第55話 王者と王子の、笑撃コンビ結成
ミサキが主役のはずが、クリスタルメインになってる状態に終わりが見えませんw
スターエイトの事務所内では
お飾り社長が受話器を握りしめて
激しく動揺していた。
「クリスタル! 大変や、えらいことになった!」
呼び出されたクリスタルは
耳が痛そうにスマホを遠ざけ
面倒くさそうに答える。
「なんやねん、そんな慌てんでも。ゆっくり喋れや」
「そ、そうやな、すまん……。
あのな、エンタメVIIで一緒やった連くんっておるやろ?
あいつと二人で
人気番組の『笑ってなんぼ』で
漫才やってくれって依頼が来てん!」
「連と漫才ねぇ……。で、連の事務所はなんて?」
「まだ聞いてない……」
社長の頼りなさに
クリスタルは深いため息をついた。
「俺から連絡するわ。日時は?」
1ヶ月後
ドラマ撮影の前日であることを確認すると
クリスタルは不敵に笑った。
「俺は出る気あるわ。
あとは連次第や。決まったら連絡する」
電話を切ったクリスタルは
「テレビ局の奴、見る目あるやんけ」
そろそろ
スターエイトも本格的な芸能事務所へと
シフトする時期かもしれない。
そんな野望を抱きつつ
彼はダブルスターの社長へと電話をした。
一方、ダブルスターの桐島社長も
デスクに置かれた依頼書を見て固まっていた。
(連に漫才!?
と、とりあえずスターエイトに連絡せな……。
でも相手はあのクリスタルやぞ。
社長に言うべきか、本人に直接言うべきか……)
そこへ、事務員が血相を変えて飛び込んできた。
「社長! 2番にスターエイトのクリスタル様からお電話です!」
「即、繋いで!」
慌てて受話器を取った社長に、
クリスタルの太い声が響く。
「突然すみません、クリスタルです。
連さんと僕で漫才の依頼が来てましてね。
僕は大丈夫なんですけど
そちらさんはどうされます?」
「連にはまだ聞いてませんが
私としてはクリスタルさんが良ければ
ぜひ出させたいと思っております!」
食い気味に答える社長に
クリスタルは満足げに頷いた。
社長がふと
「漫才でやっていける自信があると
考えて良いのでしょうか?」と尋ねる。
クリスタルは即答した。
「あの漫才でオーディション通ったようなもんですからね。
それに連さん、才能ある思いますよ」
(……流石や、王者の器が違う)
電話を切った社長は
すぐさま連にメールを送った。
『クリスタルとコンビを組んで
「笑ってなんぼ」に出演決定。
クリスタルはやる気だ』。
その内容を読んだ連は
自室でスマホを持ったまま彫像のように固まった。
「ク、クリスタルさんと漫才……!?
しかもテレビで!? マジかよぉぉ!」
彼の絶叫が
静かな部屋に虚しく響き渡った。
その日の夜
連はいつも通り配信を行っていた。
リスナーの中には
久しぶりに揃ったミサキと海斗の姿もある。
『海斗:ミサキ、ももかをちゃんと審査してくれてありがとう』
『ミサキ:あんな凄い演技されたら落とす理由ないよ。
楽しみだね!』
平和なやり取りが続く中
突如としてプロライバー専用の
ド派手な入室エフェクトが舞った。
王者の降臨に
リスナーたちが一斉に画面越しに姿勢を正す。
「クリスタルさん!
あの話、決定事項で連絡来たんだけど!」
連が焦りながら叫ぶと
クリスタルは悠然とコメントを打った。
『クリスタル:予定、合わんかったか?』
「いや、大丈夫ですけど! なんで漫才なんですか!」
『ミサキ:決定事項? 漫才? 何の話?』
困惑するミサキに、クリスタルが追い打ちをかける。
『クリスタル:番組から俺と連に漫才の依頼が来てな。
ダブルスターの社長もやる気満々やったから
断る理由なくなったわ』
『海斗:連、芸人デビューか(笑)』
『リスナーB:これ、またアプリのバナーに告知載るやつだw
連、頑張れよ!』
笑い転げるリスナーたち。
連の困り顔とは裏腹に
コメント欄には新たな
「迷コンビ」誕生を祝う爆笑の弾幕が
いつまでも流れ続けていた。
お読み下さりありがとうございます。
次回も楽しみに♡




