表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/34

10回 嫡男として

「高信、信愛、蒼次郎。儂に話があると聞いて居るが、本日はそのような要件なのだ?」


「「蒼次郎様、あなたからお伝えください。」」


ふたりとも、示し合わせてきたかのように見事な土下座を決め込んで来た。もう、俺が嫡男になるのは確定なのか。


「そなた達、いつからそのようにこの者を呼ぶようになったのだ?」


南部晴政殿が大変驚いている。そりゃそうだろうな。自分の叔父と信頼している家老が、先日まで客として迎えていた俺に対して、敬意を持って呼び出したんだ。何かあったって誰でも思うよな。


「晴政様。石川様の家臣に当たる大浦為信なるもののことは、ご存知でしょうか?」


「浪岡家の筆頭家老であった者のことであろう?確か、こちらに寝返る代わりに一族の安全と所領の安堵を願い出たのだったな。あの者がどうしたのだ?」


「これらの文をご覧ください。」


俺は、佐助から為信が近隣の国人衆や高信殿の家臣達に向けた密書を晴政殿に提出した。


「これは?」


「その者が津軽郡の国人衆や他の家臣の方々当てに向けた密書になります」


「では何か?大浦が高信に対して謀反を起こそうと画策していると申すのか?」


「ええ。」


「高信はどう思うのだ?」


「蒼次郎様の予想と奴の言動や性格から考えれば、当然かと。」


「予想とは?」


俺は、石川様に伝えた俺が南部家に来なかった場合の(史実通り)話をした。まぁ、史実を参考にしてるから、根拠もあるし、主君を裏切った過去を持つものならば、俺の予想は正しいのだろう。その上、賛同した家臣たちも以前から良くない言動を繰り返していたようで、石川様の中ではほぼ確定事項となっていた。信愛様にも伝えた時、以前から石川様から相談を受けていたようで、すぐに状況を理解してくれた。流石に、当主の家老を2代に亘り務めただけあって、優秀だ。


「なるほど。確かに筋が通ておる。それに、あの者は、こちらに寝返った時点でどこか信じられぬ点があった。しかし、どうする気だ?表立って動けば、家臣達に要らぬ不信感を与えるぞ。」


「ここは、私に任せていただけませぬか?」


「蒼次郎。どうする気だ?」


「佐助、丹波。居るかい?」


「「はい」」


襖を静かに開けて、佐助と丹波が入ってきた。いつも俺の近くで護衛しているのだが、何年たってもその気配に気付けない。他の忍び達のそれには、反応できるようになったが、佐助と丹波だけは、全然だ。


「周囲に気取られず、先に名前の挙がった者らを始末できるか。」


「容易いかと。」


「遺体は、燃やし、骨は海にまいておけ。それと、殺害時に彼らの印鑑をしかと拝借してくるのだ。それは、後に役に立つ。」


「御意」


「では、すぐ動け。」


「では、失礼いたします。」


颯爽と、襖まで下がると静かに襖を閉め、去っていった。


「忍びか。認識を改めねばならぬな。」


「欲しい情報がありましたら、私にご相談を。」


「ああ。それと、奴らの印鑑をどうするつもりだ?」


「周辺の大名家に奴らの押印付きで、南部家への攻撃の助力の文を送り、それを理由に攻め落とします。力のない大名ならそれで倒せます。周辺ならば、小野寺、戸沢、浅利、由利程度ならば、この手で可能でしょう。」


「当然のように恐ろしいことを考え付くものよ。齢14とは到底思えん。」


「殿、我らは、蒼次郎様を嫡男とすべく後ろ盾としてこの命を捧げる覚悟でおります。」


「それで、先程からこの者に敬称を着けておるのか?」


「「はい。」」


「高信は、お家騒動を未然に防いでもらったことで納得できるが、信愛はなぜだ?」


「蒼次郎様が、出された提案書によって以前から不作が続いていた我が領内が救われました。民からの忠誠も日に日に高まってきており、有り難い限りです。同じような状況の家臣たちは少なくないはずです。」


「なら、民にそれとなく噂を流しておくとするか。」


「先ほどの討伐の件が片付きました際には、こちらから南部家全域に流しておきます。」


「また忍びか…。儂も傍に置いてみようかの。幾人か用立ててはくれぬか?」


「それでしたら、領内に忍びの里を築いてみてはいかがでしょう?」


「里?」


「そこで、忍びの修行や教練を行うのです。そうすれば、今まで以上に全国の大名家の情報や、領内の問題に対して早期に対応することが出来ます。加えて、暗殺対策にもなります。優秀な忍びを多く有しておれば、暗殺にくる能力の低い忍びなど相手になりませぬ。」


「それは、村でもいいのか?」


「廃村などでも構いません。村を起こし、発展させ、忍びの宗派を広げます。ただ、今おる者たちでそれを行うと村でなく街が一つできてしまうやもしれませぬが。」


「だが、それはたやすく家臣の者らには言えんな。」


「まぁ、それは私が嫡男になってからで問題ありません。安東家や伊達家、葛西家、大崎家、最上家と戦をするには情報が不可欠。今のうちから調略は初めて行こうと思います。」


「わかった。そなたが正式に嫡男となったら、忍びたちの街を作ることを許可しよう。そして、そなたの家臣たちのために一つ小規模ではあるが城も用立ててやろう。

では、儂らは、先に出た小野寺、戸沢、浅利、由利家への攻略について相談するとするかの」

もうすぐ、蒼次郎から卒業できると思います。多分…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ