三十四話
お久しぶりです。足の裏が痛いです。久方ぶりの稽古で、左足とか、痛いです。皮とかめっちゃ剥がれたし。痛い。三十四話目です。
なんか絡まれちゃったよ、中尉様に。どうしようかなと思って、大将を見ると、「ふぅ」とため息を吐いて不機嫌な顔をしたままそっぽ向いてる。よくあるのかな?こういうこと。
「おい、どこみてんだ?あ?」
なにこのヤンキー口調。軍人だというのに、この口調とは、全くだめなやつだ。
「さっきからなんだ?その顔は。ちょっと表出ろや」
おっと、どうやらずっと顔に出てたらしい。それよりも、口調。母国の小学生の方が断然人としてなっているんだが。
とりあえず、俺はジャケットを取って、この大尉と表に出た。表に出てからジャケットを着たが、外は暗いためか、階級章が見えなかったらしい。態度がまるっきり変わらない。
さっきからポッケに両手入れてるし(入手歩行)、帽子も被ってないし(脱帽歩行)、シャツがズボンから出てるし(服装不良)、ダメだなこいつ。
「何みてんだ?喧嘩売ってんのか?」
売ってんのはお前だろうと、ツッコミはしなかった。
「売ってんのはお前だろう?」
否、ツッコミをした。
すると、なんか、何言ってんの?こいつ、みたいな顔になった。
「まずその口調、軍人は愚か、人としてなっていない。それに入手歩行と脱帽歩行、服装不良と、見えるだけでも軍規違反が三つもある。これは主要軍規違反に値する」
「あ?何言ってんだ?こいつ。テメェ、何様のつもりでそんなこと言ってんだ?」
おぉ、今度は彫ったような溝ができるくらいに眉間にシワを寄せて来た。加えて声も鋭い声に変わる。
「すぐに服装を正せ」
「お前頭大丈夫か?阿呆なんじゃないか?」
「最後の警告だ。服装を正せ。これは命令だ」
前の中尉は、「ハッ」と、笑いを飛ばして来た。
「お前、本当に狂ってんじゃねぇのか?しなかったら何だ?懲戒処分か?」
気分を悪くしそうな笑みで言って来た。しょうがないな、と思いながら、俺はズボンの後ポッケに入ってる軍人手帳を引っ張り出し、開いて見せた。
「いや、懲戒処分で済んだら奇跡だ」
さて、この中尉君の軍規違反を見てみよう。まず、俺にぶつかって来てどこ見てんだよと言ってくる。ぶつかることはともかく、口調が敬語ではないことから軍規違反、主要軍規違反である。上にもあったように入手歩行、脱帽歩行、服装不良で三つ、主要軍規違反に値する。そして、なによりも、自分よりも高い階級の者に敬礼もせず、上の命令にも不順し、喧嘩腰な態度の挙句、阿呆、狂ってるなどと、侮辱に等しい言動を放った。これはただじゃ済まん。軍規違反どころか、これは軍法違反に等しい。
「二つの主要軍規違反に等しい軍規違反と、命令不服従、上官侮辱罪を確認したため、確保する」
一瞬、何が起きてるのかわからないのか、阿呆面になったが、俺の階級章が見える場所までに詰めると、やっと状況を把握したのか、みんなおなじみの「ひっ!」を言いながら尻餅をついた。
しかし、こいつもよく俺みたいな人に喧嘩売ったよな。自分より体が大きくて、すごい面持ってるやつに喧嘩売るとか、蛮勇かよ。
すぐさま立ち上がると、尻についた土を払うこともなく、十二時方向に目を向け、敬礼をした。顔はさっきと真逆の白色になっている。
「所属と階級を言いなさい」
「は、はっ!」
結局俺は、こいつを連れて憲兵本部まで戻り、牢屋に入れ、次の日にこいつが所属する部隊を検挙しろと命令を入れてから家に帰ることができた。気分よく酒を飲みたかっただけなんだが、仕事を増やしてしまったよ。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。




