第19話 それぞれの想いと、潜入する黒い影
ももか、サブ垢発動中
連(勝利)のリア友リスナー・海斗は、
友情という名の極めて重い鎖に縛られていた。
彼は連の一番下の階級のファンクラブに入り、
プロフィールを『推し⇒連』と書き直し、
アプリ内のありとあらゆる枠を駆けずり回っていた。
「連くんは最高です! みんな、連くんの枠に来て!」
編集した連の爽やかな笑顔動画を流し、
宣伝活動に勤しむ海斗。
その動画を山本勇次が発見した。
「へー、ちゃんと応援してくれてる奴いるやん。海斗ね」
プロフィールを開き、
『連推し』の文字を確認。
さらにギフトランキングを見ると、
その月に一番投げているのが海斗だった。
ミサキの名前もあったが、彼女は100コインのみ。
(まあ、ミサキちゃんは少しでも投げてやってるだけ
優しい奴なんだよな……)
そう思いつつ、勇次は胸の奥から湧き上がる衝動に驚いた。
(こんな優しくていい子をブロックして泣かせるとか……
連、見る目ないにも程があるだろ。あー……殴りてぇ)
誰かが傷つけられて怒りが湧くことはあっても、
殴りたいと思ったのは
昔、好きな女が傷つけられた時くらいだ。
(なんなんだこのモヤモヤした気持ちは……)
勇次は自分の心の奥底にある感情に、深く考え込んでしまった。
「海斗から
『誰が迷い込んでくるか分からないから配信はつけろ』って
言われたしな……」
連はほぼ誰も来ない配信枠を開いていた。
すると、『カイト』と名乗るリスナーが入室した。
「お、カイトくん?」
「……いや、海斗のファンになった人です」
どうやら、
海斗が色々なライバーの枠でギフトを投げて
アピールしているらしい。
『プロフィールを見たら海斗くんが
「連くんを推して!」って動画を流してて』
と言うそのリスナーは、小さなギフトを投げて去っていった。
(……俺のために、そこまで)
目頭が熱くなった瞬間、スマホが震えた。コイン譲渡の通知だ。
『5万コイン譲渡されました(差出人:海斗)』
すぐさまメールを送る。
『海斗!? なんでこんなに!?』
『ミサキの応援に使え』
たった一言の返事。
配信をつけて2時間。
連は涙腺が崩壊し、泣きながら配信を切った。
海斗の優しさが、今の彼には痛いほど沁みた。
その日の夜。
白百合ももかはサブ垢で、
入室通知をオフにしてこっそりミサキ枠に入っていた。
そこには、見たこともない光景があった。
絶え間なく飛び交うギフト。凄まじいリスナー数。
(何これ……連くんの枠なんて比べものにならない……)
ももかは、ギフトランキングで山本勇次の名前を見つけた。
(あいつ、ミサキと仲良くしてるライバーか)
イケメンで中堅層。フォロワー2万人弱。
ももかは鋭い目でプロフィールを開き、
とりあえずサブ垢でフォローした。
さらに、連の名前も見つけた。
しかも高額ギフトを4連発している。
『MUSIC SURVIVAL』
画面の端にはイベント設定があった。
(ミサキが……イベント!?)
名前だけは知っているトップ層や、
元は連のリスナーだった顔ぶれもちらほらと見える。
ももかは鋭い目でスマホを見つめ、
何やら禍々しい計画を立てていた。
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次回もお楽しみに♡




