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追放されたトップヒーロー、海外進出する〜俺がいなくなったら劇的に治安が悪化するけど日本の皆さん大丈夫?〜  作者: サトウミ


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クライムファミリー襲来

絶体絶命な状況でパフォーマンスタイムが終わりかけた、その時。

ゴールデンブザーが押された。


金色に輝くステージと、波のような歓声と拍手。

たった1秒で、目の前の光景が一瞬で変わった。


一体、誰がゴールデンブザーを押したんだ?

審査員席に目を向けると、フォーゲル社長が力強い手で、ゴールデンブザーを握っているのが見えた。


「ここで奇跡が起こりましたー! シャドウズは、まさかの大逆転で実践ステージ進出決定です! ゴールデンブザーを押したのは何と、フォーゲル社長です。それではフォーゲル社長に、ブザーを押した理由を聞いてみましょう」


司会者がフォーゲル社長に理由を訊ねると、社長は凄みながら話し始めた。


「ゴールデンブザーを押さなかったとしても、クライムファミリーの奴らはシャドウズ(こいつら)を殺しに来るだろ。どうせ殺される命なら、最後にチャンスくらい与えてやろうと思っただけだ」


俺達、殺される前提なのか。

まぁフォーゲル社長は俺達の実力を知らないし、そう思われても不思議ではないか。


「だけどな、テメェら。キムやパーフェクトジュエルがブザーを押した事実は、しっかりと受け止めろ。テメェらがやった事は、ヒーローにあるまじき行動だ。反社を煽って表舞台に出させたら、観客達にも危害が及ぶだろ」


「そこはちゃんと、被害が及ばぬよう守りつつ戦う予定でござる」

「……馬鹿かテメェ。観客を守りながらでも倒せる程度の相手だったらな、ネクサス(うち)のヒーローがとっくに倒してるだろ!」


フォーゲル社長が声を荒げると、それを宥めるようにウィンフリー社長が割って入った。


「まぁまぁ、フォーゲルちゃん。自信があることは良いことじゃないの。それに観客の皆さんだったら、いつものようにパーフェクトジュエルちゃんが守ってくれるわよ。そうよね?」


ウィンフリー社長がそう言ってパーフェクトジュエルにウインクすると、観客全員を閉じ込めるように大きなダイヤモンドの厚い膜が現れた。

パーフェクトジュエルの『宝石』の異能で作られた、ダイヤモンドの()だ。


「ちなみに、フォーゲルちゃんがゴールデンブザーを押さなかったら、私が押していたわ♪ 私は貴方達みたいなヒーロー、大好きよ! 今日、生き残れたら絶対スカウトするわ」


「本当でござるか!?」

「えぇ、もちろんよ。死体になっていなかったらね」


よし!

これで内定をもらったも同然だ。

俺は思わずガッツポーズをした。


「…ったく、呑気な奴だ。クライムファミリーに殺されるとか一ミリも考えてなさそうなのが、余計に腹が立つ」

「そのようなことはありませぬ。殺される可能性も考えているでござるよ」


流石にマフィア相手だったら何回か死ぬだろうけど、勝つまでやり直せばいいだけの話だしな。


「そもそも、クライムファミリーは本当に来るのかい? デストロイトからバサテナ(ここ)までかなり距離があるでしょ? 急いで来たとしても実践ステージが終わるまでに間に合わないんじゃないかな?」


普通に考えれば、キム社長の言う通りである。

デストロイトからバサテナまで行くのに、飛行機でおよそ6時間以上かかる。

だが…。


「心配ご無用。トニー殿の持つ『ドア』の異能を使えば、デストロイトからバサテナまで一瞬で移動できるのでござる」

「彼らの異能まで把握しているのか…。君は一体、どうやってそんな情報を調べたんだ?」

「秘密でござる」


死に戻りしていることを言ったら、クライムファミリーがそれを阻止してきそうだしな。

これから彼らと戦うわけだし、なるべく俺の異能(手札)は言わないに越したことはない。


「それではシャドウズのお二人さん、お疲れ様でした!」


司会者が締めの挨拶をすると、再び温かな拍手が送られた。

その拍手を浴びながら、俺達はお辞儀をして舞台裏へと移動した。


俺とソイが控室へ戻ると、そこにはパフォーマンスタイムをクリアしたヒーロー達だけが残っていた。

失格となったヒーローは、早々に帰ったらしい。

残っているヒーロー達は皆、俺達を警戒するように遠巻きに眺めていた。

腫れ物扱いするような視線が痛い。


「…もしかして俺、やりすぎたか?」

「うん。やりすぎ。反省して」

「……悪かった」

ソイに呆れられて、俺は小さくなった。


「まぁ、ゼンがぶっ飛んでいるのは、いつものことだから。気にしてないよ」

「えっ、いつも? 俺って、いつも変だったのか?」

「うん。いい意味で変わってる」


『いい意味で』をつけられても、あまり嬉しくない。


「それより、モニター見ようよ。審査員の反応が気になる!」

「それも、そうだな」


俺とソイは実践ステージの準備をしながら、他のヒーロー達と一緒に、控室のモニターで会場の様子をチェックした。


今は司会者がステージの上に立って、中間発表を行っていた。

実践ステージに進出したヒーローと、淡々と紹介している。


「…以上、12組が実践ステージ進出となります。ここで審査員の反応を聞いてみましょう。まずはキム社長から! 気になるヒーローはいましたか?」

「僕は、マントマンとパチパチガールが気になるね。強そうだし、見た目もいい」


「なるほど。お次はパーフェクトジュエル!」

「私はパチパチガールとクイーンハーツが、ジュエルの原石に感じたわ」


「パチパチガールが人気ですね。ではウィンフリー社長はいかがですか?」

「私は断然、シャドウズの二人よ! クライムファミリーなんかボコボコにやっつけちゃって!」


よっしゃ!

俺は喜びのあまり、ソイとハイタッチした。

あとはクライムファミリーを倒すだけだ。


「最後に、フォーゲル社長!」

「俺もシャドウズのアホ共だな。スカウトするかは別として、アイツらがマフィア相手にどう戦うかは気になるかもな」


フォーゲル社長も気にかけてくれているのか。

ありがたい。ゴールデンブザーを押しただけのことはある。


「皆さん、ありがとうございました。それでは次に、視聴者の反応を見てみましょう。SNSでのこの番組関連のトレンドはこちらの通りです!」


司会者がそう言うと大きなスクリーンがステージに出てきて、そこにトレンドのランキングが表示されていた。



【 SNS トレンドランキング】

1位・クライムファミリー

2位・忍者

3位・パチパチガール

4位・W托卵

5位・WW不倫

6位・暴露系ヒーロー

7位・シャドウズ

8位・コックローチマン

9位・ジョセフいた

10位・マントマン



「ほとんどがシャドウズ関係のトレンドですね。やはりクライムファミリーを呼び出すという奇想天外な行動に、視聴者も釘付けになったようです。それでは今度は、視聴者の声を見てみましょう」


今度はスクリーンに、SNSでバズっている投稿が表示された。




【視聴者の投稿一覧】

@emilysayswhat さん

A(アメリカズ)G(ゴット)H(ヒーロー)にイカれた忍者が出てるって聞いてテレビつけたら、マジでイカれてた』


@tyler_codes さん

『これってヤラセ? どっちにしろ放送事故だろ』


@fangirl_ashley95 さん

『クライムファミリーがマジで倒されたらウケる』


@jakeontherun23 さん

『食事中にコックローチマン出てくんな』


@madison_maybe さん

『マジでジョセフいた。本当にパスタ食べてて草』


@popcorn_xoxo さん

『パチパチガールにパチパチパンチされたい』


@kelsey_in_ca さん

『暴露系YourTuberの次は暴露系ヒーローか。ある意味新しいな』



「…視聴者の意見はご覧のとおりです。皆さん、クライムファミリーとシャドウズの戦いが気になるようですね。ちなみにヤラセを疑われている方もいますが、断じて我々はこの件に一切関与していません! 我々はただ、シャドウズの暴走に巻き込まれただけです!」


苦笑いしながら釈明する司会者に、観客席からクスクスと笑い声が広がった。


「では、そろそろ実践ステージの準備が終わったようです。彼らをお呼びしましょう!」


そろそろ出番か。

司会者に呼ばれた俺達は、控え室にいた他のヒーロー達と一緒にステージの上まで移動した。


ステージに上がると、観客達は拍手で俺達を迎えてくれた。

俺達はスタッフの指示通り、等間隔で横に並ぶ。

隣に立っているヒーローから緊張が伝わってきた。


「いよいよお待ちかね! 後半戦の実践ステージが間もなく始まります。ヒーローの皆さん、ヴィランを捕まえる準備はできていますか?」


「「はい!」」


俺達は異口同音に、力強く返事する。


「いい返事だ! それではカウントダウンを始めます。3………2……1…。スタート!」


開始を告げるブザー音が会場内に響き渡った。


と同時に、会場の扉を壊す勢いで開かれる音も響いた。

会場中の注目が、開かれた扉へと集まる。


扉からは無数の蜘蛛のような虫の群れが、まるでレッドカーペットを敷くようにぞろぞろと現れた。


突如現れた虫の群れに、観客席からは小さな悲鳴が聞こえてきた。


大量の虫が出てきた後、扉からはイカつい大柄な中年男性が現れた。


クライムファミリーのボス、ジョセフ・ゼーリックだった。

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