6回 花巻城攻城戦②
〜信綱・卜伝・その他3名side〜
「…あぁ〜!鬱陶しい!弱えくせに多すぎなんだよコイツラ!」
「黙って殺れ。勘兵衛。」
「でも、そいつの言うことも一理ありますよ。」
「弱くて多いのは事実ですし。」
「清興、嘉明、お前らも手を動かせ。殿が戻るまでに終わらせねばならんのだ。一人頭20人やらねばなぬのだぞ。無駄口叩く暇があったら一人でも多く斬れ。」
500人いると聞いていたが、腕に覚えのある武将らは、晴政殿の本隊にむかったようだ。おかげで、場内にいるのは、農兵100名。それも統率が取れていないうえ、指揮官もいないため、これじゃただの殺戮だ。
あ〜あ、儂も良直殿に付いていけば良かっただろうか。切実にそう思う。
そうこう、考えている中も彼、信綱ともう一名の剣豪は、弟子を目の前に惨劇を作り出していくのであった…。
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~side俺、佐助、丹波、良直~
「丹波、入ってきていいぞ。」
「失礼いたします。…斬られたのですね。」
「無論だ。こいつは、逆賊。討たれて当然。不満そうだな。」
「おっしゃる通りでございます。不満ではございませぬが、悲嘆されておられるので。」
「無抵抗の者を斬るのは、気分が良いものではない。此奴が向かって来れば、もっと気分が良いのだろうが、最後まで切腹すると聞かんのでな。」
「戦とは、華々しいことばかりではございません。殿は、まだ元服すら迎えていないのです。これから、数多くの戦場を経験することとなるでしょう。その一つ一つで学ばれれば良いのです。まだ、先は長うございます。ゆっくりとやって参りましょう。」
「ああ…そうだな。佐助、手のものに、こいつの頸を箱に入れて持って越させろ。信綱たちを迎えに行くぞ。」
「承知」
直樹を…いや、稗貫輝時を討つことは、俺が南部家一門衆に加わる試験だったわけだが、無抵抗の者を斬るのは、心が痛む。切腹の介錯人は、皆こんな思いをしていたのだろうか。
そんなことを考えていると、零がいきなり時ヲ止メテ話しかけてきた。
『蒼次郎君。幼馴染をその手にかけた感想は?』
「俺が斬ったのは、南部家に従わなかった稗貫家の当主、稗貫輝時であってあいつじゃない。まぁ、どちにせよ、無抵抗な奴を斬るのは気分が良いものではない。」
『だが、あの子は命乞いをしたろう?』
「あいつにも言っただろう?死にたくないのなら、従属すればよかったんだ。南部家はこの時代から考えれば比較的良心的な家だ。それでさえ蹴ったんだ。あいつが悪い。」
『現実が見えてる君ならそうかもしれないけど、彼は歴史に疎い。その上、稗貫なんてマイナーなお家に生まれて、自分がどんな人物なのかも分からずに育ったんだよ?』
「それがなんだ。」
『?』
「当主でいられたんだろ?元服させてもらえただけでも良いと思うがな。イベントを進めるためとはいえ、親に領内から追放されるのは気分が良いものではない。」
『自分よりましだって?』
「付く相手を見誤らなければ、問題なく当主として入れただろうしな。妹とだって、毎日ではなくなるにせよ、会えるんだしな。あいつは元々、シスコンだったから無理だったんだよ。この時代で生きていくなんて。」
『彼にはこの時代で生きる資格がそもそもなかったてわけだね。』
「そういうことだ。」
『まぁ、いいや。』
”零”と話し終えたあと、直樹のことを考えているうちに大門前に到着した。予想はしていたが、死体の山が築かれていた。
大門付近で他の連中と屯していた信綱が、俺に気付いて駆けてきた。
「蒼次郎様、奴の頸は?」
「佐助、見せてやれ。」
佐助が手下に持たせていた奴の頸を箱から出すと、皆俺を褒め称えてくれた。お世辞とわかっていても、嬉しいものだ。直樹は、家臣たちにも恵まれなかった。加えて、武道もからっきしだった。やはり、あいつにもこの時代はキツかったんだ。
俺が大門に近づくと、大問が開いた。おそらく、俺が近づいたら開けるように手回しをしてたんだろう。外には騎乗した晴政殿が、二つの頸を入れた箱を手下に持たせて待っていた。兵も見たところ減っているようには見えなかった。
この瞬間、俺たちの花巻城攻城戦は終結した。




