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8回 論功行賞?

俺が寝ている間に色々起きた。

斯波の豚は、懲りずにまた菜々に手を出そうとして、今度は簀巻きにされた上で、そいつの部屋の屋根にくくりつけられ、一日放置された。


そいつを見つけたのは、母親だったが、詮真殿は取り合わなかったため、自ら菜々を同じ目に合わせようとしたが、結局、豚と同じように簀巻きにされ、同じように一日吊るされた。ふたりとも、一日飯を抜かされたことで、毒気が抜け、二度目は起きなかった。懲りたらしい。


その後、南部家家臣団から何名かが顔合わせで城に着いたと聞かされたが、誰なのかは教えてくれなかった。ドッキリを実行しておる様子だ。



そして、次の日の朝、俺は論功行賞のため、大広間へと呼ばれた。上座には、晴政殿。左側には、南部家。右側には、斯波家臣が並んでいる。


「それで、蒼次郎。今から論功行賞を始めていこうと思うが、第一位は、大賞首を獲ったそなただ。何か欲しいものはあるか?」


欲しいもの?欲しいものか、強いて言うなら、名刀とか?茶器はいらんし、鎧も持ってるし。じゃあ、あれ言っとこうかな。


「それでは私を、一門衆に加えていただきたい。」


「なっ!?」


「他家の者でありながら、何ということをいうのだ。」


そう否定したのは、斯波詮真と猪去詮義。お前らはそもそも、南部家の家臣団でもないだろうに。特にゴリラは、こちらを見下しながら、そう言い放った。こいつに対する殺意は日に日に高まっている。ただ、豚にも説教と躾を行っているようなので、良し悪しは、わかっておるようだ。


「私は、良いと思います。」


「問題ないのではないでしょうか。」


こういうのは、晴政殿に付き従ってきた南部家の重臣として知られる北信愛、石川高信である。北信愛は、南部家の家臣団の中では結構有名な1人である。どちらかと言えば、南部信直の筆頭家老としての知名度の方が高いように俺には思える。知略にも優れ、2代にわたり、南部家の家老として南部家を支えた武将だ。もう1人の石川高信は、南部信直の実父である。南部晴政の叔父であり、津軽郡をを治め、南部家の勢力拡大に大きく貢献した人物だ。

ただ、残念な点として、家臣であった大浦(津軽)為信の謀反を見抜けず、津軽郡を奪われた上で、殺されたことであろう。まあ、俺がいれば、その未来も消失するのであるが。為信を味方につけて、わざと、殺させてもいいが、謀略家は信用できないから、やめておこう。


「2人はそう思うか?」


「現在、南部家の食料事情は、彼の政策案を取り入れたことで、良い兆しを見せております。民からもよく育った作物を貰うようになりました。私としても、民にとっても、彼は恩人になります。私としましては、是非に一門衆に加わって頂きたい。」


「それに加え、優秀な家臣にも恵まれており、剣術も両名の剣豪から認められていると聞きます。私としては、一門衆ではなく、嫡男として考えるべきと申し上げます。」


これは、まずい方向に向かっている!!


「石川様、それは、時期尚早かと思います。」


「蒼次郎、どうしてそう思うのだ?」


どうして、返答するのがあんたなんだよ、晴政殿。俺は、高信さんに言ったんだけど?


「私のことを寛大に迎えて頂きまして、ありがたい限りです。ただ、私は未だ南部家の皆様のことを知りません。無論、皆様も我らのことを噂でしか、知らない筈です。そのような状況で嫡男に据えるのは、今後の関係性に影響が必ず出てくると思います。」


「ならばどうする?」


「まずは、一門衆として南部家の勢力拡大に努めます。その渦中で、少しずつ家臣達の信頼を勝ち取り、派閥を形成していけば良いかと。」


「簡単にいうものだ。勢力拡大とは言うが、我らも多くの敵を抱えている身。そう簡単に勢力拡大ができると思うか?」


「ご両人の申されたように私の家臣は、私にはもったいないほどの者たちです。彼らと、力を合わせれば、難しいことではありません。それに、私には圧倒的な情報力があります。丹波、例の地図を皆さんにお見せしなさい。」


「畏まりました」


「「こ…これは!!」」


俺がその場に出したものは、南部家領内の詳細な見取り図。どこに城があって、どこに街があって、そこにたどり着くまでにどんな道を通るべきか。また、抜け道の有無。さらに各城の詳細な見取り図。


「南部家領内の詳細の見取り図になります。」


「こんなものをどうやって?」


「ここに控えております丹波と佐助は、ご覧の通り忍びです。情報収集や地図作成、戦闘、調略等、彼らはどんなことでもできます。ですが全国の大名方は、彼らの有能さを理解できておりません。理解していないからこそ、彼らを人間扱いせずに家畜のように使い捨てにするのです。戦においても、商売においても情報を手にしていたものが利益を手にします。私には、多くの優秀な忍びたちがおります。まぁ、殆どが全国に任務で散っておりますので、ここにはおりませんが。」


「なるほど。情報が力にの…」


「勢力をある程度の基準まで引き上げるには、嫡男であるよりも一門衆であるほうが何かと動きやすいと私は考えています。」



「なるほどの、理にかなっておる。」



「ならば、我々は蒼次郎殿を嫡男候補として一門衆に加えることを提案いたします。」



「よかろう。蒼次郎よ、本日から南部の家名を名乗ることを許す。今後は、一門衆としての働きに期待する。」



「はっ!」

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