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第18話 狂乱の初日と、崩れゆくプライド

遂にミュージックサバイバル始まりました


「ミュージックサバイバル」の初日が幕を開けた。


エントリーメンバー一覧を見て、

ミサキ(凛夏)は改めてそのレベルの高さに武者震いした。

半分以上がプロ、

あるいはそれに近い実力を持つアーティストライバー。

音楽系イベントの常連たちが軒を連ねている。


(……これ、ほんまに行けるんかな?

いや、みんなで頑張ればいける……よね?)


浮かんだのは、

全財産を賭けて挑んでくるであろう連の顔だ。


実のところ、ミサキが連のVIP会員に入ったのは、

王者クリスタルの「意図」でもあった。


見捨てることもできたが、

クリスタルは男性ライバーにも

もっと奮起してほしいと考えていたのだ。


アプリ内での爆発的な高額ギフトは、

圧倒的に男性リスナーの資金力に依存している。

男性リスナーが群がる女性ライバーは最強

——それがこのアプリの残酷な現実だ。


大西直也は今回は音楽系イベントを見送った。

「歌は本業じゃないから」と言っていたが、

それもミサキを確実に1位にするための配慮らしい。


「ただ、直也はちょっと意地悪だからな。

連の貢献度1位を、わざと揺るがしに行くかもしれんぞw」


山本勇次が楽しそうに話していたのを思い出し、

ミサキは不覚にも笑ってしまった。




ミサキの配信開始の通知が飛んだ瞬間、

コメント欄は怒涛の勢いで埋め尽くされた。


「みんな来てくれてありがとう! 楽しもうね!」


ミサキの声に応えるように、

特大ギフトが画面を覆い尽くす。

その中には、

必死の形相でギフトを連投する連の姿もあった。


(……そんなに私に戻って欲しいの?馬鹿な人だなぁ)


冷ややかな視線を向けつつも、

ミサキは機械的にお礼の言葉を並べ続ける。


2時間が経過した時点で、ミサキは2位につけていた。

3位以下はすでにその日の配信を終えている。


「初日だし、下の人たちは配信してないから、

ちょっと休憩しよっか」


ミサキがそう言って、適当な話題で会話を振る。

そのコメント欄を眺めながら、

連は自分の「貢献度」を確認した。4位。


(……まだ初日だ。イベントは3週間。

最後に1位であればいい)




しかし、連の頭には疑問が浮かんでいた。

上位陣の額がほぼ横並びなのだ。


(ミサキって、普段はそんなにイベントに出ないのか?

それとも普段はあまり投げてもらってない……?)


連は、ミサキの「普段の配信の強さ」を

まだ正確に理解していなかった。



その時、リスナーがコメントを打った。


『普段、小さなギフト一つでもニコニコしてくれるから、

こういう時頑張っちゃうよね』

『俺は普段からデカいの投げちゃうけどね。

ミサキちゃんが目を輝かせて大喜びするの見るの好きだからw』


ミサキは照れたように笑う。

「みんなが来てくれるだけで嬉しいよ。

ギフトは義務じゃないし、

楽しんだ延長でくれたら余計嬉しい、

くらいの気持ちだからね」


その言葉に、コメント欄が一斉に反応した。


『誰かさんとは大違いだよねwww』

『あははは! 煽るだけの配信者とは大違いwww』


「笑い」のコメントで画面が埋め尽くされる。


その様子を黙って見ていた社長は、溜息を吐いた。

(ここで連が自分のやり方を変えてくれたら

上を目指せるんだけどなぁ……)




コメント欄の「誰かさん」が自分だと悟った連は、

スマホの向こうで深く項垂れていた。




お読み下さりありがとうございます

次回もお楽しみに♡

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