなら終わりだがこの道以外ではどの道終わりだ」
自分を奮い立たせるための言葉が、震える。こんな時まで保身に走ろうとする自身が憎らしい。が要らぬことに時間はさけない
「他の心当たり」
それを考えるとやはり夢現しか思い当たる節が無いが、こちらも思い出せないとなると。今まで起こったことを振り返るか……どこから振り返ればいい?記憶にある初めての事は従妹と遊んだことあれは4歳くらいか? 同じくらいの時に旅行に言ったことも覚えてる……
「そんなことから思いだしてるとタイムオーバーになる」
となるとやはり消したい過去って事か……中学のときに今の時代にラブレターを書いたとか、厨二病見たく日記をつけてたこととかか?
「確かにそれも消したい過去だが黒歴史は今関係ない」
ならなんだ?
『もうわかってるのだろ?』
どこか分からないとこから問いかけが来る、この状況で分からなんてことはない、当たり前だここに居るのは俺だけもし他に居るとしたら神とか幽霊なんかしかいないだろう
「でその神だか幽霊じゃないであろう俺の心……もしくわ第2の俺と出も言えばいいか? が何を言いたい」
『もうわかってるのだろ?』
先程と同じ質問
「意味が分からん俺は賢くないんだ詳しく分かるよう説明しろや。俺ならそれくらい分かれ」
そう仮定自分に文句を吐く。と仮定自分はもの憂げにため息をこぼしこう言う
『分かっていて目を背けるというのか……なら答えてやろう』
ようやく分かるように説明をしてくれる気になったらしい、分からないと話にならないからな、そう思い苦体制を整えるが
『おぬしが目を背けてるのは過去に共に戦ったものたちの死だ』
「!?」
やつの言ってることは、意味が分からない。過去に共に戦ったものたち、……て事はフルフルの時とケルベロスの時ということだ、いやケルベロスは先刻と行った方が良いかもしれない過去と言うほど時間は経ってないはずだ。
「俺はあいつらの死から目を背けていない、ちゃんと背負って今ここに」
立っている。そう言いかけ言い切ることなく言葉は飲み込まれる
『目を背けていた事実を認め、ようやく向き合うと決めたか』
やはりこいつは仮定ではなく俺自身だ。初めから分かっていた彼女の死以外に忘れたくなるような記憶なんて他に思い浮かばない、幼少の記憶や、黒歴史などは分かっていて目を背けたい自分の弱さからでた単なる逃げだ。
ここから抜け出すには向き合わなければならないことから、逃げ続けることなどで切るはずもないのにあとにあとに、遅らせようとする自分の浅ましさを自覚し軽蔑する
「でお前は俺にその事を伝えるためだけにやってきたのか?」
そのためにわざわざ出てくるなんて事はないだろう、何かしらの苦しめの言葉を残して言くはずだ。そう思い決めつけ待ちの態勢をとっていたが
『いやそれだけを言いに来た、我は優しいからな』
こんな時のお約束は悪魔になって苦しめるだろ? 現実突き付けて苦しめる。が結局ヒントは与えてくれるそうじゃないのか?
「なぜ俺を追い詰めようとしない?」
口の中だけに止めるつもりのただの疑問が口から滑り落ちる。別に答えは期待してない、答えを期待した呟きではないからだが……
『おぬしは苦しんでる、我はおぬしでもあるのだ。苦しんでる者を追い込む必要はないしおぬしは、もう少し時間をかければ、自力でたどり着いただろうしな』
俺は仮定から心の声に変わった、俺自身の言葉を聞き疑問に思う。俺が苦しんでる? 逃げて居る俺が? 立ち向かうことも背負うこともしなくただ逃げてるだけの俺の何処を見たら苦しんでると思える?
今度は口に出してすらないなのに
『わかるよ。お前は俺だ言葉なんてなくても思ってることは伝わるんだ。
おぬしは苦しんでる、逃げることが楽だなんて誰が決めた? おぬしは逃げてるから、苦しんでないと思ってるが、逆に逃げることで重石になることもある。』
目を背けることは楽なことだ、だが実際は目を背けることにより傷つくものもある。決して治らない傷になることもある、それには個人差がある。俺は傷つかない部類だと思ってが、心の声は違うと言ってる。俺自身を信じても心の声を信じても間違いでもあるだろう。
『おぬしは苦しんだでる。実際、逃げたからと言って重石かなくなれば、こんなとこに来ては居ない』
……今なんて言った? こいつはここの事知ってるのか? 俺の心の声であるずのこいつが知ってるのか?
「お前……ここがどこなのか、抜け出す方法とか知ってんのか?」
知ってるのなら話が早いこいつから聞き出せれば万事解決だ。そんな簡単に行くはずもなく
『知ってるとしても言わん。それに我もおぬしと同意見じゃ。なら導き出される答えはおのずと出てくる。これ以上はもう話さんヒントになるやも知れんからな』
そう言ったら唐突に存在が消える。前言撤回などないだろう、だがなんだかんだ言いながら自分でも言ってたが優しいのはホントの事みたいだ。
「あいつと話せたおかげで突破口が見えた」
用は心が重責で堪えられないから、そのこと事態消してしまおうとした結果、こうなったって事だ。なら重責だと感じなくなればいいだけの話。
「それに二度こちらで意識を手放したあれもこれで納得がいく」
一度目は八百屋の野菜を砕き中にヒントが無い確認した。あれ自体行動としては、後悔も反省もしてない、だが。後悔や反省はしてなくとも、罪悪感が芽生え、それが結果として重石になったって事だろう。
二度目も同じだ。一度目と違い事故だったが、それでも罪悪感は生まれる、自分の者ではなくしかもかえるものでもない。彼女が居れば金を出してくれたかもしれないが、今の俺は無一文、そんな俺が事故でも売り物を壊した、それだけで十分だ。
「だが八百屋もアイテムショップも両方覚えてる。それに」
さっきは流してしまったが、ケルベロスの時の事も覚えてる。って事罪悪感を感じたものから消えて行くって事ではない、それに記憶に新しい物から消えて行くって事もないだろう。もし新しい記憶から消えて行くなら、八百屋の事が消えてるはずだ。
「可能性はほかにもあるんだが……」
そう、罪悪感を抱くものは忘れずその上、新しい記憶から消えて行くって考えたらつじつまは合う。が、そこまでする必要があるのか?
「そこまでして罪悪感を残すとなると、先程の心の声もそうだったが、俺を戻そうとしてるようにしか見えない」
先程の心の声、俺を傷つけることもなければ、追い詰めることもしない、ただヒントをばらまいて帰って負っただけだ。それにこの状況が今考えた通りなら、帰り道を残し、その上きっかけとなる物まで置いて、帰るよう必死になるよう彼女の記憶を完全に消さずに残している。
全部仕組まれているとなると、こんなとこに連れてきた挙句帰り道も残し、多少なりとも情報開示したうえで必死になるよう餌までつるすという
「俺を育てたいだけにしか思えない状況だな」
ここまでお膳立てされればそう考えても仕方がない、少なくとも俺はそう考えた方が納得がいく。
「ならこの後は過去との対峙ってとこか?」
情報をもらい先の事を予想しにかかる彼、実際はローリェの記憶がかすかに残ってるのは仕組んだことではなく、甘かっただけの事だ。
雄也がここまで彼女のことを思ってると思えなかったのと、あんな些細なきっかけで手繰り寄せるとは思えなかっただけの事だ。
その事を彼は知らない伝えるものも居なければ、現状そんな風に考えれないとこまで思考をしてしまってる。
と言うわけでただのミスやバクなどの扱いになるはずの物を、深読みした雄也には餌をつるされたと高評価を出すのであった。




