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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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3話-10

 再び歩いていると、視界が急に開いた。両サイドに生えていた木々の姿がなくなり、丸太と板を組み合わせた様な道が現れた。

 歩き続けると、視界がコロコロと変わっていく。森、尾根、丸太道、急斜面、下り道。足元も風景も様変わりし、特に尾根を歩いている間は、景色が素晴らしかった。

 尾根の両サイドは急斜面になっており、崖とは云わないまでも落ちたらそのまま転がり続けて身体中を骨折してしまうだろう。だが、足元は心元ない。両脇に杭にひっかけたロープが柵がわりに続いていて、真ん中の幅が一メートルに満たない道をうっかり踏み外さない様に歩いていく。左右どちらかに転ぶと人生終了なので、転ぶ時は前に転ぶ。危険な道なので、通常よりゆっくり進む。

 そして、ゆっくり進みながら、一瞬立ち止まり左右を見渡す。広大な山があちらこちらに姿を構え、その雄大さを物語っている。その中には、頭を真っ白にした日本一高い富士山の姿もある。

 標高が高く、尾根の為周りに視界を妨げるものは何一つない為、大パノラマの素晴らしい眺望が瞳の中に飛び込んでくる。

 この素晴らしい体験は、決してテレビでは味わえない興奮を伝えてくれる。映像で観るのと自分の目で観ることは、こんなにも差があるのか。

「凄い景色ですね……。きてよかったです」

「そう云ってもらえて、嬉しいよ」

 感動しているチョコも、そしてその事を喜んでくれている世良先輩も、そして私も。今ここにある同じ風景を、同じ様に感じている。ここにいる三十数名が、同じ様に感動をしている。

 ここからドローンを飛ばしたら、あっという間に私たちは見えなくなり、山々が美しい自然の風景を形作っているのが映し出されるだろう。それ位私たちはちっぽけで、そのちっぽけな身体いっぱいに、両眼を通して見える景色全てを脳裏に焼き付けている。

 自然はなんて立派なのだろう。雄大で広々としているのだろう。

 私はしばしの間、頂上の事は忘れ、今目の前に映るこの景色を楽しんだ。

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