第23話 数コインの奇跡と、選ばれる権利
ミュージックサバイバル最終日
「ミュージックサバイバル」最終日。
ミサキ(凛夏)は2位をキープしていた。
1位との差は50万コイン。
貢献度ランキングでは、
クリスタルの介入で大西直也が1位、
連(勝利)は3位につけている。
その差、40万コイン。
「……諦めたくない」
震える連に、
リア友の海斗は追い打ちの10万コインを譲渡した。
「泣きそうになってる暇があったら、
最後まで全力で行ってこい!
貢献度1位取れなかったら、もう潔く諦めろ!」
さらに追加で5万コインを投げ入れ、トドメを刺した。
「泣きそうなら泣け!
でも、最後に気持ち伝えて振られるのが、
一番お前のためになるけどな」
海斗の男気に連は嗚咽した。
「みんなー! 最後まで走り抜くよ!」
ミサキが配信開始ボタンを押すと、
今までにない人数が流れ込んできた。
ギフトの嵐。
1位との差が縮まっては広がり、
3位も猛烈な追い上げを見せる。
連は海斗から受け取った全コインを
特大ギフトに変換し、連投し続けた。
直也も負けじと特大ギフトを連発する。
「後3分! ラストスパート!」
ミサキの叫びに、
連は震える指で残った全てのコインを投げつけた。
結果発表。
差は——わずか1580コイン。
ミサキが総合1位に輝いた。
「ありがとーー!!」
涙で顔をグシャグシャにしたミサキ。
連、勇次、直也はランキングを確認した。
貢献度ランキング——1位:大西直也、2位:蓮。
その差はわずか数コインだった。
「……数コイン」
連は、ミサキの歓喜の涙を見ながら、崩れ落ちた。
万単位で負けていたら諦めもついた。
でも、この僅差はあまりに重い。
(……もう、届かないんだ)
音楽番組でオリジナル曲を歌えるミサキ。
彼女はもう、自分の手の届かない場所へ行ってしまった。
勇次からも「もう近付くな」と言われるだろう。
その時、画面からミサキの声が聞こえた。
「……連くん。ありがと。
直也さんに負けちゃったけど、連くんも……凄かったよ」
その言葉を聞いた瞬間、連の嗚咽が止まらなくなった。
(……どこで間違えたんだ。好きになってくれたのに……
それを手放したのは、俺自身だ)
その時、画面が4分割された。
ミサキ、クリスタル、直也、勇次。
クリスタルがミサキを祝福し、
直也が「貢献度1位、俺でごめん」と苦笑いする。
「おめでとう、ミサキ」
勇次の言葉は、どこか寂しげだった。
『……連、聞いてるか?』
クリスタルが重厚な声で
不在と思われた連の名を呼ぶ。
『ミサキに選ばせる。
……選ばれる権利、それをお前らに与えるわ』
意味深な言葉を残して、配信は終了した。
部屋に残されたのは、
スマホを持ったまま泣き崩れる連の姿だけだった。
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