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5回 花巻城攻城戦①

「佐助。敵方の状況はどうだ?」


「大殿が攻城を始められたようです。大半の兵力は大門の防衛に向かった様子です。稗貫輝時と数名の兵だけが大広間におるようです。」


「家臣は大門の防衛に当たっていると?」


「そのようです。」


「なら、丹波、佐助、良直は俺に続き大将首を」


「「「承知」」」


「信綱、卜伝、勘兵衛、清興、嘉明は、大門に向かい、雑兵どもを根絶やしにせよ。」


「「「「「承知」」」」」」


「では、参ろうか。」


俺たちは、鍵縄を城壁に投げる(俺は、上手くいかなかったので、丹波に投げてもらった)と、颯爽と登りたかったのだが、鎧を着けていた俺と忍び以外の約6名は、登り切った時点で膝で息をしていた。彼らの呼吸が整うのを待った後、


「ここで別れる。生きて戻れ、異なる地で死ぬことは、逃げるより恥と思え。私から見えない場所で命果てることを私は許可しない。以上だ、行ってこい。」


信綱、卜伝、勘兵衛、清興、嘉明は、俺に微笑むと黒葉佩衆と共に大門の方へ駆けていった。俺は、大広間の方へと足を進めた。女中や小姓の姿が見えない。稗貫家は、経済的にも貧しいお家のため、女中など雇えず、農村の年寄りたちに来てもらっていたそうだ。兵が、いるようにも思えない。隠れている場合は、気配を消そうとするので逆に見つけやすい。忍びは、気配を偽るので見つけにくいというわけだ。そうこう考え事をしているうちに、大広間に到着した。


その時…


「お入りください。」


中から声がした。丹波と佐助が襖を蹴破り、臨戦態勢に入り、それに続いて俺と良直が抜刀して、入室する。


中には、白装束姿の青年、おそらくこいつが稗貫輝時だろう。思っていたより、イケメンだった。だが、あの衣装は、切腹時の物。まさか、ここまで来て切腹すれば許されると思っているのだろうか。


「なにをされている?」


「ご覧の通りだ。私は、切腹する。それで幕引きとして欲しい。」


「家臣の方はどこに?」


「皆、大門に。」


「なるほど。」


やはりそうか。状況がわかっていないのか、こいつは。だが、なぜだろう。こいつの雰囲気どこかに覚えがある。この面倒な性格、状況判断の鈍さ。この顔。俺は、嫌な予感が思い浮かび、”零”を呼び出した。因みに、こいつを呼び出すと、時間が止まる。


「なぁ、まさかとは思うが、直樹を零細武将の嫡男にしたっていう例の話は、こいつじゃないよな?」


俺は、違っていることを願っていたが…


『ピンポン!ピンポン!大正解!彼が直樹くんだよ。』


「まじか…」


『それでどうするの?助けてあげるの?友達ってことで。』


「いや、それはない。だが、一応、話はしないとな。」


俺は、彼との会話をやめると、


「こいつと話がしたい。皆、少し席を外してくれ。」


「殿、それはなりませんぞ。大殿からの命が!」


「助けるつもりはない。話をするだけだ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それで?私に話とは?」


「俺だよ、直樹。」


「は?」


「竜也だ。」


「?」


「一緒にイベント会場に行ったろう?」


「本当に竜也なのか?」


「何度も言ってるだろ。」


直樹がいきなり動いたから、俺も距離を取った。実際は、俺に抱きつこうとしたようだったが。


「助けてくれ、竜也。このままじゃ、俺は殺される。」


「殺せれるというか、俺は、まさに稗貫輝時を殺しに来たわけなんだが?」


「ほぇ?」


俺は、さきほどから下げていた刀を構えた。いつも通り、露の構えだ。


「どうする直樹、今なら介錯してやるぞ。」


「俺にせ…切腹しろっていうのかよ。」


「さっきまで、するつもりだったろ?」


「幼馴染だろ?見逃してくれよ。」


「この部屋から出た瞬間殺されるが?」 


「なんで!?」


「お前の殺害は、南部家の決定だ。南部家に従わなかったお前が悪い。」


「妹を嫁に出せって言われたんだぞ!それも、自分の側室に!」


「この時代じゃあ、常識だ。珍しくも無い。」


「お前には、実も涙もないのか…?」


「ほんとうになかったら、今頃お前の首は、俺の足元に転がってるだろうよ。ほら、さっさと座って切腹しろ。痛み感じる前に、首を落としてやるから。」


「…そうだ!俺を家臣にしてくれよ。名前変えるからさ!」


「どうやって?側近中の側近の二人に顔を知られてるのに?義父上だって認識はあるはずだ。」


「そんな…。」


「もういいか?そんなに怖いのが嫌なら、俺がやってやるから、首を前に出せ!」


「俺は死んだらどうなる?」


「残りの999人の誰かがクリアするまで眠っているんだそうよ。」


「おそらく、お前だろう?」


「それはわからん。」


「頼むよ。なるべく早く頼む。それと、農民たちには優しくしてやってほしい。」


「尽力するよ。ほら、さっさと済ませるぞ。」


長いやり取りを終え、気持ちの整理がついたのか、直樹は潔く切腹した。そして、彼の頸が俺の足元に落ちた。








おれは、親友をこの手で殺してしまった…

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