3話-11
大人数での行動なので、休憩は多めにとる。何度目かの休憩で、それは起こった。
「きゃーっ!!」
悲鳴があがった先に駆けつけてみると、そこには震える様子の女子生徒と、西園寺先輩、世良先輩の姿があった。見ると、足首の周りにヒルが三匹程ついていた。
痛くて怖い思いを噛みしめながら、女子生徒は必死に騒ぎ出す気持ちを堪える。西園寺先輩がジッポを取り出し、ヒルを焼いて落とした。その間に救急箱を開けた世良先輩が、傷の様子を確かめて、消毒を始める。
話を訊くと、休憩になって辺りを見渡したら、ちょうど良い岩があったのでそこに腰掛けていたそうだ。岩の裏側は湿っている落ち葉が大量に重なっており、岩に張り付くヒルの姿もあった。
「もう大丈夫だよ。頑張ったね」
「はい。私怖かったけど、ちゃんと我慢できました」
世良先輩は丁寧に治療を施し、女子生徒は無理にヒルをとろうとしなかったお陰で大した傷にならなかった。
「みんなもそうだけど、休む場所はしっかり確認しよう。ヒルもそうだけど、ムカデや蜂、蛇なんかも大変危険、だ、ぞっと!」世良さんが茂みの中に手を突っ込んで、そのままひきづり出す。掴んだ先には蛇がいた。女子生徒を中心に小さく悲鳴があがる。
「落ち着いて。これは大丈夫な蛇」そう云いながら頭を掴み皆に見せる。「目が赤いでしょ。背中に数本の黒い線がある。これはシマへビといって毒のない蛇。危ないのはヤマカガシやマムシ」
世良先輩は尻尾を掴んだまま垂直方向にくるくる回し始めた。「あらよっと」そのまま反対側の遠くの茂みに蛇を投げた。
「蛇は頭を持てば怖くないし、ああやって尻尾を持って回せば遠心力で頭が近づけない。
だけど、毒がないからって噛まれないわけじゃないし、一般的にぱっと見てどれが毒蛇でどれが毒のない蛇かなんて判断はつかないのね。だから、決してこちらからは近づかない。いそうな場所に行かない。
蛇は臆病だから、多くは逃げていくよ。だからお互いそっとしとこう」
世良先輩……頼りになります。




