表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたトップヒーロー、海外進出する〜俺がいなくなったら劇的に治安が悪化するけど日本の皆さん大丈夫?〜  作者: サトウミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/37

アメリカズ・ゴット・ヒーロー

「「アメリカズ・ゴット・ヒーロー?」」


俺とソイは、口を揃えて言った。


「二人とも、この番組は好きでしょ?」

「好きだけど、それがどうしたの?」

「実は私、この番組のプロデューサーと知り合いなの。それでプロデューサーに、シャドウズの二人を出してもらえるようにお願いしたの!」


「「えぇ?!」」


俺もソイも、開いた口が塞がらない。

アメリカで一番人気のあるヒーロー番組に出るだなんて、夢にも思わなかった。


「念のため確認するけど、二人ともまだ所属事務所は決まってないのよね?」

「あぁ、全然。ダメダメだ」

「かれこれ50社くらい応募しているけど、手ごたえゼロだよ」

「それなら出場条件はクリアしているわね」


「だけど、なんで僕らが急にオーディション番組に出ることになったの? プロデューサーさんに推薦してくれたのは有り難いけどさ」


「だってこうでもしないと、ヒーローポイントの少ないキミ達は永遠にプロヒーローになれないわ。キミ達のようなヒーローが埋もれているのは勿体無いもの。キミ達はアメリカに必要なヒーローよ!」


シンガールは苛立っているかのように声を荒げて、熱弁し始めた。


「確かに犯罪を未然に防ぐ活動だなんて、ヒーローポイントにどう加算すればいいか難しいわよ? でも、それにしたってヒーロー協会は頭が固すぎる! ボートランドの今までの犯罪件数を比較すれば、二人の活動がどれだけ社会に貢献していたか一目瞭然なのに。それにフィオナだって、フーマがタイムリープして得た情報のおかげで助けることができたのよ? なのに『実際に助けたのはシンガール(わたし)だからヒーローポイントはあげられない』って…そんなの、おかしいわ!」


シンガールは俺達以上に悔しがる。

彼女がそこまで思ってくれていることに、俺は少し嬉しくなった。


「だから、どうすれば二人がプロヒーローになれるか、私なりに考えてみたの。それが『アメリカズ・ゴット・ヒーロー』よ。この番組は大手ヒーロー事務所の社長達が実際に審査するから、彼らの目に止まれば採用される可能性があるわ!」


確かにアメリカズ・ゴット・ヒーローには夢がある。特に俺たちのような無所属のヒーローにとっては、千載一遇のチャンスだ。

前にあの番組を見た時も、いろんなヒーローがそのチャンスをものにしていたな。


「だけど僕達、ヒーローポイントは少ないよ? そんなヒーローでも出場資格はあるの?」


「大丈夫よ! なんせこの番組の出場資格は『ヒーロー認定証があること』と『出場時点で無所属であること』の2つだけだもの。ちなみに本当なら番組出場をかけたオーディションがあるんだけれど、二人の場合は現役ヒーロー(わたし)の推薦があるから、それはパスできるわ」


「本当か? それはありがたい」


「出演予定は1ヶ月後なんだけど、二人とも出られそう?」


「あぁ。当たり前だ」

「なんせ僕らは1ヶ月後も2ヶ月後も()()だからね」


「なら決定ね!」


こうして俺達は1ヶ月後、アメリカズ・ゴット・ヒーローに出演することが決まった。


シンガールがくれたチャンスを活かすためにも、俺は過去の放送をチェックして対策を考えた。


アメリカズ・ゴット・ヒーローは、『パフォーマンスタイム』と『実践ステージ』の2部構成になっている。


前半のパフォーマンスタイムは、ヒーローたちが自らの能力を披露するステージだ。


1組あたりの持ち時間は10分。

審査員4人はそれぞれブザーを持っており、押されるとNGマークが表示される。パフォーマンス終了時にNGが1つ以下であれば合格となり、実践ステージに進出できる。

なおNGは取り消しできるため、パフォーマンス途中でNGが2つついても挽回可能だ。

ただし4人全員にNGがついた場合、その時点で失格確定となりパフォーマンスは強制終了される。


ちなみに審査員席の中央にはゴールデンブザーが設置されている。ゴールデンブザーは審査員のみ押すことができ、これが押されると即座に実践ステージへの進出が決定する。

つまり審査員のうち3人の評価が悪くても、残り1人に強く気に入られれば実践ステージへ行けるのだ。


パフォーマンスタイムで脱落するヒーローは、全体の約3割。

7割は実践ステージに行けるとはいえ、油断はできないな。


パフォーマンスで落ちているヒーローの敗因は何か、俺なりに考えてみた。その結果、『異能や見た目が地味』『強そうに見えない』という理由が大きのではという結論に至った。

俺達の見た目はボートランドでも割と好評だったし、異能も悪くない。ちゃんとアピールできれば落ちることはないだろう。


問題は後半の実践ステージだ。

実践ステージでは、実際にカルフォルニアに現れたヴィランを捕まえる。

この番組での活躍もヒーロー名簿の経歴として記載されるらしいから、有り難い話だ。


出場者には研修の時のように、個々に追跡カメラがつけられ、その活躍がYourTubeで生配信される。

中でも特に活躍しているヒーローは、会場やテレビに映し出されて審査員達に評価される。


だけどヴィランが現れない場合はどうするんだ? と思ったが、そこも一応考えられているらしい。カルフォルニアには犯人役のヒーローも何人かいて、彼らを捕まえればヴィランを捕まえた時と同様に評価されるらしい。


ただ、過去の放送を見る限りでは、犯人役のヒーローを捕まえても大した評価は得られなさそうだ。

『ヴィランが全く出ず、犯人役のヒーローしか捕まえられなかった』という回が、過去に何度かあった。

そしてヴィランの現れない回に出ていたヒーローのほとんどは、内定がもらえなかった。3人のプロヒーローを捕まえても尚、内定をもらえなかった人もいる。


だから内定を勝ち取るには、ヴィランをいち早く捕まえる実力だけでなく、『放送当日にヴィランが頻出する』という運も兼ね備えていなければならない。


ヴィランを誰よりも早く捕まえるだけなら簡単だ。

なんせ俺には死に戻りがある。

ヴィランを先回りして捕まえるなんて朝飯前だ。


だがここで問題なのは『手柄を得るためにヴィランの悪事を見逃すのか?』という点だ。

ヴィランを捕まえるには、ヴィランが実際に悪事を働いた後でないと意味がない。

悪事を働く前に捕まえても、その時点ではまだ犯罪者(ヴィラン)ではない、ただの一般人だからだ。


かといってヴィランが悪事を働いた後だと、被害者が出てしまう。どんな犯罪であれ、誰かが被害に遭うのを黙って見過ごすなんて、できない。


俺達のチャンスのために、ヴィランを見逃すか。

それともチャンスを犠牲にして、人々を守るか?

正直、どちらも選びたくない。

どうすれば俺達のチャンスも、人々の平和も、両方手に入るんだ?


そのことで何日も頭を抱えていると、ある日突然、妙案が思い浮かんだ。


── そうだ! アイツらを()()しよう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ