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4回 戦の準備②

「それで、花巻城の様子はどうであった?」


丹波は、手に持っていた地図を広げた。城の見取り図のようだった。よくもまあ、この短時間でこれだけ精密な地図を作るもんだ。まぁ、数百人総掛かりでやったのだから、まぁ当然か。



「兵の士気はそれほどではありませんし、練度も疎かであります。兵の数も500ほどかと」



「たったそれだけか。葛西との小競り合い程度ではないか」


「我々だけで十分ですな。」


城は、大手門以外からは入れないように見えるが、それは普通の入り方なら。堀はそれほどでは深くないし、晴政殿が手勢を差し向けてくれるから、大半は、大手門に集結するはず。となると…


「どこから目指す?」


「西の城壁が、薄いようですのでそこから侵入し、最短距離で大将首を目指します。おそらく護衛が10数名は、おるでしょうがそのくらいかと。家臣らは、門の防衛にむかうでしょうから。」



「それならば、数にははいりませんな。」



「一人につき、一人しかおりませんな。」



「まぁ、稗貫輝時に従ったものは、許すつもりはないようだからな。さっさと、仕事を済ませれば、雑兵の始末を手伝えるのではないか?」



「ならば、俺と佐助、丹波、良直は、本陣にて晴政殿と待っていることにする。この程度の小競り合いお前らだけで十分だろ?」



「それはそうですな。蒼次郎様の初戦をこのようなショボいものにして良い筈がございません。ええ、我々だけで行ってまいります。」




「佐助、黒脛巾衆の精鋭を10名。丹波、伊賀衆の精鋭10名を貸してやれ。但し、そいつらは、支援のみだが。」



「かしこまりました。」



「では、そのように。」

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それから2刻後、そろそろ出陣の時刻に近づき、用を足したあと、具足の装着に取り掛かった。この4年間の間に葛西家との小競り合いは続き、俺も何度か出る羽目になった。そのたびにつけていたから、もうなれたもんだ。そう思っていると、誰かが走ってくる音がした。


「殿!」


「ん?良直か。もう若君とは呼んでくれないのか?」


「何をおっしゃっておるのです。蒼次郎さまは、南部家の賓客にあらせられる。それも、近い内に一門に加えられる。今のうちから、慣れておきませんと。」


「まぁ、構わんが。他の連中は?」



「皆、支度を済ませ、殿をお待ちしております。」



「俺が最後か。待たせてしまっているのか?」



「いえ…。皆、久方ぶりの戦に気がはやっておるだけでしょう。」



「ならば、そなたも先に行っておれ。佐助と丹波はおるか?」



「「ここに。」」



襖の奥に急に気配が現れた。こいつ等、いつもどこに隠れているのやら。


「良直は、先に行っておれ。」



「はっ!それでは、先に失礼いたします。」



良直が出ていくのを確認すると…



「両名とも、中には入れ。」



「「失礼いたします」」



二人とも、忍装束に着替えている。

 


「二人の手勢50名ずつをこの城に残しておけ。特にくノ一2名ずつ菜々の護衛として女中の姿で待機させておけ。」


「構いませぬが、どうしてです?」


「斯波殿が裏切るとは思えんが、あの豚が余計なことをしでかすやもしれん。もしものときは、多少手荒な真似をしても構わん。菜々の安全を第一に考えよ。あの豚が菜々にほんの少しでも触れようとすれば、簀巻きにして構わん。この城の女中や小姓でもこちらの手のものでないものが、近づいたら簀巻きにして納屋にでも放り込んでおけ。」


「「畏まりました」」


「それでは、参るぞ。」


「菜奈殿にお会いにならなくてよろしいのですか?」


「どうせ、すぐに終わる。さっさと終わらせて帰れば良い」


「「はっ!」」


ようやく、この世界に来て、初めてのまともな戦だ。まぁ、まともって言っても奇襲だからなんとも言えないけど…。そもそも、俺参加しないし。

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