第53話 狂気の演技と、ドラマへの切符
ももかの才能が覚醒します。
演技審査は計10組のペア。
ミサキはやっぱり王者がトリの方が美味しいよね、と
クリスタルとももかペアは最後にしていた。
ももかは台本を見ている。
内容は彼氏に振られて縋る彼女。
えぇ?と驚く。
固まるももかに
隣にいたクリスタルが
「海斗に捨てられる気持ちでやれ。
アドリブOKやし
俺を海斗だと思って本気で来い」と言った。
「スターダストがガチ恋リスナーを
蹴散らすシーンがあるやろ?
あのシーンを連想した台本やと思うわ」
クリスタルとももかの番が来た。
部屋の中央に移動。
クリスタルは、何者?と思うくらいの完璧な演技。
ももかは素人感は出ているが
リアルな生々しさがある。
「うぜーんだよ!」
とももかの腕を振り払う。
「いやぁぁ! 捨てないでぇ!
悪い所全部直すからぁ!」
と叫びながらクリスタルの服を掴む。
そして
ももかの目から涙が零れた。
全員が息を飲み見ている。
(ももか、すごっ……!)
と思うミサキ。
クリスタルがももかの髪をつかみ
「悪いとこ全部言うてみ」と冷たい目で見下ろす。
それはアドリブだった。
ももかは縋る目でクリスタルを見る。
「すぐ嫉妬しちゃうとこ、顔色伺っちゃうとこ……」
「そんなもんすぐ直るわけねーだろ。
何も分かってねーな」と冷たく言う。
クリスタルの迫真の演技に
ディレクターが「凄っ……」と呟く。
ももかは頭を抱えて
「え、わかってないって何? 違う理由なの?」
クリスタルは自分の胸をつつきながら
「お前は俺の気持ち
すぐ悪い方に決めつけて
被害者ぶるだろーが!
俺を信じれん女はいらねーんだよ!」
ももかは「ハッ!……」って顔になり
すぐさま抱きつき
「信じるから! もう疑わないから!」と泣きじゃくる。
時間になり終了。
皆が立ち上がり盛大な拍手が起きた。
ライバーたちは
「クリスタルって演技も出来ちゃうんだ」
「ももかって子もすごいね」とコソコソ。
プロデューサーが別のペアの感想を話している。
そのペアは元人気役者と代表作がない役者。
感想を聞きながらクリスタルの迫真の演技に唖然としていた。
他のペアの感想も述べられていくが
皆、クリスタルとももかの演技に呆気にとられていた。
クリスタルとももかペアへの感想。
「ライバーとマネージャーとの関係ですけど
息合いすぎですね」と言われ
「イベント開始の3週間前くらいに
マネージャーになったんで
そんなに気が合う訳では無いですね。
怖がられてたし」とクリスタル。
脚本家が「素人の子が演技審査で泣くって凄いですよ」と
ももかを褒める。
ももかは恥ずかしそうに
「クリスタルさんの演技が凄くて
本気で見捨てられる気持ちになっちゃって……」と答えた。
ミサキが
「ももかちゃん、スターダストのガチ恋リスナー役行けそう」
と言った。
実際はクリスタルにガチ恋勢はいないらしいが
ガチ恋リスナーがいたら面白いよねと
小説の中ではサブメインに入れていたのだ。
そこで一旦審査員が別室に移り選ぶ。
残されたライバーたちには
「ももかさん、合格確定でしょ」と口にする。
クリスタルに「多才ですね」と
話しかけるライバーもいた。
合格者の発表
クリスタル
元人気役者の川谷仁
役者志望のダイスケ
白百合ももか
タレントのルナ
代表作がない役者の香織
しかも役まで決まっていた。
王者スターダスト:クリスタル
北村圭吾(モデル山本勇次):ダイスケ
ユウキ(モデル連):川谷仁
スターダストのガチ恋リスナー美波:白百合ももか
マユミ(モデル白百合ももか):香織
女帝ティアラ:ルナ
クリスタルは満足気。
ももかは「まじでガチ恋リスナー役!」と慌てる。
ミサキは他のキャスティングを考えなきゃと
ワクワクしていた。
テレビ局を出たももかは
すぐさま海斗にメールした。
『合格したよ!
スターダストのガチ恋リスナー役になっちゃった』
海斗からの返事:『おめでとう! ガチ恋リスナーってwww』
クリスタルから飲みに行かんと誘われた。
他のライバーたちはサッサと
帰ってしまったらしい。
「まさか泣くとは思わなかったわ」
「なんか、涙出ちゃって……」
「海斗くんにガチ恋リスナー役になっちゃったと
メールしたら笑ってた」
「俺もびっくりやわ。
ドラマデビューおめでとう。
上手く行けば女優になれるぞ」
とクリスタルが言うと
「海斗くんと、クリスタルさんと
クリスタル枠のみなさんのおかげです」
と頭を下げた。
「ゼロQ LIVEとスターエイトの凄さ見せるぞ」
「はいっ」
海斗は一人の女性ライバーの人生を変えたのだ。
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