三十二話
ここ最近は暑いですね。三十度後半になることなんてざらで。その上、コロナ対策でマスクもしなければなりませんからね。もう苦しくて苦しくて仕様が無いです。小生も、なるべく水分は取ろうと思います。皆さんも、くれぐれも熱中症には気を付けてください。
初仕事を終えて、ある程度先が見えて来た…と思っていたが、どうやら大門違いだったらしい。まさか、こんなに部隊の検挙に周るとは思わなかった。
仕事を始めてやっと一月が経ったが、やっと、検挙数が減って来た。おかげで、ゆっくりお酒を喉に流すまもなく寝込んでしまう日が続いている。ちなみに、メイドたちは怯えているままだ。
ひどい時は、一週間で三部隊を検挙した。勿論、その後処理にも追われる。俺も、部下に仕事を分けたいと思ったのだが、新生憲兵部隊は殆ど新部隊みたいなものだ。誰もこういう仕事のノウハウを持っている者は少ない。おかげで俺は部隊の長でありながらも、一線で大活躍。
あと、いつの間にか俺に二つ名ができていた。鬼の憲兵隊長らしい。俺に鬼の要素はないと思うんだが。
王都の部隊がこんなに腐敗していた理由は、長すぎる平和だ。勿論、平和であることが一番だが。ここ八十年間は大規模戦争は勃発したことがなく、あっても国境で小競争い程度。そんなとこまで王都の部隊が動くことはない。なにしろ、王都守護大隊なんだから、主任務は王都の守護だ。
王都がこんなに腐敗しているのも、常識らしく、少なくとも二十年前には知られたとのこと。そこをいきなり殴って来たのがこの鬼の憲兵隊長だそうだ。
幸いにも、仕事を覚え始めた部下たちのおかげで俺もかなり楽になって来た。そして、今俺は、仕事終わりに、飲み屋にやって来た。あらかじめ、今日は歩いて帰ると言ってある。執事は困っていたが、そこは命令で迎えを出すなと命令し、一人で帰ることができた。
階級が見られたら大変なことになりかねないため、ジャケットは内側に折りながら縦にたたんで、腕にかける。軍人がジャケットを脱ぐことは、基本的に屋内に入ってる時に許されるため、オッケーだ。
飲み屋の中は、テーブル席とカウンター席で分かれていて、よく西部劇で見るバーに似ている感じだが、パブのようにも感じる。あちらこちらから騒ぎ声が聞こえてくる、賑やかな店だ。
とりあえず俺はジャケットを椅子にかけ、カウンター席に座った。
「いらっしゃい」
大将のいらっしゃいに、おれは「どうも」で対応した。
どういう酒があるのかわからない俺は、大将に聞いてみることにした。
「どういう酒がありますかね」
「エールと、やっすいぶどう酒に、高めのラガーがあるぜ」
お、エールか。いいぞいいぞ。
「そんじゃ、エールで」
「おう!」
そう言って、大将が木でできたコップにエールを注ぐ。
「ほらよ」
「おぉ、どうもどうも」
そうやってエールを受け取ると、大将が小皿を渡して来た。
「あんちゃん、ここ初めてだろう?うちは、初めての客には、おつまみサービスしてんだ」
「お、サービスですか。これはありがたい。これからもこの店に寄らせていただきましょう」
「そん時はサービスはねぇがいいかね?」
そう言ってワッハハと笑い出した大将。いいね、ここ。
誤字脱字、間違い等ございますたら、教えてくだされば幸いです。




