表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏バキューマーズ ~汲み取り屋の娘が社長になります。“当たり前”を守る大切な仕事です~  作者: トネガワ ワタル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

第17話 うるさい人ほど、いないと困る

「ちょっとアンタたち!!」


 朝一番。


 事務所に響く声。


(出た)


「なんで昨日の伝票、あの順番なの!?」


「いや、なんとなく……」


「なんとなくで並べるな!」


 スミちゃんが怒られている。


「だって見やすいかなって」


「誰が見るのよそれ!」


「俺」


「アンタは見なくていいの!」


(理不尽)


 横でハラちゃんが笑いをこらえている。


「アンタも笑ってんじゃないわよ!」


「す、すみません!」


「声出てるのよ!」


(この人……)


「彩乃ちゃん」


「はい!」


「これ、今日の配車ね」


 紙を渡される。


「えっと……」


 びっしり書かれている。


 時間。


 場所。


 順番。


(細かっ)


「昨日のうちに全部組んどいたから」


「これでスムーズに回るはず」


「はず、じゃないわ」


「回るのよ」


(強い)


「昔はね、よく揉めたのよ」


「この人たちが文句ばっか言うから」


「いや、無茶振り多かったんすよ」


 和也。


「現場知らないくせにって言われたわねぇ」


「実際そうだったろ」


 ヒデさんがぼそっと言う。


「うるさいわね!」


 即ツッコミ。


「でもね」


 一拍。


「悔しかったから全部覚えたのよ」


「距離も、時間も、作業の重さも」


「で、どう組めば楽になるか」


 紙をトントンと叩く。


「今は文句出ないでしょ?」


「……まぁな」


「出ても聞かないけどね」


(強すぎる)


「電話も出るからね、あたし」


 そのタイミングで鳴る。


「はい、中畑清掃でーす!」


 声が変わる。


 明るい。


「はい、いつもお世話になってます~!」


(別人)


「ええ、大丈夫ですよ」


「今日中に伺えます」


 チラッと配車表を見る。


「〇時くらいでどうですか?」


(もう決めた)


「はい、ありがとうございます~!」


 ガチャッ


「ハラちゃん」


「はい!」


「一件追加」


「え、マジすか」


「マジよ」


「どこっすか」


「ここ」


「うわ遠っ」


「帰り道でしょ」


「……まぁ」


「文句ある?」


「ないっす!」


(すごい)


 完璧に回してる。


「あとね」


「お金のことはあたしやらないからね」


「え?」


「そこは彩乃ちゃん」


(私!?)


「ちゃんとお母さんから教わりなさいよ」


「はい……」


「数字はね、誤魔化し効かないから」


 一瞬だけ、真面目な顔。


「そこ間違えたら全部崩れるわよ」


(重い)


「まぁでも」


 すぐ戻る。


「現場はあたしたちで回すから」


「安心しなさい」


 ニッと笑う。


「ね、スミちゃん」


「はいはい」


「ちゃんとやりなさいよ?」


「やってますよ!」


「嘘つけ」


 ハラちゃん。


「昨日ホース踏んで転んでたじゃないすか」


「それは事故!」


「毎回事故じゃないすか」


「うるさい!」


「アンタたちほんと飽きないわね」


 ため息。


 でも。


 少しだけ、笑っている。


(この人がいるから)


 回ってる。


 たぶん。


 ずっと前から。


 母の時も。


 その前も。


 表には出ないけど。


(支えてる人)


「ほら、行くよ!」


「はい!」


 今日も一日が始まる。


「いってらっしゃい!」


「中畑清掃!今日も絶好調!」


 うるさい声と一緒に。


 でも。


(いないと困るんだろうな)


 きっと。


――黄昏バキューマーズ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ