3話-16
カップ麺を堪能した後、私たちはそれぞれのお弁当を食べる事にした。
私は駅のコンビニで購入したおにぎりと菓子パン。世良先輩と奈村先輩もコンビニのおにぎりとブロック状の機能性食品。
「たはは。便利な世の中になったよね」
「でも、コンビニのおにぎりって昔よりだいぶ美味しくなったよ」
「ですです。特にツナマヨは家で作るより格段に美味しいですよね」
「「……」」
簡易的に済ませるのも美徳である。決して弁当を作ってこなかった言い訳ではない。
チョコと西園寺先輩の方を見ると、二人共弁当を持参していた。チョコはファンシーな柄の可愛らしいお弁当箱で、先輩のは小さめの漆塗りのお重である。いくら小さいからといっても、これを担いで登っていたのか。
「待ってました〜!」
世良先輩と奈村先輩がワクワクしている。世良と共に両手をギュッとして上下に振っている奈村先輩が可愛い。男の人なのに。
「飲み物を余分に持ってもらう替わりに、弁当を提供しているのさ」
西園寺先輩がお重の蓋を開ける。中には彩り豊かな色彩のおかずが詰め込まれていた。ご飯の代わりに小さめのいなり寿司が二つあり、西園寺先輩がいなり寿司を蓋に移すと、残りを先輩方二人に押しやった。
「食べてよし」
西園寺先輩が先輩方に餌付けをしているその横で、チョコが小さなお弁当箱を開けた。
「あっ……」
少し中身が寄ってしまっていて、それを割り箸でそっと戻す。「真央さん、写真お願いしてもいいですか?」
「うん、いいよ。はい、チーズ!」
お弁当の中身を見せる様にはにかみながら笑顔を浮かべるチョコ。
「そのお弁当、何か特別な物なの?」
「はいっ! この間一華ちゃんに教わったレシピで作ったんです!」
先月の調理実習と「下克上」で仲良くなった二人は、ちょくちょく一緒に遊んでいるらしい。舞咲さんがチョコを家に招待した事もあるとか。
「その時は絵茉さんも来ましたよ。調理実習の繋がりで、大切なお友達が増えました!」
破顔して嬉しそうに遊んだ時の事を話すチョコを見て、私もチョコと一緒にここにこれてよかったなと感じた。チョコが西園寺先輩と仲良くならなければ、連れていってもらえなかったのだ。
「もちろん、今日真央さんとこうして一緒に登山できた事も、とても嬉しいです!」
「!」
こいつ、唐突にぶっ込んできた! 普段あまり私に対して感謝などしないのに、テンションが上がってる為か、あまり考えず思いついた事を勢いで話している。
「あっ……いつも陸上部で一緒に練習できるのも感謝しているんですよ……。あれから他の部員も練習頑張る様になりましたし、私も記録が伸びてますので」
「チョコ! もういいから! 伝わってるから!」
段々と照れが混じりながら感謝を繰り返すチョコを見てられない! 助けて! 恥ずかしくて死ぬ!!
それからチョコが落ち着くまで、私は彼女の照れ感謝を聞き続けた。先輩方はニヤニヤしてそれを聞いている。やめてっ! 私のライフはもう──




