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change1 出会い

今回は、日常パートです。実際グダグダだったりしますが、よろしくお願いします。

 四月、桜並木の坂道。東雲響夜は憂鬱だった。肩を落とし、ため息をついた。

「おい、響夜。何ため息ついてんだよ。」

 後ろから声が聞こえた、響夜は振り返える。背が高く、制服を上手に着こなすイケメンがそこにはいた。

「よお、しゅう。おはよ。」

「おはよ、二年生になったそうそうため息とか…。」

「いいの。去年仲良かったやつが違うクラスにいって、また新しく友達とか作るのが面倒くさいの。」

「大丈夫、違うクラスになっても会いに行って昼飯食ってやるからさ。」

 ポンっと秀は響夜の肩に手を置いて、にっこり笑顔で言った。

「俺が友達いないみたいなこと思われそう。」

「平気、平気。それに同じクラスになれば問題ないし。」

「まーそうだけどさ。」

 響夜と秀は一年生の頃は同じクラスで、仲のいい友達。隣の席で、最初はほとんど会話がなかったが、互の趣味がわかると意気投合。その趣味とは。

「なあ、響夜。昨日のムーブブレイク見た。」

「ああ、一応な。」

 秀はその返答を聞くと、テンションが上がり。

「マジで可愛かったよな、ヘルモちゃん。声優さんの声とかバッチリだし。特にあのラストシーンで出した、技かっこよかったよな~。『荒野の果てに刻め!第十九魔法、ダイヤル・ギフト』あのシーン見てから、壁紙という壁紙がこのシーン一色だよ。」

 ほらっと言って、秀はスマホの画面を見せてきた。

(秀のこういうところが無かったらきっとモテてたのにな。残念なイケメンよ。)

 響夜はそう思った。

「なあ、秀。ぶっちゃけお前ってさ。どのぐらいの間隔で女子から告られてんの。」

「なんだ、急に。」

「いや、お前ってアニオタなところ隠したらモテるんじゃないかと思ってな。」

 響夜は実際その現場を見ている。いつもどうり下校に誘おうと思ったら、女子からアプローチを受けていた。なんてよく目にする。

「あのな、響夜。リアルにあんな可愛い子いるかな。いたとしても俺の周りには、少なくとも化粧したり可愛く媚売ったりと偽りしかいない。それに、上っ面だけだ。俺がアニオタと知った途端に引いていく。」

「苦労してるんだな。ごめん、この話はたぶん二度と振らない。」

「気にすんなよ。それよりも響夜のほうはどうなんだよ。」

 秀がニヤニヤしながら、肩を組む。

「だって、この前体育館のところで女子と話してるの見てたぜ。」

「あれは、お前との関係を聞かれただけで…。特には。」

「関係…。なんで。」

 響夜は、知るかと言って手を振り払った。

 響夜はあの時の女子との会話を思い出す。

「あのっ。えっと…。その。秀君とは、どんな関係なんですか。」

「はぁ。秀との関係?普通に友達だけど。」

「そうなんですか。てっきり仲があまりにもよかったから、てっきり。」

「てっきりって……。あっ。違っ。あいつとはそういうのじゃないからな。」

 響夜は、そのあとも質問されまくった。下校時も一緒なのか、どうしてお弁当を作ってきてもらってるのかとか―――。

「響夜?響夜。聞いてる?」

 気づくと、秀が響夜の顔を覗き込んでいた。

「ああ、ごめん。なんだっけ。」

「えっと確か――。」

 くだらない会話をしているうちに学校に着いた。下駄箱の前にはクラス分けの結果が掲示されている。

 周りの生徒が喜びの声や黄色い声等さまざま聞こえる。

「秀、あったか。」

 響夜は半分ぐらいのところまで見て、隣にいる秀に聞く。

「ちょっとまって、あっ。あった。今年も同じクラスだ。」

「何組?」

「二年三組。他には、去年クラス委員してた。長谷川美貴ぐらいかな。」

「去年も席近かったし、顔見知りが居ると楽でいい。」

「えー、俺はまた注意されるの嫌なんだけど。」

「それはお前が俺に喋りかけてくるから。とりあえず教室行こう。邪魔になるし。」

 教室に向かう途中で、どんな担任の先生が来るかなとか話していた。

 学校は四回建てで、二年生の教室は二階で、その上に三年生の教室があり。一番下の階に一年の教室がある。四階は、職員室や音楽室や美術室などがある。

 教室に着くと黒板に張り出されてる座席表を見て、席に着く。

「今年も隣同士だな。この展開なんかラノベみたいだな。」

 秀が嬉しそうに響夜に話しかける。

「ラノベの場合は、男女だろ。男と男じゃねーよ。」

「硬いこと言わずにさ~。」

 座っている椅子をギコギコ鳴らしながら楽しそうに会話をしてくる。

 すると、一人の女子が秀の席の前に立っていた。

「あの、席もう一つ後ろですよ。」

「あっ長谷川さん。えっ?マジ。」

 秀は、黒板に貼ってある座席表をもう一回確認した。

「あっホントだ。ごめん。長谷川さん。」

 秀は慌てて机の上に置いてあった鞄を取る。

「大丈夫だよ。そんなに慌てなくても。」

 長谷川は、クスクスと口に手を当て笑った。

 響夜は、しっかりしろよ。っと秀を軽く煽る。秀は、ひとつ後ろの席に鞄を置き、響夜に話しかけようとしたとき、スマホがブーブーと鳴った。

 秀は、スマホを取り出し、画面を見る。

「わ、オカンだ…。」

「でなくていいのか?」

 秀は嫌そうな顔で

「いや、出るけど…。何?オカン。今、結構慌ただしいんだけど。」

 響夜は、秀が電話越しに母親とのやり取りを見ていると、なんとなく羨ましかった。

「ねえ、東雲君。八条君のこと、羨ましいって思っちゃうんだよね。時々。」

「ああ、俺もそう思うよ。」

 東雲響夜と長谷川美貴は共通点がある。

 響夜の母親、千鶴ちづるさんは消防士で実際に災害時には出動してた。美貴の母親、杏子きょうこさんは警察官で事件が起きた時には出動していた。母親同士は中学校は一緒で、仲が良かったらしい。そして、どちらの母親も、もう、この世にはいない。

 響夜の母親は、四年前六月、震災の時に家屋に取り残された子供を助けるために、火の回った家屋に突入、無事子供は助かったが、千鶴さんは全身やけどで重体。近くの病院へ搬送されるも死亡。

 美貴の母親は、同じ年の十二月、拳銃を所持していた男をおっていて、あと一歩というところまで追い込むことに成功。自暴自棄になっていた犯人はそばに居た小学生に向けて発砲、杏子さんは小学生を庇い胸と腹、合計六発の弾丸を浴び死亡した。幸い、発砲音を聞きつけた刑事によって犯人は射殺され事件の幕は降りた。

 よく環境が似ているふたり、小さい頃から遊んでいた。小学校は一緒で、中学校は美貴が父親の都合で別の学校に、そして高校はまた一緒。好きとかそういう感情ではなく、互いが互いに同情し合った――。

「あ~、マジで面倒なことになった。」

 秀はスマホをズボンのポケットにしまってため息をつく。

「どうした、ため息なんかついて。もしかして、ベッドの下の…。」

 響夜は、ハッとした表情で秀を見る。

「やめろ、違うから。親が今日遅くなるから、飯は自分で用意してくれってさ。」

「え?八条くん、ご飯作れるの?」

「まあ、響夜よりはうまく作れるかな。」

 秀が自慢げに響夜を見る。響夜は顔を逸らし、

「別にいーの。飯が作れなくても生きていける。」

と、拗ね気味に言った。

「あ、響夜。拗ねてないで、そろそろ体育館に行かないと。始業式が始まる。」

「拗ねてない。」

 そう言って、体育館へ向かった。


――始業式、体育館では校長先生が話をしている。

 響夜は眠っていた。

「全校生徒、起立。」

 司会進行役の生徒会長が言う。響夜は、生徒が立つ音に気づいて慌てて立ち上がる。

「気おつけ、礼。」

 深々と礼をする。解散の一言で、一斉に体育館から出る。

 響夜は体育館を出て、大きな欠伸をする。

「おい、響夜。お前、寝てたろ。」

 秀が肩をポンと叩く。

「いや、校長の話って眠くならない?」

「確かに、同意する。」

 ケラケラと笑いながら、教室へもどる。

 教室では、担任の先生が黒板に何か書いていた。

「よ~し、席に着け~。自己紹介とか配り物とかあるからな~。」

 ぞろぞろと席につき始める。

「俺の名前は、五十嵐大地。見ての通り、教師だ。趣味はサイクリングだな。」

 すると、女子生徒が手を挙げて発言する。

「はいは~い。先生、彼女いるんですか?」

「残念ながら、いないな。じゃ、次はみんなの番だな。出席番号一番から。」

「えっと、はい。出席番号一番。鮎川由利あゆかわ ゆりです。趣味は、刺繍です。」

「おお、それはすごいな。よろしくな、鮎川。」

 そこからは、生徒が名前と趣味を言って、先生がそれに対して相槌を打ったりしていった。

 ある程度進み、響夜のひとつ前の生徒が終わり、響夜の番が回ってくる

「出席番号20番、東雲響夜。趣味は、読書。最近では、ロウタールの最期を読みました。」

「ああ、あの本か。先生も読んだぞ。最後が衝撃だったな。」

 響夜が席に着いて、息を漏らす。緊張からの開放感。

 響夜は、適当に自己紹介を聞いていた。すると、隣の席の人が立つ。

「出席番号29番。長谷川美貴。趣味は特にありません。一年間よろしくお願いします。」

 そう言い終え、席に着く。淡々とした声で。

「長谷川、よろしくな。」

 響夜はすこし後ろを向いた。なぜならば次は

「出席番号30番、八条秀です。趣味は、ゲームです。よろしくお願いします。」

「おお、元気がいいな。八条。よろしく。」

 秀は席について、やりきったぜ俺。みたいな顔でこちらを見てくる。

 響夜は無視して、前を向いた。

 時計の針は十一時を少し過ぎたところを指していた。

「よし、今日はこれで解散。明日は身体測定だから体操服忘れるなよ。」

 響夜は席を立ち、秀に話しかける。

「なあ、今日一緒に帰らないか?」

 秀は、手と手を合わせて顔の前に持ってきた。

「ごめん、昼飯と晩飯の材料買いに行かなきゃいけないから、無理。」

「ああ、そっか。遅いんだっけ今日。」

「そ、じゃね!また明日。」

 秀は、もう一回ごめんっと言って教室を出た。

 響夜が教室から出ようとしたときに、声をかけられた。

「まって、きょう。」

 響夜は振り返って、声の主を確かめた。

「その呼び方、学校ではやめようっていたのはそっちだろ。」

「大丈夫、教室には誰もいないから。」

「で、なんのようなんだ。美貴。」

「えっと。一年間よろしくね、響。」

「ん?ああ、よろしくな美貴。んじゃ、俺帰るわ。」

「うん、また明日。」

 響夜が教室を出て、廊下を歩いていると担任の先生に出会った。

「お、東雲。教室にまだ誰かいたか。」

「え、確か。長谷川さんが居たと思います。」

「そっか。サンキューな。気をつけて帰れよ。」

「はい、さようなら。」

 響夜は軽くお辞儀をして、別れを告げた。


 ――響夜は下校しているとふと足を止めた。

 目の前に傷だらけの黒い猫が横たわていた。打撲痕、切り傷、その他もろもろ。

「虐待でも受けていたのか。かわいそうに。」

 響夜はその猫を大事そうに抱き抱えた。

「手当ぐらいなら、できるかもな。」

 響夜は猫を家に連れて帰った。

「ただいま。」

 響夜は玄関を開けて、返事がこないことを知りながら言った。

 扉を閉めて、鍵をかける。

 響夜はとりあえず、猫をソファーの上に置いた。

「とりあえず、救急箱かな。」

 猫の頭を優しく撫でて、響夜は救急箱を取りにいった。

 引き出しの奥から救急箱を取り出し、猫の元へと向かった。

「こんな感じかな。」

 響夜は猫に包帯を巻いた。それ以上何をしていいのかわからないから。

 すると、猫が目を開けてこちらを見てくる。

「あ、目が覚めたんだ。大丈夫かな。」

 響夜は、猫の頭をまた撫でようとした時に

にぃはん、あんまり触らんといて欲しいわ。」

 響夜は驚きのあまり、現状が理解できなかった。

 黒い猫から声が聞こえた。目を丸くする響夜に向かって猫は

「そこまで驚かなくても、それにこの怪我はただの怪我と違うから包帯とか巻いてもあんまり効果ないで。」

 響夜は少しずつ本当に少しずつこれが現実だと理解していった。

「えっと、猫?だよな。」

 響夜は猫を抱き抱え、どこにもマイクのような物が仕込まれてないことを確認する。確認を終えた響夜は猫をそっとソファーの上に戻した。

 猫は響夜に淡々と言い聞かせるよに

「まあ、猫と言うよりは使い魔に近いな。」

 響夜はさらに混乱した。猫の発言している意味がわからなかった。

「んな、アニメや漫画みたいな設定持ってこられても。」

 だが、同時に響夜はテンションが上がっていた。中学の時、その手の本を読んで現実に起きたらななどと妄想していた時期があったから。

「残念ながら、現実ですわ。にぃはん。」

 東雲響夜は、二年生になった四月。自称使い魔|(しゃべる猫)と出会った。

 三十分ぐらいの説明を猫からされて、響夜は、冷静さを取り戻した。

「なあ、猫。それは、『僕と契約してー』みたいな感じか。」

「はあ、にぃさんの言ってる意味はわかりませんが。だいたいそんな感じです。」

 猫はヒョイっと響夜の肩に乗る。

「とりあえず、夜になったらあいつが来ます。」

「あいつって何?」

 猫は目を細め、言った。

「化物ですよ。倒さなくてわいけない。」

 こうして、猫と男子高校生は出会った。偶然なのか、それとも宿命なのか――。


引き続き読んでいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。

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