2話-6
「真央さんから聴いて驚きましたよ。まさか生徒会に喧嘩を売るなんて」
チョコの呆れた態度に、大和と絵茉は顔を見合わせて、笑う。
「いつもの事だ、気にすんな」
「そうそう、どうせ修弥が絡んでるんだから。気にしたってあたしらが振り回されるだけ」
「無条件で振り回される私の立場にもなって下さい……あの悪魔め……」
「みんな、ツンデレだなぁ。大丈夫だって、しゅうちゃんは平等に優しいから。あっ、でも、手を出そうとしたら流石に許さないからね」特に大和が可能性としては高い。同性だからって、昨今の状況じゃ何が起きるか分からない──おっ、大和がもう勘付いている。
「真央、それはないから安心しろ。俺はもう相手がいる」そう云って絵茉の肩に手を置く。「大和ぅ」絵茉も大和のもう片一方の手を握り、雰囲気を醸し出す。
「私もお二人みたいに仲良い恋人が欲しいですよ。真央さんと三年間慌ただしく過ぎ去っていく未来しか見えないです」失礼な。私は修弥と薔薇色の三年間を過ごすんだから。
「そうだ。お前らは今年馬車馬の様に働くんだから、色恋にうつつを抜かしている場合ではないぞ」大和の背中越しに声がかかった。見上げると、そこに修弥がいた。
「しゅうちゃん!」
「次は移動教室だろ? 早く行こうぜ」親指を立てて引くジェスチャーが眩しい。
「なんで隣のクラスのお前が呼びにくるんだよ。わざわざ来なくてもあっちの教室で会えるだろ? うわっ」修弥が大和の頭に畳まれたエプロンを乗せた。大和は前が見えなくなり一瞬慌てる。「大和ちゃん、そんな寂しい事云うなよ。長い付き合いじゃないか。君の為にエプロンも用意したっていうのに」
「余計なお世話だ。俺の分はきちんと用意してるし、何が悲しくて部活も班も同じのお前と、移動まで一緒にいなくちゃならないんだ」
「でも絵茉となら構わないんだろ?」
「お前は男と女で同じかと思うか?」
「それは男女差別じゃないか! ちゃんと俺の愛を受け取ってくれ!」
「やめろ! 真央が見てる、殺される!!」ああ、大和。今日が貴方の命日になるね。
修弥と大和は私たちの周りをぐるぐる周って、次第に本気になり、最後には息切れをしていた。「おかしいな、ブラバンだってランニングして結構鍛えてるはずなのに」「なら足らないんだろ? 今日から二倍走るぞ」互いにぶつぶつ云いながら今後の計画を話し合ってる。
チョコが絵茉が、支度をして立ち上がった。
「早くいきますよ」
「そだよー。あたしら先に行ってるからね」
「待ってよ〜。私も行きたいよ〜、しゅうちゃ〜ん、やまと〜」二人はまだぶつぶつ言い合ってる。チョコたちは先に行ってしまって、私は取り残された。
「二人とも、早くして〜!」




