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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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2話-8

 警察犬(ポリスドッグ)、これが私の考えた能力。身体能力の向上──特に嗅覚は、警察犬が持ち物の匂いを嗅いで犯人を追跡するように、嗅ぐ事で抜群の分析力を得る事に成功した。そして、この能力が役立つのが、食材選びだ。

 食材の目利きも実習の内容に含まれている。レシピを班全体で確認した後に簡単に役割を決めるのだが、私はいつも食材係を務めた。そしてこの警察犬(ポリスドッグ)で良い食材を選ぶのである。ちなみに、そんな事しなくても、元々料理研究会に所属している部員達の目利きスキルは相当な物だが。

 匂いが強すぎる時もあるし、苦手な匂いもあるけれど、新鮮かどうかはほぼこの能力で判別できる。班員からも絶対の信頼を得ているので、自信を持っておススメする能力だ。

「舞咲様のお陰で美味しいご飯にありつけます」ありがたや〜と、私に向かって上原さんが手をこすりだす。

「やめてよ。別に食材を選んだだけだし、美味しくなるかは料理の出来次第でしょ」

「いやいや、一華の料理の腕は知ってるし、この班は皆料理してるから、食材の鮮度の大切さは分かってるつもりです」三角巾とエプロン姿が似合っている春日野さんが、にぱっと笑った。私たちも温かい気持ちになり、そのまま調理を開始した。

 私が部員という事もあり、他のメンバーは班分けの余りになった人同士で組まれた班だった。班分けの基準がどういう物かは知らされていないが、五人全員女子の班になり、先月の実習から、一年間同じ班として活動する。なので、上原さんや春日野さんとはあまり班らしい活動をしなかった先月から、同じ一角で作業をしていた。

 羽月さんと対戦する事になって、春日野さんとも距離が出来てしまうんじゃないかと思っていたけど、そんな事はなかった。彼女の方から良く話しかけてくれるし、彼女とのお喋りは楽しい。上原さんも面白い人で、私たちの班は笑いが絶えない。

「一華、そっちどう?」

「もうすぐ……1……2……3、出来た!」

 互いの動きや、声のかけ方もよく、レシピ以上の完成度の料理ができた。

「「おお〜!」」

みんなで完成を祝って、とりあえず写真を撮りまくった。上原さんはアプリを駆使して、SNSにプロが撮影したと見まごう程の出来栄えの写真をアップしている。私を含む他の班員も素人ながら素敵な写真を撮り、お互いに料理と一緒の撮影もし、写真を交換しあった。

 写真には美味しそうな料理と、それを取り巻くカラフルな服装の私たちがいる。各々がつけているエプロンは、先月の家庭科で実際に作った物だった。

 裁縫の課題にはいくつかあり、布同士を手縫いで縫い合わせる基本的な物から、ドレスを仕立てる物迄あった。どうせ調理実習もあるからと、私たちの班は皆エプロンを作る事にした。それぞれが器用にミシンで作り上げていた。

 作業をしていく中でポツリポツリと誰かが話し始め、やがて色々な事を話しながら作業をしていく様になった。調理実習の話も出て、料理の腕を確認しあったところ、皆自炊経験者だった。コンビニよりスーパーが好き。食品の価格を把握していて、セールには必ず出向く。母親の手伝いで、週末にケーキを焼いている。

 共通の話を見つけた私たちは今では下の名前で呼び合って、今日も楽しく調理できている。

「先生、出来ました!」

上原さんが手を挙げて先生を呼ぶ。

「は〜い、お待たせ。じゃあ、少しいただくわね。もぐもぐ」ごくん。美味しそうな顔で料理を飲み込む先生を見て、私たちはよだれが出るのを堪えた。「良い出来だわ。火の通り具合も抜群で、色合いも申し分なし。後は昼休みに入るだけだから、ゆっくり食べてなさい」

「はい、ありがとうございました」私を先頭に、皆でお礼を云う。先生はまた別の班に向かって、料理の評価をしている。

 このまま昼休みに突入するので、料理が完成した班からそのまま昼ご飯になる。その後はだらだら過ごすもよし、退去するもよし、お茶会を始めるもよしっ! である。

「ちょっともらうね」

そう云って上原さんが料理をお皿に盛り始めた。一体何をするのだろう。

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