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現実(いま)の世界へ…  作者: 福山皇
7/9

突然のこと

-佐野万輝-


僕は翔月くんに手を引かれ、マンションまで連れて来てもらった


翔月 「佐野?傷の手当てしよう?」

万輝 「…うん、ありがとう」

翔月 「どういたしまして!」


翔月くんは驚いた後、笑顔で答えてくれた

あの日のことがあるのに、それでも優しくしてくれる翔月くんに僕は嬉しくて、涙が出てきた


翔月 「えっ、えっ、佐野!どうしたの?そんなに痛いの?」

万輝 「だ、大丈夫!翔月くん…ヒック…が…ヒック…優しいから、ヒック」

翔月 「ああ、良かった、痛いとかじゃなくて」

「佐野、俺ね、あの時のこと謝りたくて、ごめん酷いこと言って、あと無責任な事も言って」

万輝 「ううん、僕は嬉しかった!翔月くんが謝ってくれて!だだどう返していいか分からなくて無表情になって、僕こそごめんなさい」


僕たちは二人で謝って、いっぱい話した

そして、僕にも少しだけ笑顔が戻ってきた

でも、本当の笑顔にはなれないの…翔月くんの事、信じてない訳じゃないんだ

笑えない理由…僕は知っている

それは、幸くんがいないからだと思う

好きな人の前では最高の笑顔を向けたいから

本当の笑顔じゃないこと、翔月くんは気づいてる

でも、翔月くんは僕に笑ってくれた

こんな僕でも笑顔を見せてくれるなんて、有り難いな


-杉山幸-


俺は万輝を捜すのを中断して、翔月の家の玄関まで行くと外にも聞こえるような楽しそうな声がした

妹と二人でテレビでも見てるんだと思ったから呼び鈴を鳴らさずに中へ入った

幸 「翔月?どうした?俺さ…つむぎ…えっ?」

翔月 「あっ、幸やっと来たんだ!」

幸 「えっ、なんで万輝がいるの!?」

翔月 「拾ったの!で、怪我の手当てしてたの!ねっ、万輝!」

万輝 「うん!翔月に助けてもらったの」

万輝が笑顔を翔月に向けているし、呼び捨てなのがイラつく!

嫉妬だと分かっているが、イラついて表に出してしまった

幸 「万輝、俺は必死に捜したんだ!」

万輝 「あっ………ごめんなさい」


つい嫉妬で万輝に八つ当たりしてしまった

幸 「いや、ごめん、言いすぎた」

「こんな事が言いたかったんじゃなくて、傷、大丈夫か?」

万輝 「うん、大丈夫!翔月に手当てしてもらったから」

幸 「そっか、良かった…」


俺は安心したせいか、足に力が入らず座り込んでしまった

万輝 「だ、だいじょーぶ?幸くん」

幸 「うん、大丈夫…心配してくれてありがとな」

俺は無意識に万輝の頭を撫でると、頬を真っ赤にした万輝が満面の笑みで俺を見ていた


それはもう美しく、綺麗だった

中学生の時とは違う笑顔で、中学よりかもっと綺麗に成長していて、俺はこの笑顔と万輝を守ろうと心の中で誓った


-佐野万輝-

僕と幸くんは翔月の家に泊まらしてもらった

僕たち二人は翔月の家に着いた途端、安心してしまい動けなくなって、床に座り込んだ為、翔月が仕方ないといった顔でぼくたちを泊めてくれた

だから、文句は言えないけど、幸くんと二人で一緒の部屋なのは困ってしまう…


幸 「なあ、万輝…起きてるか?」

万輝 「うん、起きてるよ…」

幸 「万輝は好きな人とかいたりする?

万輝 「え…うーん…いるかな…幸くんは?」


自分は馬鹿だ、幸くんは絶対に好きな人がいるの分かってるのに、聞いて後悔した…

僕は返事を聞く前に失恋だと思っている


幸 「うん!俺はいるよ…そいつは可愛くて、頼らないけど…それでも目で追ってしまうぐらい好きなやつ」

万輝 「そ、そうなんだ…」

幸 「うん、でも、そいつは絶対に俺が好きなこと気づいてないんだ」

万輝 「そんな事ないよ!幸くんカッコイイんだし、正義感もあるし、優しいから、その人は気づいてるよ!」

幸 「そっか、じゃあ明日、告白するよ!聞いてくれてありがとう」

「万輝、おやすみ」

万輝 「うん、おやすみ」


幸くんはすぐに眠りについた

でも、僕は泣きたくなって、ベランダに来た

幸くんと二人は本当にキツイと思った

今日の好きな人を聞いてきただけで、僕の初恋は実らないと思った


1時間ぐらい泣いて、僕は布団に入った

幸くんの告白する相手と上手くいくように祈りながら眠りについた



次の日、僕は自然と目が覚めて、二人の朝食を作った

翔月には泊まらしてくれた事、傷の手当てのお礼をしたくて、幸くんには今日の告白がいい方向に向かうよう祈りを込めて作った

そして、僕は作り終わると、着替えて、翔月の家を出た


-杉山幸-


朝、目が覚めて隣を見るともう万輝はいなかった

今日、告白すると昨日寝る前に本人に宣言したのにいないのが不安で、リビングへ行くと…翔月も同じぐらいに起きてきた

幸 「翔月、おはよ」

翔月 「うん…ゆき、おはよ!万輝は?」

幸 「朝起きたらいなくて、リビングにいるかと思って来たけど…」

翔月 「そっか、てか、ここにはいないな!トイレかな?」


翔月は確かめに行ったが、俺は思った


『多分、この家にはいない』と


翔月 「万輝、いないよ?なんで?」

幸 「多分、家に帰ったんじゃない?今日土曜日だし」

俺は呑気に言いながら、テーブルを見ると朝食と2枚のメモが置いてあった




翔月へ

昨日はありがとうございました。

感謝してもしたりないぐらい助かりました。

あと、冷蔵庫の中みて、ごめんね。

お礼に朝食作りたくて、開けちゃいました。

少しですが、召し上がって下さい。



幸くんへ

寝る前に話した事ですが、今日がんばってね。

僕は応援する事しかできないけど、

幸くんなら大丈夫だよ!自信持ってね。

実ることを祈っております。



俺たちはこれを読んで、二人ともため息を吐いた

理由は分かっている

また万輝が離れていきそうで、何より文章が硬すぎる、だから、俺たちは万輝の作ってくれた朝食を急いで食べて、ふたりで万輝の家へ突撃しに行くことにした







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