三十五話
剣道で、特に面技とかを打つと、抜けた後に残心を取るために振り返るんですよ。唯、自分は振り返る時に、勢いを殺さずに左足で急ブレーキをかける感じで振り返るんですね?そのおかげで、足の裏の皮とかもうすごいことになっていて、皮が剥がれまくっちゃって。久方の剣道だったからでしょうけど。もう、あれですよ。脈打ちに合わせて、剥がれた部分が一瞬赤くなるくらい剥がれちゃって。二箇所も。歩くのに一苦労ですよ。
と、いうわけで三十五話目です。
仕事が始まって二月が経った。部下たちも仕事を覚えてくれたため、最近はそんなに走り回ることはない。ただ、常に書類を読む羽目になった。主に読むのが検挙報告書。誰が、いつ、どの部隊で、どの軍法を、どのように守らず、どうして守らなかったか、六何の原則に順って記述されている。それもかなり詳しく。あと、このときにどれくらい経費が請求されたのかも書いてある。
とにかく、これを読むのは苦痛だ。情報量が多く、重要な書類だからだ。俺はこれを毎日きりもなく読み続けている。目は疲れるし、眠くなるしで、うんざりだ。
幸いにも、ここ最近は報告書の数も以前よりは減って来ている。おそらくだが、王都内の部隊をある程度検挙したのだろう。
精神的に疲れるおかげて、最近はほぼ毎日いつもの飲み屋でエールを飲み干すことが日常だ。お腹がでなかったらいいが。嫌だよ?二十代でビール腹とか。
そして、今日は久々の休暇だ。仕事を始めて初めての休暇。ブラック疑惑があるのはともかく、今日は休みを楽しみたい。
朝の鍛錬を終え、朝食を取りながら何をしようかなと悩んでいた。いつも仕事漬けなものだから、王都内がどんな感じなのかを調べる暇もないし、出張も馬車に乗っていくから、外をゆっくり眺められない。
さて、どうしたものかと考えていると、俺の目にメイドの姿が入ってくる。
「そこの君、ちょっといいかね?」
俺はメイドに話しかけた。すると、肩をビクビクさせながら、驚いた目を一瞬したがすぐに下を向いた。
「い、いかがなされましたが」
勿論、声も震えている。そんなに怖いのかな、俺。もう二ヶ月だし、そろそろ怯えなくてもいいんじゃないかな。
「王都は詳しいか?」
「は、はい。王都で生まれ育ちましたので」
「そうか、では教えて欲しいのだが」
「ひっ!」
ひっ、やめて、結構傷つくんだよね、それ。
自分のひっに気づいたのか、俺に謝ろうと大きく息を吸った。
「あ、謝らなくていいから、ね?俺もわかってるから、どう思われているとか…」
俺がいうと、メイドはもっと気まずそうにしていた。これはやっちゃったな。
「話を戻して、王都に詳しいんだね?」
「は、はい、そうです」
「よし。決まりだ」
「な、何をですか?」
「俺と一緒に王都を周ってくれ」
「…え?」
メイドの瞳孔は揺れていた。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。
…あと、感想とかも、ね?書いてくれれば、嬉しいかな…




